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ジョニーさんの鞄のエンタメ学校

知的好奇心が満たされる。世界でも珍しい”カバン”にフォーカスした博物館

author: 難波敏史date: 2022/09/13

普段何気なく使っているカバンだけど、歴史やディテールの作りなどについて深く考えたことは少ないかもしれない。東京・台東区には「世界のカバン博物館」という、世界的にも珍しい“カバンに特化した”博物館があるんです。ここでは、カバンの年表やカバンの部品、歴史的な価値のあるカバン、著名人の愛用したカバンなど、普段の生活ではなかなか出会う機会のない貴重なカバンを数多く展示している。そんな「世界のカバン博物館」で、自分が知らなかった世界を知るドキドキとワクワクを体験してみてほしい。

教科書にも載る歴史的瞬間に同行したカバン

「世界のカバン博物館」では、古くから続くカバンの歴史を学べたり、スーツケースを解体して全てのパーツが展示されていたり、子どもから大人まで楽しめる学びの場としての魅力が詰まっている。その中でもぜひ見ていただきたいのが、僕がこの博物館で一番歴史的価値が高いと思っているカバン。なんと最後の元老であり、立命館大学を創設した西園寺公望氏が愛用していたトランクなんだ!

第一次世界大戦が終結しパリで講和会議が行われることになった際に、西園寺氏の洋服や荷物を入れて往復したトランクである。教科書にも載るような歴史的瞬間に同行したカバンなんてなかなかお目にかかれないよね。ディテールが分かることで物語を空想しやすくなることってあるじゃない? 多くの時間を共に過ごすカバンにはそういうロマンもあるんだ。

西園寺公望氏の子孫の方から寄贈して頂いた品々。西園寺公望コーナーとして展示
西園寺公望氏のネーム入り

ウルトラレアなカバンがここにはある

ほかにも貴重なカバンが数多く展示されている。例えば、クロコダイルを12匹使っているキャビントランクは、この博物館を作ることになったときに創業者がフランスのモラビト社というメーカーにカスタムオーダーしたもの。

ちゃんと分かっている範囲では、この形のキャビントランクは3個しか生産されていないそうだ。何処にあるか調べてみたところ、香港とアラブ、そして駒形の3箇所にしかないという。世界に3個のカバンを駒形でみられるというのも面白い。大きな声では言えないけど、このキャビントランクは当時の価格で数千万円でオーダーしたらしい。もし僕がお宝を鑑定する番組に出演したら、どのくらいの値段がつくのかちょっと聞いてみたいよね(笑)。

世界で3型しかない、12匹のクロコダイルを使ったキャビントランク

長嶋茂雄氏が、初めて監督になった時のカバンもある。なんで分かるかというと、サイドに"90"の背番号があるからだ。実はこれはエースが作ったカバン。アスリートの方々のカバンが展示されているのもそうした縁によるところも大きい。

長嶋茂雄氏が初めて監督に就任したときに使っていたカバン

エースのカバンだけじゃない。ブランドの枠を超えたカバンを展示。

通常の博物館は、自分のブランドの製品しか展示しないもの。しかし「世界のカバン博物館」では、エースのカバン以外も展示している。例えば、ランセルが作ったダリグラムコレクションのカバン。

当時、ダリは妻に贈るカバンをランセルにオーダーした。その時使われたダリグラムを、現代的にデザインした他ブランドのカバンを展示しているのだ。ちなみに、ダリグラムというのはダリが奥さんに向けて書いたラブレターとも言われている。たまには館長らしいことも言わないとね。

カバンに描かれている模様がダリグラム

また、ロエベがシマウマの革で作ったカバンや1965年に作られたピエールカルダンのカバンもある。1965年というと僕と同い年。57年前のファッションはこんなにおしゃれだったんだということも知れる。他のブランドのカバンを展示することで、当時のファッションの空気感を感じ取れたりもする。「世界のカバン博物館」と謳っているからには“ブランドに縛られない展示”は今後も続けたい。

<左>シロエベのシマウマを使ったバッグ。<右>1965年に作られたピエールカルダンのバッグ

ちょっと豆意識。シマウマは、サバンナに生息している。こんな縞々だと捕食動物からすれば格好の餌食。なのに、なんで縞なのかな? 最近の論文によれば吸血昆虫から身を守る為という説が多く発表されている。もうひとつ気になった事、それは“何縞” なのか……? 動物は、二足歩行にしてみたときの縞が縦か横かで何縞か判断するそう。だから、シマウマは横縞なんだ。タイガースは縦縞。トラは横縞。ヨコシマなおいらと一緒(笑)。

「世界のカバン博物館」のルーツ

エースの創業者・新川柳作が1958年に欧州を視察した時に体験したことが、「世界のカバン博物館」を作るきっかけになった。ドイツのオッフェンバッハにある「皮革博物館」を訪れた際、多くの皮革製品が展示される中でなぜかカバンは数点しか展示されていなかったという。

創業者は、カバン作りに携わる者としては残念であると同時に寂しさを感じたそうだ。そこで「もっと多くの人々にカバンを通じ恩返しができないかな~?」という想いから、1975年に「世界のカバン館」をオープン。ブランドや国などに縛られることなく多くの貴重なカバンを収集し展示した。そして、エース創業70周年を機に「世界のカバン博物館」と改名してリニューアル。

創業者の「カバンを通じて世界の風土や歴史を紹介する施設を作りたい」という想いを受け継ぎながらも、展示物の更新や音声ガイダンスの専用アプリを導入するなど進化し続ける博物館になっている。

なぜ無料で解放できるのか?

無料で開放するのは「カバンを通じて世界の風土や歴史を紹介する施設を作り、多くの人にカバンを生業とさせていただいている恩返しがしたい。それが社会への恩返しだ」という創業者の思いから。その想いは今でも受け継がれている。また、PRに携わる人間としては、「世界のカバン博物館」はエースというバッグブランドを知ってもらう貴重な財産だと思っている。

来館者が「ここまでの施設が無料なの!?」「この無料の施設を運営しているところって何処?」「へー、エースって会社なんだ」という感じで、エースを知っている人にも、エースを知らなかった人にも愛着を持ってもらえる“きっかけの場所”になったらいいなと思っている。

また、浅草というトラフィックの多い土地に建っているのも大きい。浅草観光ルートのひとつの名物スポットになれる可能性があるからだ。実際に、浅草寺の観光と合わせて来館される方も多い。こうした活動をCSRの一環として捉えているから、博物館を無料で開放できているのだ。

最近はインターネットで手軽に知識を得られる便利な時代。だが、空気感など体感できないことも多くある。そもそも「カバンの博物館ってなんなの?」って知らない人も多いだろう。“博物館”という響きから古いものを展示しているだけと思ってしまう人も多いかも知れない。ただ、現代の新しいものも置いてあるし、常に展示物もアップデートされている。だからこそ一度足を運んでいただき、是非ともオフラインで体験してもらいたい。


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難波敏史

エース株式会社マーケティング本部マーケティング部次長、世界のカバン博物館館長、北九州市ひまわり大使。エース株式会社の広報として手腕を振るい、”ジョニー”の名で名物広報として業界内で知られる。
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