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Interview

実録「ホワイト系YouTuber」〜vol.5〜

“軸”は「エンターテインメント」! そのうえでの“強み”に「英語」がある【華音】

author: Beyond magazine 編集部date: 2022/11/28

小学生がなりたい職業第1位のYoutuber。しかし、ニュースを見ていると炎上系や暴露系といったグレー系なYoutuberが取り沙汰され、エキセントリックな部分ばかりクローズアップされてしまいがち……。本連載では、模範的な活動を続けるホワイト系のYoutuberにスポットを当てて直撃インタビュー。第5回目は、長年の海外生活を経て習得した、実践的な「英語力」とワールドワイドな「コミュ力」を武器とした体験系ルポ…ほか、アグレッシブなつくりの「華音チャンネル」が好評な、華音(かのん)さんです。

「アウトプット」の機会が少ない日本の英語教育

ニュージーランド・米国カリフォルニア・英国ロンドン……と、のべにして約7年間を英語圏の海外で暮らしたという華音さん──17歳で初めてニュージーランドへと留学したときは、「英語に慣れてきた」程度で「しゃべれるようになった」という感覚はなく、「学校でもクラスメイトと一緒に普通に英語の授業を受けていた」と告白する。そんな彼女がなぜ、今日(こんにち)のような卓越した英語力を身につけることができたのか?

華音さん:「語学留学」という意識がなかった──そのおかげだと思います。私は高校を卒業するころにはミュージカル女優になりたかった。カリフォルニアの大学に入学した目的も、あくまで「本場のミュージカルを学ぶこと」でした。

「ミュージカルに携わる」ためには、英語ができるのが大前提。「語学習得」はあくまで手段の一つであり最終目標じゃない、英語ができなければもうおしまい。演劇も上達しないし、会話もミーティングも台詞の言い回しもできないから、オーディションすら受けることができません。だから、「英語は絶対にマスターしなければ!」という危機感がありました。

──とくに日本人は語学習得力が低いと言われていますが?

華音さん:海外の高校や大学に通って私が気づいたのは、「日本の語学教育はアウトプットの機会があまりに少なすぎる」ということ──しかも、現在でもそのウィークポイントはほぼ変わっていない印象です。リーディングとリスニングの教育は、どの国と比べても遜色はありません。けれど、海外の授業には「ディスカッション」が積極的に取り入れられているんです。

たとえば、一つの物語があって、「主人公はこういう行動を取ったけれど、もし違った行動を取っていたら、そのストーリーはどう変わっていったと思う?」と質問されたとします。すると、そのテーマに対して一人ひとりが意見を述べ、議論し合うわけです。日本だと、仮に同様の授業があったとしても、挙手して指された人だけが発言したり……と、限られた人にしかアウトプットの機会が与えられません。そのような長年の教育システムから「インプットしかできない日本人」が出来上がってしまったのではないでしょうか。

じつに耳の痛い指摘である。ならば、そのように“残念”な「語学教育」しか受けることができなかった大半の日本人が、実用性のある“リアルな英語”を身につけるにはどうすればいいのだろう?

華音さん:まず、自分(の語学力)がどのレベルにいるのかを正確に把握することがポイントです。

本格的に英語を学ぼうとするなら、とにかく文法をクリアしないとしゃべることすらできません。読むこともむずかしい。「自分の文法力」をきちんと認識したうえで、仮に関係代名詞のくだりをど忘れしてしまっているのなら、それこそ中高校で学習した文法を復習して、同時に単語も憶える……。そうすれば、作文は書けるようになります。書けるようになれば、今度はその応用で会話での文章の組み立てが頭の中でできるようになってくる。その繰り返しで必ずしゃべれるようになります。

──ヒヤリングは?

華音さん:ヒヤリングで一番大切なのはシャドウイング。「誰かがしゃべっていたことをゆっくりでいいから、そのまま口に出す」練習法です。「ただ聞いているだけ」じゃ意味はないんです。どういう言葉がそこに入っていたかを正しく理解したうえで、意味は理解しなくてもいいから、自分が聞いた言葉を反復する訓練を重ねていたら、おのずとリスニング能力もアップします。

「人を楽しませたい」というシンプルな衝動からYouTuberに…

ひょんなきっかけで、英国で仕事ができる機会を得た華音さんは、2017年から3度目の海外生活をロンドンで3年間すごすことになる。YouTubeを始めたのも、ちょうど移住をしたタイミングで……だったらしい。

