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仲良し2人組ポッドキャスターと考える

『ゆとりっ娘たちのたわごと』の“たわいもない話”に惹きつけられるわけ

author: Beyond magazine 編集部date: 2024/03/16

リラックスした笑い声、阿吽の呼吸。親密だけど開かれた会話で人気を集めているのがPodcast番組『ゆとりっ娘たちのたわごと(以下、ゆとたわ)』だ。

同い年の社会人・ほのかさんとかりんさんが手掛ける同番組は開始から6年以上が経過し、いまでは1エピソードにつき数万回は再生され、累計再生数は600万回を超えるという。

Podcastシーンにはアーティストや芸人、タレントなどが続々と参入し、凝った企画や専門性の高いトークテーマを持ち味とする番組も増加している。そのなかで、ともすれば「たわいのない」とも感じられる『ゆとたわ』に心惹かれるのはなぜだろうか。2人との対話から、「友情」が持つ不思議な魅力を紐解いていく。

ゆとりっ娘たちのたわごと

2017年クリスマスにスタートした、かりん(写真右)・ほのか(写真左)によるトークユニット。「スタバで聞こえるOLの会話を盗み聴きできるポッドキャスト」というコンセプトのPodcast番組を週2回配信中。音楽やイラスト、コントなどの創作活動も展開し、活動の幅を広げている。

Instagram:@yutotawa
X:@yutotawa
HP:yutotawa.jp

初めての2人旅行で気づいた互いの相性の良さ

──まず、2人の出会いから教えてください。就活がきっかけだったそうですね?

ほのか:そうそう、ちょっと怪しい就活塾で(笑)。

かりん:怪しい(笑)。

ほのか:大手の人材会社主催とかじゃなくて、10人以下で受講する小規模な会で。とくに参加者同士で話すわけでもなく終わって。帰りのエレベーターに乗ったら、私たちしか乗ってなかったんだっけ?

かりん:そう、たまたま乗り合わせて。そしたらほのちゃんが「お疲れ、このスカートお母さんのなんだけど変かなぁ?」って、自分が履いてるスカートについて聞いてきたんです。

ほのか:そんなに唐突だった(笑)?

かりん:うん、急だなって(笑)。でも、そこで「面白いな」って思いましたね。

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──それからすぐに親友のように仲良くなったんですか?

ほのか:最初はゆるく繋がっている感じでした。社会人になってからは、就職先の業界が近かったのもあって、ちょくちょくご飯や飲みに行っていて。2人ではなくて何人かで集まるなかにお互いいる、みたいな感じでした。で、社会人3年目くらいになった時に初めて2人で旅行したんだよね。

かりん:そうそう。ある時ふと誰かと遠くに行きたくなって、ほのちゃんの顔が浮かんだんです。なぜほのちゃんだったのか不思議ですけど、いま思えば一緒に旅行できそうって思えるくらい、ほのちゃんに「安心感」を感じていたんですよね。

もともと私は人見知りで「顔見知りは多いけど友達は多くない」というタイプ。でも、ほのちゃんはマウントを取ってくるようなこともなく、何を喋っても怖さを感じなかったんです。実はその時、ちょうど失恋して傷心していたタイミングでもあったんですけど、ほのちゃんとなら安心できるなっていう感覚がありました。

ほのか:私も、かりんちゃんは「なんでも一緒に楽しんでくれる人だな」と感じていましたね。遊びの誘いや提案に、絶対に「え、そんなのつまんなくない?」みたいな否定的な態度を取らないんです。

社会人になってから知り合った人って、それぞれどんなバックボーンを持っているかわからないし、良かれと思ってのお誘いが失礼になる場合もある。でも、かりんちゃんは全部に「え、楽しそう」とかポジティブに反応してくれて。そんなかりんちゃんに、私も安心感とか居心地の良さを感じていました。

かりん:さっきお話しした旅行も、新潟に行ったんですけど「鈍行列車で行こうよ」となって。ほのちゃんとだったから、長い道中ずっと話していられたんだと思います。

「ただの友達」とも「仕事仲間」とも違う「相棒」的存在

──そこから、どんなきっかけでPodcastを始めることになったのですか?

