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お金の原点に立ち返る

Beyond的わらしべ長者にSTAYFLOWER店主・ナカイカンヤが挑戦!

author: ナカイ カンヤdate: 2025/06/22

普段、何気なく使っている“お金”。好きなモノを買うとき、仕事の対価として受け取るとき、生活のなかでお金は身近な存在。使い方や貯め方は考えるけれど、“お金そのもの”について考えることって意外と少ないかも。

今回は、そんな“お金”を見つめ直すべく、その原点ともいえる物々交換に挑戦!参加してくれるのは、STAYFLOWERの店主・ナカイカンヤさん。日々、お花や人、モノのやりとりのなかで“価値”と向き合うナカイさんと一緒に、お金や交換の本質について考えてみよう。

ナカイカンヤ

STAYFLOWER店主。1994年和歌山生まれ。大学卒業後、サラリーマンを少しばかり経験した後、花屋に。2019年STAYFLOWERをスタートさせる。2021年代田橋に1号店を、2023年中目黒に2店舗目をオープン。

Instagram:@kanyanakai
STAYFLOWER Instagram:@stayflower2019

紀元前7世紀頃、古代ギリシャでは既に貨幣経済が成立していたと言われています。日本では、飛鳥時代に作られた富本銭がその始まりとされているとか。教科書で見たことのある、輪っかに文字が刻まれたアレですね。

それから時計の針を進めること1300年以上。現代では、お金は形あるモノだけでなく、電子データとして私達のまわりに溢れています。お会計のときに「ペイペーイ♪」「ワウォン!」と甲高くなり響くあの音に人類の英知とユーモアを感じずにはいられません。

気軽にタップひとつで決済できて、現金のやりとりすらなくなった今。お金が“何と交換されているのか”意識する機会も、どんどん減っている気がします。そんな今だからこそ、お金の価値についてちょっと立ち止まって考えてみたくなりました。というわけで始まったのが、今回の挑戦。なかなかエッジーな企画だと思いませんか!
 
ここで今回挑戦する物々交換のルールをご紹介。

💸ルール💸
其の壱) お金を使わずに、モノとモノを交換すること
其の弐) 交換したモノから次の交換につなげること

今回の参考にしたのは、日本の昔話『わらしべ長者』。ある貧しい男が、観音さまのお告げに従い1本の藁を手にし、それを次々と人と交換していくうちに、最後には屋敷と財産を得たというお話です。

「わらしべ=藁なら、花から始めてもいいんじゃない?」

ということで、私は一輪のバラを手に物々交換の旅へ。ここからは、モノとモノが織り成すヒトとヒトの壮大なスペクタクル! ぜひお楽しみください。(レッチリで『All around the world』の前奏が流れる~)

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意気込みたっぷり

令和版わらしべ長者スタート!

こちらのバラは「ビロングトゥー」というお気に入り品種で、「僕は君のもの」という意味を込めてその名を冠したバラだそうです。

こちらのバラを交換する相手。非常に大切になってきます。トップバッターかつ、一輪のバラを渡すなんて、場合によっては「一生一緒にいてくれや♪」みたいな話にもなってまいります。(三木道三)

交換 ①|一輪のバラ→ジェフ・ベックのレコード

というわけで最初に訪ねたのは、STAY FLOWERの近所に住む通称「愚か者」ことショウマ君。中森明菜のアルバムに入っていそうな呼び名ですが、彼はそのゆえんたる数々のエピソードを持っています。

数年前、新宿の服飾学校に通うべく上京した彼なのですが、なぜか赤羽のしかも駅から徒歩20分の所に家を借りたそうで。狭いうえに家賃も高いという不思議物件に居を構えました。理由は特にないそうです。いいよね。ロックだよね。すごい好き。

「実は今、物々交換をやってて。このバラと交換してくれるもの、なにかある?」と切り出してみると、アパートから出てきた彼の手には1枚のレコードとピンクが眩しいキーホルダーが携えられておりました。

さっそくすてきなお宝(レコード、キーホルダー)を持つショウマ君

カンヤ:記念すべきはじめての交換! まずはレコードとキーホルダーのエピソードを教えてください。
ショウマ:これは僕が人生で初めて買ったレコードで、ギターを始めるきっかけにもなった伝説のギタリストのジェフ・ベックの名盤です。
カンヤ:え、そんな思い出深いモノを交換していいの笑。あ、あとそのキーホルダーは?
ショウマ:赤羽に住んでるときに買った林家ペーパー子夫妻の「赤羽LOVE」キーホルダーです。