華音さん:(カリフォルニア在住時代から)「自分はエンターティナーになりたい」という想いが常にありました。ミュージカルは、一つのステージをみんなでつくる性質のエンターティンメントであり、演じるときは台本があって、表現できるものが限定されてくる──私がやりたいのは、突き詰めると「人を楽しませること」なので、ミュージカル女優は単なるツールの一つ。必ずしもミュージカルだけにこだわらなくても、表現手段はたくさんある……といった発想に到ったのです。

そこで「自分がやりたいことを気軽に表現できる身近なツール」として目をつけたのがYouTubeでした。

「かなりポジティブで、何事にも恐れず動じないチャレンジャー気質の持ち主。反面、考える前にすぐ行動し過ぎてしまうような危うさもある(笑)」と、華音さんは自己分析する。そのおおらかな性格がYouTubeにもストレートに反映されているのか、ひとつ一つの動画テーマも「一点集中型」というよりは、「面白そうなことはなんでも果敢に実行する」といった風に、間口は広めだ。

華音さん:一応、YouTubeでは自分のなかで「軸」と「強み」を分けています。「軸」は「エンターテインメントとして視聴者の皆さんに楽しんでいただくこと」──そのうえで「強み」としての「英語」がある……という感覚です。

「英語チャンネル」としてつくっているつもりはありません。ネット上で「英語系チャンネル」にカテゴライズされていたら、逆に「ああ、私のチャンネルは英語系なんだ…」って(笑)。

あと、「こだわりを持たず面白そうだったら、とにかくやってみる」姿勢は、テーマがブレるデメリットはあっても、それは「トライ&エラー」! いろんなジャンルのコンテンツを発信していくことによって「可能性をより拡大していきたい」と、私は考えています。

スランプ時は動画配信を一時停止してでも「リセット」を心がける!

YouTubeを始めて1ヶ月ほどで数字それなりの数字を弾き出したという、YouTuberとしては幸運なスタートを切った華音さんだが、「これでやっていけるかも…?」という安心感はまったくなかったと、彼女は述懐する。

華音さん:「これで絶対やっていく!」という切迫感しかありませんでした(笑)。他の売れっ子YouTuberさんと同じくらい稼ごうと思えば、その人たち以上に徹底してやらなきゃ無理! いつもそう自分を鼓舞させながら、やっていました。編集技術もスマホを見ながらの独学です。

──動画制作の際に気を付けていることはありますか?

華音さん:強いていうなら、語り口調です。最初の2〜3年は敬語でしゃべっていましたが、カメラの前で敬語を使うと、素じゃないせいか、なんとなくのハードルの高さを感じてしまい……。なので、今は敬語はやめてラフな言葉でしゃべるようにしています。なるべく“ナチュラルな私”を出せるように……と。

──動画出演中は心なし早口ですよね(笑)? 

華音さん:テンポにはけっこう気を使っています。リポーターの仕事などでは、もう少々ゆっくりめにしゃべりますが、YouTubeはこれくらいでちょうどいい。早めにしながらも強弱はハッキリつけて……。英語圏の動画はすごく早口ですし。

──華音さんが一番気に入っている過去の動画は? 

華音さん:あるイギリス人の自宅に訪問したときの動画……かな? そこに住んでいる友だちの女性と一緒にエスカルゴを食べるという企画でした。エスカルゴって「かたつむり」じゃないですか! そのかたつむりの殻がとにかく気持ち悪くて、二人ともめっちゃテンションが高かった。笑い涙を流しながら編集していました(笑)。

──参考にしているYouTuberは?

華音さん:いません。あくまで私個人の主観なんですが、下手に「参考にするチャンネル」をつくってしまうと、どうしても二番煎じになってしまいますから。

通常だと、朝の8時に起きて、ミーティングがあれば(おもに)リモートで午前10時ごろから始め、その後は編集作業。午後からは撮影……といったスケジュール感なのだそう。また、自宅にいるときは「週に2〜3回の撮影」を自らのノルマとしている華音さん──まさにYouTube三昧な日常で、スランプに陥ってしまうようなことはないのだろうか?

華音さん:スランプはあります。インプットが尽きて、動画をつくる気力が萎えてしまう時期が年に1〜2回くらい……。「刺激がなくなったがゆえの電池切れ」みたいな状態でしょうか。

──そういうときはどうするのでしょう?

