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歌って踊るだけ、なんて認識はもう古い!

TikTokでモノが売れる時代。2021年の「TikTok売れ」を振り返る

author: 鈴木 朋子date: 2022/01/04

2021年、SNSでもっとも注目された現象は「TikTok売れ」だろう。TikTok売れとは、TikTokで話題になった商品が売れること。女子高生がダンスを踊ったり、若いシンガーが歌を歌ったりするプラットフォームであったTikTokが、成長とともに大きな変貌を遂げたのだ。

TikTokで何が売れたのか。まずは、地球の形を模した「トローリ プラネットグミ(地球グミ)」が挙げられる。TikTokのヘビーユーザーであるZ世代に刺さる、「映える」お菓子だ。見た目のかわいらしさと、食べる様子を投稿する「ASMR」(音フェチ向け動画)と相性が良く、TikTokでは空から降ってくるプラネットグミを食べる動画が数多く投稿された。

ファミリーマートのカラーをデザインした「ラインソックス」も人気となった。TikTokでは「ファミマソックス」と呼ばれ、購入できた人達が喜びの声を投稿。コーディネートした様子を見せるなど、大流行となった。

Z世代向けの商品が、Z世代がよく見ているTikTokで売れることは、想定内かもしれない。NTTドコモ モバイル社会研究所の調査(2021年5月)では、全年代におけるTikTokの利用率は6.6%だが、10代の利用率に限定すると31.1%、20代では13.3%と、若い世代の利用は高い。

しかし、TikTok売れの面白さはZ世代にモノが売れることだけではない。「リバイバルを生むこと」、そして「高級品も売れること」だ。

リバイバルヒットが生まれるTikTok

大塚製薬の「ファイブミニ」は、30代以上の人なら見たことがあるであろう、トクホ飲料だ。鮮やかなピンクと小さな小瓶、そして入手しやすい価格がZ世代の心を惹きつけ、TikTokで火が付いた。「ダイエットにいい」との口コミ効果もあり、これまでファイブミニを購入したことがなかったZ世代を中心に突然商品が売れ始めた。特にマーケティングを仕掛けていなかった同社の担当者は、TikTokでバズっていることを突き止めるのに丸一日要したという。

紙の書籍も売れた。30年以上前に発刊された筒井康隆著「残像に口紅を」(中央公論新社)は、書籍を紹介するTikTokerのけんごが紹介したことで、リバイバルヒット。9万5000部の増刷となっている。

これまで、TikTokでは倖田來未が2010年にカバーした「め組のひと」が、2018年6月にLINE MUSICのデイリーランキングで1位を獲得するなど、かつて流行ったものがTikTokをきっかけに再度流行する現象があった。音楽とTikTokは密接に繋がっていることもあり、自然に受け止められてきたが、そのリバイバル現象はモノにも派生しているのだ。

そして、Z世代には手が届かないようなモノも売れている。福岡県柳川市の高級旅館「柳川藩主立花邸 御花」は、7000坪の敷地に建つ、国指定名勝だ。ある日TikTokに投稿された「お舟で朝食プラン」が注目され、TikTokにて約150万回再生。同プランは2か月分がほぼ完売となった。

BMWディーラーのアカウント「BMWのオネーサン」は、BMWの魅力を山形弁で楽しく紹介することで、これまで3台の成約に繋がったという。

なぜTikTokでモノが売れるのか

歌やダンスでユーザー数を拡大したTikTokが、なぜ商品の購買に結び付く現象を引き起こしているのか。それは、TikTokのミームとAIによる拡散力だ。

TikTokでは「ミーム」と呼ばれる現象が起きる。ミームとは、ユーザーの投稿を真似して投稿することだ。TikTokに何か投稿したいと思っても、ゼロから動画のコンテンツを作り上げることは難しい。しかし、他のユーザーの投稿を真似したり、アレンジしたりするのであればハードルが下がる。TikTokもミームを支える機能を用意しており、同じ音楽で動画を作りやすい仕掛けや、「ハッシュタグチャレンジ」と称するキャンペーンを提供する。

「プラネットグミを食べる様子を真似したい」−−そう思ったらグミを入手すれば、すぐに同じような流行りの動画を撮影できるのだ。「ファイブミニを買った」「ファミマソックスを買った」と投稿している動画を何度も見ると、自分もいち早く流行に乗りたくなる。

「何度も」と書いたのは、TikTokでの視聴スタイルがそうさせるからだ。TikTokには他のSNSのようにフォロー機能はあるが、実際によく見られている画面はフォローした人の投稿が表示される「フォロー」ではなく、TikTokが投稿を表示する「おすすめ」だ。

「おすすめ」では、TikTok独自のアルゴリズムにより、そのユーザーが好みそうな投稿が表示される。動画を最後まで視聴した、いいねした、フォローした、検索したなどの情報が分析されて表示されるので、TikTokユーザーは同じ「おすすめ」を見ていても、それぞれ異なる動画を視聴しているのだ。

この「おすすめ」には、ユーザーが見てきた投稿に似ているものだけでなく、これまで見ていなかったジャンルや話題の動画なども時々差し込まれる。意外な発見をすることで、ユーザーはついついTikTokを見続けてしまう。また、他のSNSではフォロワーが少ない人は視聴される数も少なくなってしまうが、TikTokでは動画そのものが面白ければいくらでもバズる。

先に紹介した事例では、他のユーザーの投稿から自然に売れたケースだけでなく、自分のアカウントで発信することでTikTok売れに繋げたケースがある。今はユーザーが主導でブームを作り出す、いわばオーガニック投稿がウケている。一方で、TikTokの広告はユーザーから好意的に受け取られると言われている。今後はオーガニックと広告の両面で戦略的なマーケティングを仕掛けることで、購買行動に繋げることができるかもしれない。

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ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー
鈴木 朋子

SNSが専門でtoB、toCともに取材し、最新トレンドを常に追っている。身近なITに関する解説記事も執筆しており、初心者がつまずきやすいポイントをやさしく解説することに定評がある。スマホ安全アドバイザーとして、安全なIT活用をサポートする記事執筆や講演も行う。近著は「親が知らない子どものスマホ」(日経BP)、「親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)。著書は監修を含め、20冊を越える。
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