調べてみると林家ペーパー子夫妻は赤羽在住50年以上。なるほど、ギター界のレジェンドと赤羽界隈のレジェンドの夢の共演か。などと妙に腑に落ちたりしつつ、折角なのでレコードに針を落としてみました。

「おぉ超絶技巧、キュインキュイン」
気になる方はぜひ聴いてみてください。

交換 ②|レコード→フラワーバック&ドラえもんキーホルダー

さて、この大切なレコードを誰と交換しようかな。せっかくならジェフ・ベックの価値が分かる人がいいよなぁ。そんなことを考えて向かったのは、豪徳寺のレコード&フラワーショップ・ハッカニブンノイチさん。

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業界の先輩にあたるハッカさん。店内には気の利いたセレクトのお花と、手書きのコメントが添えられたレコードがずらっと並んでおります。こういう細部にこだわったお店、三度の飯より大好きです。

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ちょうど、個人的にお願いしていたレコードの受け取りをしようと思っていたので、タイミングを見て物々交換の話を切り出してみました。

「うお、ジェフベックじゃん!」と、一番嬉しいリアクションをいただけて、内心ガッツポーズであります。キーホルダーに関してはスルーでした。そんなハッカさんがレコードと交換してくださったのが、ビンテージのドラえもんキーホルダーとオリジナルフラワーバック。

緑のドラえもんに、白が爽やかなオリジナルフラワーバッグ

カンヤ:可愛い…….このキーホルダーは、どちらでゲットされたんですか?
ハッカ:世田谷のボロ市で見つけたもので、どうしても欲しくて値切ってゲットしたんです。その日テレビの取材をたまたま受けたのですが、ドラえもんの住んでいないテレビ局の取材だったので、大人の事情でドラえもんのくだりは全てカットされていました。

反町隆の『POISON』が聞こえてきそうな話を伺いつつ、お店を後にしました。

交換 ③|ドラえもん&フラワーバック→グラス

ドラえもんとフラワーバックか〜、お花好きに渡すのがよさそうだな。お花好きといえば、ハッ! というわけでやってきたのは、お花を中心にしたライフスタイルをSNSで発信しているsimihomeことSmithさん。

カンヤ:Smithさんお久しぶりです〜!
Smith:久しぶり〜、面白い企画に誘ってくれてありがとう。
カンヤ:実は今、物々交換をしていて……このフラワーバックと、なにか交換してもらえませんか?
Smith:いいよ〜! お花に合いそうなグラスがいろいろあるから、好きなもの選んで。
カンヤ:金の斧かよ……というくらい可愛すぎて選べないラインナップ。うーん。でも、次に会う人の顔を思い浮かべると、このグラスがよさそう。
Smith:センスいいね! これは、銀座三越で主催したイベントに出店していただいたブランドさんのものなんです。かわいいでしょ?

ザギンのコップを握りしめ、次の方に会いに行きます。

交換 ④|コップ→ブーケ

 次に交換をお願いしたのはは、アヤメちゃん。

私が営むSTAYFLOWERで長年店長をしてくれていた頼れる存在で、今はtayutaという名前のお花屋さんを営んでいます。この日は、下北沢のsowhatvintageさんでPOPUPをしていたので突撃!

「ちょうど今交換したいものがあって……このあと会う人にぴったりなお花をお願いできる?」と相談してみることに。

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カンヤ:ちなみに、このコップと花束を交換してもらってもいい?
アヤメ:もちろん! このコップ、お花を飾っても普段使いしてもかわいいかも〜。ちょうどいいブーケ、束ねますね。

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(左)sowhatvintage のカスミさん(右)アヤメちゃん

アヤメちゃんのたくましくなった姿に、我が子を見守る親のような私。思わず「こんなに大きくなって。。。」と目頭を熱くさせているとお花束が完成しました。アヤメちゃんの100万ドルの営業スマイルに見送られながら次の交換へ。