華音さん:“栄養”をなんらかのかたちで「充電」──インプットできる機会を積極的につくっていくしか方法はありません。たとえば、友だちと一緒に人生初のボルダリングに挑戦してみるとか、カヤックをやってみるとか……インパクトが強めな新しいこと──“ワクワク”を「充電」するようにしています。料理とかもアリなんですけど、普段目にしている風景だと、なかなかワクワク感も上がってこなくて……。なるべくわかりやすいことにトライするほうが私の性には合っている。

忙しすぎて「リセット」の時間が捻出できない場合は、動画の配信を一時休止してもかまわない──それが私の持論です。たしかに数字の面では、間違いなくマイナスでしかありません。だけど、そんなすり減ったマインドでつくったものが人を楽しませることなんてできないと、私は思うんです。

将来はYouTubeから派生するいろんなことにチャレンジしたい!

星の数ほど存在する「YouTuber」だが、彼ら彼女らが目指す“ゴール”は千差万別──そんなクリエイター側の多種細分化が目まぐるしい昨今、華音さんはYouTubeと一体どういったスタンスで接しているのだろう? 

華音さん:私にとってYouTubeは「表現の場所」です。「ビジネスの場」と解釈したことは一度もありません。一言で「ビジネス」と言ってもさまざまなケースがありますが、自分はYouTubeを仕事として捉えたくはない。仕事として捉えてしまえば、おのずと「やらなければいけない」という義務感が発生してしまい、「楽しいこと」じゃなくなってしまう。それが長い目で見たらコンテンツのクオリティに影響してくるのではないか……と。

「YouTube=仕事ではない」という理念は、もっとも太い「軸」として心に刻んでいます。だから、ビジネス的なルーティンになってしまったら先にも申したとおり、しばらく休憩を挟むなりしてリフレッシュするよう努めています。「皆さんに楽しんでいただけて収益化できる」というバランスが自分ではベストなんです。

「自身のエンターテインメントをYouTubeだけで終わらせたくないとの野心はある」とも華音さんは語る。

華音さん:YouTubeから派生して、そこから繋がっていくなにかを将来はやりたいですね。

──その長期的展望で、なにかおぼろげに見えている“次のステップ”は? 

華音さん:いくつかあるんですが、一つはモータージャーナリスト。運転は苦手だったんですけど、二十歳前後からクルマは好きだったので。欲しいクルマはポルシェの911GT3です。頑張って近い将来買えたらいいな……と秘かな目標にしています(笑)。現在、日本のモータージャーナリスト界は「英語がしゃべれる人」がわりと貴重だったりするんですよ。そういう意味では頑張ればまだまだ獲得できる席が残っているんじゃないかな……?

もう一つは、海外をメインとしたウェブサイトをつくってみたい。日本人向けに「留学」ほか……リアルな情報を発信するような。

最後に。YouTuberを目指している人たちに……さらにはBeyond世代の皆さんに向けて、華音さんからメッセージをいただくことにしよう。

華音さん:YouTuberとしてやっていくのにもっとも重要なのは「続けること」──語学と一緒です。そして、「続ける」ためには自分が一番楽しまなければダメですから、「やらなきゃいけない」という気持ちが出てしまったら、それは危険信号──たぶん続きません。続けるためには「ウケを狙う」より「自分が好きでやり続けられるコンテンツ」を選ぶべき。

さらに、なにかしら「人の為になる」ということも、すごく重要です。YouTubeで成功している人たちはその複合的なバランスが優れているのではないでしょうか。

──ありがとうございます! 次にBeyond世代へのメッセージもお願いします。

華音さん:私たちがいつも見ている世界は本当にほんの一部でしかありません。そこだけでなにかに一喜一憂して完結してしまうのはあまりにももったいない。

Beyondの読者の皆さんはまだまだ若いので可能性も時間もいくらでもあります。だから、やってみたいと直感したことにはどんどんとぶつかっていってほしい。それがたとえ失敗に終わろうと、やる前とやった後とでは見え方がまったく変わってくるし、視野も広がってくる──そこからまたなにか新しいことをチョイスして、チャレンジすればいい。「人生は選択の連続」なのですから。


華音(かのん)

石川県金沢市生まれ。高校2年生のときニュージーランドに約1年間留学。その後、ミュージカル女優を目指し、米国のカリフォルニア州にある大学で学生生活をすごす。タレントやミュージカル活動を経て2017年、英国のロンドンに移住。その同年にはYouTubeチャンネル「華音チャンネル」を開設。「英語力」をテーマとした独自の視点が国内外を問わず好評を博す。3年後に帰国し、現在はYouTuberを活躍の拠点としながら、モータージャーナリストとしても活動を始める。

華音チャンネル (Kanon)

Interview&Text:山田ゴメス
Photo:比留間保裕

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Beyond magazine 編集部

「遊びで超える、今日の自分。」をコンセプトに、30代やミレニアム世代、Z世代のセンスをアップする情報をお届けする編集部アカウント。
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