ほのか:私がかりんちゃんを誘ったんです。

かりん:そうそう、私も二つ返事でOKしました。

ほのか:もともと日々頭の中で考えていることはあるけど伝えることが得意じゃなかった。でも、すごく伝えたかったんです。言葉にすることで整理したかったというか。

そんな時にかりんちゃんと旅行して、波長が合うのを確信して。「やるならかりんちゃんと」と思って誘いました。

──『ゆとたわ』を始めてからは、どのように関係性を育んできましたか?

かりん:番組を立ち上げてから6年間で会う頻度が増えたり減ったりした期間もあったんですけど、いまは土日のどちらかに必ず会って、午前中から夜までずっと一緒にいます。その間におしゃべりもするしご飯も食べるし、収録もする、という感じです。

ほのか:『ゆとたわ』を始めたばかりのころは「映画行こうぜ」とか、一緒にお出かけもたくさんしていたんですけど、だんだん「一緒にものづくりする相棒」という感じが強くなっていって。何かを企む時間が増えていったよね。

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普段の収録に使用している機材

かりん:うんうん。コロナ禍くらいまでは収録する場所も決まっていなくて、それこそ公園でこっそり録っていたこともあったんですけど、下北沢に『ゆとたわ』の拠点として部屋を借りたんです。そこで一緒に過ごしながら、もちろんPodcastをベースにしつつ、「イベントやろう」「曲をつくろう」とかいろいろ画策しています。

ほのか:思えば、そういう「相棒」みたいな人って人生でいなかったかも。近況報告したり恋愛話をしたりする関係性ももちろん大事だけど、かりんちゃんと過ごすうちに「私たち2人とも、すごくチャレンジしたい人なんだ」っていうのが明確になってきて。距離感が近づいたから、いままで気づいていなかった自分の感情に気づけたのかなと思います。

──なるほど。『ゆとたわ』関連の企画に取り組むなかで、関係性が「友達」から「仕事上の同僚」に近くなっているな、と感じることはありますか?

ほのか:「同僚」とは違うよね、なんて例えればいいんだろう。

かりん:お笑いコンビとかが近いかな? とも思うけど、ネタづくりやボケ・ツッコミみたいな役割分担がきっちりあるわけでもないし、少し違うよね。

でも、いつも言っているのは「おばあちゃんになっても続けていたいよね」ということなので、「仕事」という感じは全然なくて。「ゆとたわとしての最終目標は?」みたいなこともよく聞かれるんですけど、そういうこともあんまり考えず、やっている過程を2人で楽しみたい。2人ともが楽しめることを、Podcastに限らずどんどんやっていこう、というのが『ゆとたわ』なんです。だから、「利益や成果を出すために」が優先される仕事とは全然違う感覚で取り組んでいます。

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「たわいもない会話」こそ、今求められているもの?

──『ゆとたわ』はお互い安心感を感じられる関係の2人が、ともに楽しめることを発信している番組なのですね。番組コンセプトの「スタバで聞こえるOLの会話を盗み聴きできるポッドキャスト」も、まさにそんなお2人の関係を表しているように思えます。

かりん:ありがとうございます! このコンセプトはトークのハードルを下げるために決めました(笑)。番組を始めようってなった時に、「話したいけど、お互いに深く語れるほど詳しいものはないね」という話になって。たとえば映画は2人とも好きだけど、考察できるほど詳しくない。だから雑談の番組にしよう、となったんです。

ほのか:そもそも『ゆとたわ』を始めた7年前って、女性2人組が雑談するPodcast番組はかなり少なくて。だから、何かを参考にするというよりも本当にたわいもない会話の番組をやってみようと思って始めてみた、という感じですね。