交換 ⑤|ブーケ→Tシャツ

というわけで続いて向かいましたのは、スタイリストの近藤昌さんのご自宅。私にとって、東京の父的な存在の近藤さん。

私と近藤さんの出会いは5年前。ワンちゃんの散歩途中に転んで流血している近藤さんを私が助けました。そんなことから仲を深めた私達。現在のSTAYFLOWER代田橋店のテナント(築60年のリノベ可能な古民家)を紹介してくださったのも近藤さんです。

と、そんな長い付き合いの近藤さん。

カンヤ:愛弟子アヤメちゃんが束ねてくれたお花をお届けに来ました!
近藤:いや〜、すてき! 部屋に飾ると一気に気分が上がるよ。

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カンヤ:実は、物々交換をやっていまして……。
近藤:じゃあ、このTシャツと交換するのはどうかな? 

近藤:このTシャツは往年の著名人が着ていたTシャツの復刻版シリーズ。ジョン・レノンが着ていたTシャツの復刻デザインなんだ。
カンヤ:え、貴重すぎません……!? めっちゃほしい。

ここで物々交換をやめようかなと魔が差しますが、交換期間終了まではまだ数日あります。

交換 ⑥|Tシャツ→観葉植物

ここで少し方法を変えて、インスタグラムのストーリーズで物々交換を募ってみました!

沢山ご連絡をいただいたのですが、スケジュールの関係で会えない方も多く……。そんななか、インスタグラムで繋がっていたユナさんと物々交換が出来ることになりました。

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カンヤ:今回はありがとうございます。どんなモノをお持ちいただいたんですか?
ユナ:私の家で育てている観葉植物です。この品種は3年前に開発されたもので、ちょうど私がハマっているクラフトジンのカルチャーが流行りだした時期と重なることもあり、ジンと名付けて大切に育てていた子です。
カンヤ:え、そんな大切な我が子をいただいても大丈夫ですか!?

やばい。ジェフ・ベック並みのヘビーなやつが来た、と内心ビビりつつ交換させていただきました。丁寧にケアされた葉っぱから、ユナさんの思い入れの深さが伝わってきます。こうしてTシャツと観葉植物の交換が成立!

と、そんなタイミングでふらりとお店に現れたのが、MARTIN DONUTSの店主マーティン君

カンヤ:あ、マーティン君! ちょうどいいところに。物々交換しましょうよ〜なんかちょうだい!
マーティン:え、唐突すぎません? 仕事終わりで何も持ってないですよ。
カンヤ:えー、じゃあそのメガネでいいですよ。
マーティン:ダメに決まってるじゃないですか! めっちゃ高いんですよこれ。

ちえっ……物々交換、初めての失敗です。価値観の違いってやつですかね。羅生門の老婆のようにはいかないのが令和7年みたいです。

交換 ⑦|観葉植物→カレー

気を取り直して、植物好きな方に想いを馳せておりますと、高校の同級生が働くお店にちょうど用がある事を思い出しました。

というわけで、広尾にありますお肉屋けいすけ三男坊さんにお邪魔しました。

さて、植物が姿を変えたのは、お肉屋さんの特性カレーです!

カンヤ:突然すみません! この観葉植物と、何か物々交換してくれないでしょうか?
けいすけ:ちょうど今、カレーがあるな。あれ、好きだったよね?
カンヤ:大好きです、うれしい〜!

こちらのカレー、実はわたくしの大好物でして。おそらく気を遣ってくれたに違いありません。

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記念にパシャリ

もうここでやめてしまおう、家に帰って米を炊こうとまたしても「ここで交換終わりにしたいな」という悪魔のささやきが聞こえてきましたが、まだまだ交換しますよ。

交換 ⑧|大好物のカレー→Tシャツ

というわけでその日、ちょうどお仕事で伺ったモデル事務所West Management Incの代表である飯島さんと物々交換させていただくことに。

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カンヤ:このカレーが僕の大好物なんですけど、物々交換ってお願いできますか?
飯島:え、美味しそう! じゃあ、このTシャツと交換しましょう。
カンヤ:え、いいんですか、、、!

