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思い描く仕上がりを求めて(挽き方編)

香りが違う!挽きたて豆のフレグランスを楽しむ

author: 澤村 尚徳date: 2021/07/18

『前回、「“煎りたて・挽きたて・淹れたて”が美味しいといわれています」と書きましたが、実はこの中で本当なのは“挽きたて”だけだと思ってます』そう語るのは編集者であり、コーヒーをこよなく愛する澤村尚徳さん。今回は“挽きたて”について語ってもらいました。

コーヒーミル(グラインダー)の歯が豆を粉砕した瞬間に立ち上る、なんともいえないかぐわしき香り。深煎りなら深煎りの香ばしい香り、浅煎りなら浅煎りのフルーティな香りが、鼻腔をくすぐります。ミルから粉受けを外すとより一層香りが広がり、これからコーヒーを淹れるぞ、と気分も高まるのです。そう、コーヒー豆を“挽く”のは、抽出までの前哨戦。煎る→挽く→淹れるという工程の2つ目にあたります。ちなみにコーヒーを挽いて感じる香りは、フレグランス。抽出した時の香りをアロマ、口に含んだ時に感じる香りはフレーバーと呼ばれます。

そういえば前回、「“煎りたて・挽きたて・淹れたて”が美味しいといわれています」と書きましたが、実はこの中で本当なのは“挽きたて”だけだと思ってます。

なぜなら、本当の煎りたては、豆から炭酸ガスが放出されているためうまく抽出できず、味がスカスカ。2~3日置いてガスが抜けてからが美味しいのです。淹れたては確かに美味しいけれど、美味しいコーヒーは冷めても美味しいし、コールドブリューは8時間ほどかけて抽出するので、淹れたてだけが美味しいかといわれると、ちょっと違うなと。

では挽きたては、なぜ美味しいといえるのか? それはコーヒー豆を挽いた直後が一番香りが立ち、その後香りが薄まっていくから。もう1つは、挽くと表面積が増え、空気に触れる面積が多くなり酸化が進みます。つまり、豆の状態のまま保存した方が劣化が少なく、美味しく飲めるというわけです。

話は逸れますが、コーヒー豆に限らず、挽きたてが美味しい食材は身の回りにたくさんあります。コショウをはじめとするスパイスやゴマ、そして蕎麦。

そもそも、コーヒーの“煎りたて・挽きたて・淹れたて”は、蕎麦の“挽きたて・打ちたて・茹でたて”をもじったものですが、その中で挽きたてだけは同じ。いかに挽きたてが大事かわかるというものです。

コーヒーを挽くのは手動、それとも電動?

さて、“挽く”という行為ですが、これは面倒な作業なのか、それとも楽しいひと時なのか。人によって分かれる、もしくは平日と土日で変わるという人も多いのではないでしょうか。

面倒なら「コーヒー粉を買ってくればいいじゃん」となりそうですが、やはり挽きたての香りは捨てられない。でも平日にゴリゴリと手動でミルを回している時間がないという人は、やはり電動ミルがおすすめです。

いやいや、コーヒー豆は自分で挽いてこそのコーヒー党だ、豆を挽いている時のマインドフルネスな感じが好き、という人は手動でいいと思います。

どちらを選ぶかは生活スタイルと考え方なので好きな方でいいのですが、本当に美味しいコーヒーを入れるなら、機能面で大事なのはメッシュ(粒度)の均一性といわれます。つまり、“挽き”で大事なことは、コーヒー豆を均一に挽けるかどうか。

なぜなら、粒の大きさが違えば、表面積の大きさが異なり、粗ければ成分が抽出されにくいし、微粉なら浸透しすぎて雑味まで出ていまします。これが混在することで抽出にムラが出て、美味しくなくなるのです。

まず、均一に挽けること、常に同じ粒度に挽けることを考えると電動ミルに軍配が上がります。手動ミルの場合、ハンドルを回している時に軸がブレるため、しっかりと固定して一定のスピードで、ゆっくり回してもバラツキは出ます。しかも、毎回、同じように挽けるとは限らないからです。