芸人さんや芸能人のラジオ番組にも憧れはあったけど、あんな上手なトークができるとは思っていなかったし、本や文章を読んで得られる感銘みたいなものを与えられるとも思っていなくて。一緒に話しているような空気感、雰囲気を楽しんでほしいなと思っています。

かりん:そうだよね。『ゆとたわ』は台本を用意していなくて、ほのちゃんが言ったことに対して自分でも思ってもみなかった言葉が出る、みたいなことが生まれてて。「あ、私こんなこと思ってたんだ」って気づく。ソーサー(※)のみんなは、そういう空気感を楽しんでくれているんだと思っています。

※ソーサー:『ゆとたわ』視聴者の愛称。ティーカップの受け皿が由来。『ゆとたわ』の2人をカップに例え、「私たちがカップの中身をこぼしちゃうかもしれないけど、みんなが受け止めてくれよ」という意味を込めて命名された。

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ほのか:ソーサーからはよく「会話に混ざっているみたいで楽しいです」って言ってもらえるよね。役に立つ情報や名言を言っているわけじゃないけど、同じ時代とか空気のなかにいるって感じてもらえてる。私たち自身も好きで観たり聴いたりしているコンテンツは、出演者さんたちの関係性が素敵だなぁと思うものが多いです。

かりん:私は芸人さんのラジオやトークを聴くのがすごく好きで、ダイアンさんとか宮下草薙さんの番組をよく聴いているんですけど。内容や企画よりも、あの人たちが楽しく喋っていてくれるだけでいい、って感じるんです。それはコンビ間の関係性が、仕事になったいまでも出会ったころから変わっていないからなんじゃないかなぁ、って。私たちにもちょっと通じる部分があるのかなと思っています。

番組をやったからこそシリアスな話もできる仲に

── 一方で、『ゆとたわ』では友達との会話では出にくい、少しシリアスな話題を取り上げることもありますよね。

ほのか:そのあたりは「自我芽生え系」だよね。

かりん:うんうん。

──「自我芽生え系」?

かりん:6年間、「自分たちが感じたことをお互いに話す」をやり続けてきて、それまでは自分のなかでなんとなく思うだけで済ませていたことに向き合えるようになったんです。「あのニュース、気になったよね」とか「こういうふうに言われたら傷つくよね」とか、しっかり言えるようになってきた。

ほのか:『ゆとたわ』の初期までは、生活のなかでつらさを感じる場面があっても受け流して気づかないふりをしていました。でも、番組をやっていくにつれて、一種の「ジャーナリング」(※)じゃないですけど、自分の感情を言語化して、記録していこうっていう方向に2人とも変わっていったんです。

重いテーマを話した過去の配信回をいまになって聴くと、「あ、この時確かにこんなことを思っていたな」と感じることがあって。当時のことを忘れちゃっているってことなんですけど、それは番組で話せたからこそで。解決したり乗り越えたりはできていないかもしれないですけど、自分たちなりのやり方で模索できたから、頭が次の段階に切り替わったんだと。Podcastをやっていてよかったな、と感じます

※ジャーナリング:頭に思い浮かんだことをありのままに書くことで自分を知り、ストレスを軽減し、メンタルヘルスを高める方法。

かりん:センシティブなテーマを話すと、やっぱりソーサーからもお便りがたくさん届きます。すべて配信内で読み上げられるわけじゃないけど、私たちの手元では全部読んでいて。もちろん私たちと違う意見の人もいて、そういうお便りを読むと「こういう人もいるんだ」って自分たちの世界が広がっていく。同じ意見だよ、というお便りをもらうとやっぱり安心するし、心強く感じる。そういう意味でも、しっかりと番組で話してみんなに届けるということは大事だなと思いますね。

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──心の深い部分をソーサーにも共有しているんですね。お2人にとってソーサーはどのような存在なのでしょうか?