というわけでゲットしたのはWest ManagementオリジナルのTシャツ。それもなんと2着! しかもアパレルブランド「SUS」のボディで刺繍入りです。

番外編|終わらない旅路

カレーをTシャツに交換したタイミングで、当初設定していた交換期間はひとまず終了……したはずだったのですが。

先日、ふと思い出して立ち寄った笹塚ボウル。そこで、旧知の仲である笹塚ボウル・マネージャーのKiyoに「物々交換できない?」と声をかけてみることに。

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カンヤ:なにこれ、かっこいい!
Kiyo:なぜか我が家にあったカナダの公式ボウリングピン(笑)。ラインがファイアー柄になってるのがかっこいいよね。それと、あとひとつあって……

カンヤ:え、これ映していいやつ(笑) なにこれ?

Kiyo:以前お客さんにいただいたモノなんだけど。よくわからないヤツ(笑)。

出てきたのは亀? の上に、得体の知れない瓶が鎮座した謎のオブジェ。中には高麗人参と思しき物体と、たっぷりの酒? が入っているよう。開け方も不明、詳細も一切不明。

でも、なんか……すごそう!

こんな滋養強壮エリクサーが飛び出してくるとは。これもまた、物々交換の醍醐味です。一輪のバラが滋養強壮剤に姿を変えるとは……これぞまさしく、バラしべ長寿

さてさて、このあと異世界転生したカンヤは、エリクサー片手にドラゴン討伐に成功し、国を治めることになるのですが。その話はまた、次回にでも。

一輪のバラから始まった、9回の交換旅

かくして「バラ→レコードバック→グラス→ブーケ→Tシャツ→観葉植物→カレー→Tシャツ→エリクサー」とめくるめく物々交換を繰り広げたわけでございます。

まさか、一輪のバラが最終的にエリクサーになるなんて。「次は何に変わるんだろう?」という予測不能な展開に、終始ワクワクしっぱなしでした。

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今回の企画を通して久々に会えた人もいれば、はじめましての方もいて。「欲しいものを手に入れる」だけではなく、物々交換を通して生まれるやりとりや会話のほうが、心にホクホク残った気がします。

普段の買い物だったら、ポチッと数クリックで完了してしまうし、直接会って言葉を交わさずとも欲しいものが手に入れられます。

そうは行かないのが物々交換。

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発見はそれだけじゃなかったんです。ハッとしたのが、「モノを手放す」という感覚。

欲しいものを得るには、今ある何かを差し出さなきゃいけない。頭ではわかっていたけど、いざやってみると……やっぱり未練が出てしまう(笑)。

「このTシャツ、もうちょっとだけ持ってたいな」とか、
「あのカレー、食べちゃいたいな……」とか。

でも、手放すからこそ新しいモノがやってくるし、その“循環”の中にいる感じが新鮮でした! 何度も悪魔のささやきが聞こえてきましたけどね(笑)。

そして、何より印象的だったのが“価値”に向き合ったこと。

私自身お花屋さんとして、お花やスキルをお金と交換する毎日を送っているけれど、改めて「価値ってなんなんだろう?」と深く考える機会って、意外と少なかったかも。お金を使うときに「これはいくらで売れるか」とか「どれくらいの利益になるか」と、つい数字で考えてしまいがち。物々交換はもっと感覚的で、パーソナルで、交換する人同士の“納得”だけがベースになっている。

だからこそ「めっちゃ嬉しい!」という実感も深かったし、なによりお金じゃ測れない価値にたくさん触れられた気がします。

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今回、物々交換を通して生まれるコミュニケーションが沢山あって、上手く言えないんですけど、そういうお金で測れない価値ってプレシャスじゃないですか? そんなことを大切にしながら年を重ねていきたいなぁ、と思いました。

いきなり物々交換やってみて! とは言いませんが、なにかを買うときに、「これってどんな価値があるんだろう?」とか、「この先にどんな未来があるんだろう?」と、ちょっとだけ立ち止まってみると、世界の見え方が変わるかもしれません。

なんだか最後は語りすぎちゃいました(笑)。

もしみなさんも何か交換してみたら、ぜひ感想教えてくださいね〜! 私も今回の経験とマイフレンズを金科玉条のごとく、大切にしていきたいと思います♪

Text&Photo : カンヤナカイ
Edit : 舩岡 花奈
Special Thanks:本企画にご参加いただいた皆様

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STAYFLOWER店主
ナカイ カンヤ

1994年和歌山生まれ。大学卒業後、サラリーマンを少しばかり経験した後、花屋に。2019年STAYFLOWERをスタートさせる。2021年代田橋に1号店を、2023年中目黒に2店舗目をオープン。
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date 2025/06/17