ではどんな電動ミルがいいかというと、電動ミルには刃の種類によって、ブレードカッター、コニカル(コーン)カッター、フラットカッターがあります。個々の説明ははしょりますが、置くスペースと懐具合に余裕があるのなら、粒度が均一で微粉が少ないフラットカッターを買っておけば間違いありません。

粒度の均一性にこだわっているかどうかと言う前提があるので、持っているコーヒーミルで、コーヒーに対するこだわりと熱量を量られてしまいます。個別に商品名を出してしまえば、業務用のマルケニッヒは行き過ぎですが、カリタの「ナイスカットG」「NEXT G」か、フジローヤルの「ミルっこDX R-220」なら「おーっ」と誰もが納得します。ただし、お値段はそこそこするので、清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要です。

こう書いておきながら、今、使っている電動ミルは、oceanrich「自動コーヒーミル G1」。フラットカッターでなくコニカルカッターですが、小さい上にコードレス。キャンプにも持っていけるで気に入ってます。以前使っていた業務用のフラットカッター式は10kg以上もあり、大きすぎる上に引越し先のキッチンに余分なコンセントがなくやめました。

粒度の均一性では負けますが、手動には手動なりの良さもあります。やはり、手でゴリゴリしている時間は楽しいですし、コレクションする楽しみもあります。

手動のミルは、お手軽なので、つい集めたくなります。安いものは数千円から、高いものは5万円ほどまで幅広く、やはり精度に差はあります。左と真ん中がザッセンハウスで、右がポーレックス。粒度の均一性にこだわったコマンダンテのように5万円以上するモデルをはじめ、最近は高級手動ミルも増えてきました。

“挽く”とじっくり向かえ合えば、楽しみ倍増

コーヒーミルには、粒度を揃えるほかに、もうひとつ挽き具合を調整するという大事な役割があります。大きく、極細挽き、細挽き、中細挽き、中挽き、粗挽きの5段階に分かれ、ペーパードリップ、フレンチプレス、エスプレッソ…抽出の仕方で適した挽き目は異なります。また、同じ抽出方法でも挽き目を変えれば、味も変わります。

粗ければ成分が抽出されにくいと前述しましたが、これは湯が内部にまで浸透するのに時間がかかるから。だから、フレンチプレスのような浸けるタイプの淹れ方には適していますが、エスプレッソのように圧をかけて素早く淹れる抽出方法では、ドリップのように湯を透過させる抽出方法では、湯がサッと通ってしまいコクも香りもない味になってしまうのです(粉の量が中挽きと同じと仮定して)。

挽きたてのコーヒー粉に湯を落とすと、さらに香りが広がります。豆が新鮮であればムクムクと粉が膨らみますので、淹れるのも楽しくなります。

というわけで、“挽き”は地味な工程ながら、とても大事。コーヒー粉を買ってくれば、コーヒーを淹れられますが、まず豆を買ってきて淹れる前に挽いて、香りの違いを感じてみてください。そして自分で手をかける工程が1つ増えることで、趣味性も高くなります。慣れてきて挽き目を変えていろいろ試せば、自分好みの味に近づく、思わぬ発見があるかもしれませんよ。

コーヒー豆を挽く時は、粒度の均一性が大事。極める人は、フラットカッターのグラインダーで挽いた豆を、コーヒーの微粉をふるい(クルーヴ シフターなど)にかけ、取り除いてから淹れます。どこまでハマるか。自分なりに線引きして楽しめるのもコーヒー趣味のいいところじゃないでしょうか。

コーヒー豆を挽くと、油脂が歯につくので、お手入れが大事です。ミルについた豆は酸化してしまいます。これが次のコーヒー豆を混ざり合うと、雑味の原因になるので、使った後はしっかりと粉を取り除きましょう。


澤村 尚徳

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編集者
澤村 尚徳

大学卒業後、雑誌、書籍をはじめ、さまざまな紙媒体の編集に携わる。2017年、全国誌の編集長からITベンチャーに転職。コンテンツ作成、イベントプランナー、オウンドメディア編集長を経て、現在、出版社系Webメディア編集長。コンテンツ作りや体制作り、データの分析・活用など、企業メディアにおけるお悩み解決もしている。