かりん:もちろんプライベートで一緒に遊ぶこととかはないので「友達」とは言えないですが、ある意味では「友達」より近い存在かもしれません。たとえば中学とか高校の時からの大事な友人たちには言えていないけど『ゆとたわ』の配信では話した、ということはたくさんあります。

ほのか:イベントなどでソーサーと会うと、「もともと友達だったっけ?」と錯覚するくらい、雰囲気や空気感が合う人が多いんです。私たちは「逆に団」というファンコミュニティも運営しているんですけど、それを始めた理由も、「ファン同士絶対に気が合う」と思ったから。ファッションの系統とかバラバラなのに、打ち解けあって親友みたいな関係になってる子たちもいて、羨ましいくらいです。

大人になってからできた友達ならではの魅力

──ここまでのお話をうかがっていると、『ゆとたわ』の人気の秘密は、お2人の関係性のちょうどいい心地よさと、それが深まっていくのがリアルに感じられることなのかも、と感じます。

ほのか:確かにそうかもしれません。逆に中学とか高校からの友達となら、それまでの関係性を壊すのが怖くてPodcastを始めようとは思わなかったかも。

かりん:これは奇跡的だなぁと思うんですけど、私たちは一緒に活動するうえでのスタンスがとても近いんです。もしどちらかが「めちゃくちゃ有名になりたい」とか「稼ぎたい」みたいな意欲でやっていたら、6年間も続かなかったと思いますね。

ほのか:「逆に団」を見ていても思うことなんですが、みんなやっぱり、学校や仕事での繋がりとか、すごく仲のいい親友とかが相手でも話せないことがある。そういうことについて、私たちの話を聴きながらあれこれ考えたり、意見をお便りで送ったり、ファン同士で交流したりすることで、ある意味サードプレイスのような居心地の良さを感じてくれているんじゃないかな。

かりん:たとえば結婚する・しないなど人生が分岐していくと、以前は仲が良かった人同士でも完全に気持ちを共有できないことがありますよね。そんななかで、もうひとつ別の場所として『ゆとたわ』を聴いてくれて、お便りをくれたりコミュニティに入ってきてくれたりする。私たちはそんなみんなからの声を受け取って、「こんな人もいるんだ」「こんな意見もあるんだ」って自分をアップデートしていく。そんな関係性が築けているなと感じますね。

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──ほのかさん、かりんさん、ソーサーの奇跡的な関係が、『ゆとたわ』の魅力なのですね。お2人の関係性に憧れる人も多いと思いますが、最後に大人になってからの友達づくりについてアドバイスをいただけますか?

かりん:私自身人見知りで、大人になってからできた友達も多いとは言えないんですけど。ただ、自分自身をなんとなくわかってきてから、そういう関係を築けるようになったと思います。

まだ自分のことがあまりわかってなかった時は、波長が合わない人とも頑張って付き合おうとしすぎていたかも。それが20代半ばくらいになってようやく、「あ、こういう人となら無理せず話せるかも」というのがわかってきて。大人だからこそ、合わない人との関係を無理に深めようとしなくていい。いま、友達づくりで悩んでいる人も、自分がもっともっとわかってくればやり方が見つかるかもしれないですよね。

ほのか:私がかりんちゃんと友達になった時のことを思い返すと、めちゃくちゃ話が盛り上がって一気に意気投合したというよりは、いろんな体験を一緒にして、お互い「面白い」と思えたというのが大きいと思っていて。先ほどお話しした新潟の旅行では、Airbnbに泊まったんですけど、そこがかなりボロくて(笑)。しかも、鍵が見つからないとかハプニングも続出したんです。でも2人ともそこで不機嫌になったりせず、「おもろいね」「かなりおもろい」って笑い合えて。

何気なく一緒に過ごすなかで、ネガティブなことや些細なことも一緒に楽しめた時に、「ああ、なにか一緒にやりたいな」って思えた。気になる人とは、いろんなシーンを一緒に過ごしてみるといいかも。意外なところで感覚がマッチするかもしれませんよ。

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ファンコミュニティ「逆に団」はこちら:https://fanicon.net/fancommunities/5604

Text:生駒奨
Photo:新家菜々子
Edit:白鳥菜都

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Beyond magazine 編集部

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