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アパレル産業にも衝撃必至

「ナイキ」が作った糸を使わない革新的ウェアがすごすぎる

author: 神津文人date: 2022/09/21

いかに環境負荷を抑え、炭素排出量を減らすか。サステナビリティの追求は、現代社会で企業活動を行ううえで避けては通れないもの。中でもアパレル産業は、製造にかかるエネルギー使用量やライフサイクルの短さなどから環境負荷が大きい産業だとされているため、リサイクル素材の活用などが積極的に行われている。今回、ナイキが生んだ新たなイノベーションにより、アパレル生産の風景が大きく前進するかもしれない。

まったく新しい方法で生地を作る「ナイキ フォワード」

環境省のレポート(調査は2020年12月〜2021年3月にかけて行われた)によれば、国内に供給される分だけで、ファッション産業の原材料調達から製造段階(紡績・染色・裁断・縫製・輸送)までに排出される二酸化炭素排出量は約90,000kt、水消費量は約83億m3。服1着あたりに換算すると二酸化炭素排出量は約25.5kg、水消費量は約2,300ℓになるという。当たり前のことではあるが、服を一着作るのにも資源が必要で、環境負荷がかかるものなのだ。

ナイキが新たなイノベーション・プラットフォームとして発表したNike Forward(ナイキ フォワード)は、ニット(編物)や布帛(織物)とは全く異なる方法で生地を作ることで、エネルギー使用量を大幅に削減することに成功した。

 ナイキ フォワード メンズ フーディ 18,150円

編物も織物も、まずは繊維を糸にする紡績という工程が必要になるが、ナイキ フォワードは繊維から直接テキスタイルを作るため、紡績の工程が省かれる。その結果、従来のニットフリースと比較して、カーボンフットプリント(製品を作るために排出されたあらゆる温室効果ガスをCO2の排出量に換算したもの)を約75%削減できたという。もちろん生産にかかる時間も短縮される。

繊維から直接テキスタイルにしているからか素材感が独特

開発に5年以上の歳月をかけたというナイキ フォワード。カーペットの製作などで使われるニードルパンチという技術を独自に改良した特許出願中の技法により、複数の繊維のレイヤーを重ねて絡み合わせ、生地を作り出している。

機能性にも優れたフーディーとクルー

ファーストモデルのフーディとクルーの生地は5つのレイヤーで構成されており、使用されている素材の70%以上がリサイクルされたポリエステルとなっている。重ね合わせる繊維はポリエステルでなければならないわけではなく、用途によって繊維、レイヤー数も変更することが可能。今回はライフスタイル用のアパレルのみの登場となったが、今後パフォーマンス用のアイテムが展開される可能性もあるだろう。

ナイキ フォワード メンズ クルー 15,400円

ライフスタイルモデルだからといって、機能性を無視しているわけではない。ナイキには1991年に誕生したFitテクノロジー(Functional Innovative Technology)と呼ばれるアパレルテクノロジーがある。吸汗速乾性に優れたドライフィット、保温性に優れたサーマフィット、風雨を防ぐためのストームフィット。そして、それぞれの上位テクノロジーであるADV。計6つのFitテクノロジーが存在する。今回、ナイキ フォワードのアイテムとして登場するフーディとクルーはサーマフィットADVを備えたものとなり、保温性が高く、そして軽い。秋冬シーズンを快適に過ごすのに適した仕様となっている。

こちらは裏地。今作はサーマフィットADVを備えており保温性が高い

また今作は染色されていないため、その分だけ、水の消費量が少ない。アパレルの製造過程で水が多く使われるのは染色時と仕上げ時。染色を省けば、かなり消費量を抑えられることになるのだ。

ナイキのグローバル アパレル プロダクト マーチャンダイジング VPのアーロン・ヘイザー氏はナイキ フォワードについて「このプラットフォームは、私たちの素材やアパレルに対する考え方を一新させる可能性を持っていると考えています。30年前に生み出したドライフィット以来のナイキのアパレルイノベーションであり、ナイキ フットウェアのエアやフライニットが業界を一変させたのと同じぐらいの大きな可能性を持っています」とコメントしている。

スポーツの未来を守るのがナイキの使命

サステナビリティと聞くと、近年のトレンドという印象を受けるかもしれないが、ナイキが取り組みを始めたのは20年以上前のこと。ナイキが初めてリサイクル・ポリエステルを採用した製品としてランニング用のシングレットを世に送り出したのは2000年のシドニー五輪のタイミングだ。

2012年に発表されたフライニット(シューズのアッパー素材に使われている)もサステナビリティに寄与するテクノロジーだ。フライニットの製法は従来の同等の素材と比較して、製造工程での廃棄物を約60%削減することに成功。2019年には、3100万本以上のペットボトルに相当する再生プラスチックがフライニット素材を作るのに活用されている。

また、過去にも記事にしているが、2021年にはパフォーマンスとサステナビリティを両立した「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクストネイチャー」というシューズもリリースしている。

ナイキは炭素排出量と廃棄物をゼロにして、スポーツの未来を守るMove to Zeroという取り組みを行っている。具体的な数値目標として、2050年までにナイキ所有および運営する施設の100%再生エネルギーでの稼働を目指す。2030年までに世界のサプライチェーン全体からの炭素排出量を30%削減する。フットウェア生産過程から生まれた廃棄物の99%を再活用する。1年に10億本以上のプラスティックボトルを再利用し新しいプロダクトのための糸にする。といったことを掲げている。ナイキ フォワードは、この目標達成にも大きく貢献するはずだ。

フーディーとクルーはウィメンズも展開

編物でも織物でもないからか、素材感はかなり独特。同じポリエステルベースでも一般的なフリースやスウェットとは明らかに違う手触り。既存のプロダクトとは異なる新しいものを身につけているという感覚が味わえる。 サステナビリティを謳うアパレル商品は地味な印象になりがちだが、ナイキ フォワードは単純にリサイクル素材を使ったというプロダクトとは異なるワクワク感がある。どのような経年変化をしていくのかは未知数だが、それも含めて楽しみなアイテムだ。


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ライター・編集者
神津文人

雑誌編集者を経てフリーランスに。「Tarzan」などのヘルス&フィットネス系メディアや、スポーツの領域で活動中。「青トレ」(原晋/中野ジェームズ修一著)、「医師も薦める子どもの運動」「医師に運動しなさいと言われたら最初に読む本」「60歳からは脚を鍛えなさい」(中野ジェームズ修一著)、「100歳まで動ける体」(ニコラス・ペタス著)、「肺炎にならない!のどを強くする方法」(稲川利光著)、「疲れない体になるライザップトレーニング」(RIZAP)などの書籍の構成も手掛けている。趣味は柔術、ときどきランニング。
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