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好きじゃないと乗れないクルマ

乗る前に知っておきたい「GMC Rally Wagon」との付き合い方

author: 茨木一綺date: 2022/02/08

一昨年あたりから「GMC Rally Wagon」に関する問い合わせが増えていて、僕のまわりでも20人弱がGMCバンやシェビーバンに乗り換えた。車中泊ができる大型バンで、アウトドアとの相性も抜群の車だけど、乗りこなすにはそれ相応の知識も必要なわけで。今回は、「GMC Rally Wagon」をはじめ、旧車を気になっている人のために、僕がどうやって付き合っているかを詳しく紹介していこう。

購入は2019年5月。そこからRallyとの付き合いが始まりました。それまでの愛車は1992年製のこれまたGMC Rally Wagon。これもイチからいろいろ手を入れて、どこに行っても安心安全な仕様に仕上げてあったんだけども、さすが高年式。最初から4速ATにインジェクションが装備されていて、エンジン回りはセンサーや点火系を新品交換したくらいで絶好調だった。ただね、どうしても自分の中で旧い年式のシェビーバンが諦めきれず、国内外のサイトは常にチェックしていました。その時ですよ、今のRallyに乗り換えるきっかけを見つけちゃったんです。何でもそうですが、気移りには原因やきっかけ、いろんな理由があるもんで「えっ?こんな理由⁈」って興味ない人は呆れちゃうこともしばしば。僕もしかり、「冗談でしょ?」って笑われるキッカケでした。

きっかけはエンブレムのデザイン

僕の場合はこのエンブレム。これに一目惚れしちゃったんですよ、変でしょ? 以前から、兄弟ブランドであるシボレーとGMCだと、断然GMCが好きだったので、旧いシェビーバンを探すのもGMC版。そこで見つけたのがこのエンブレムだったわけです。めっちゃ可愛くないですか? これより古いでも新しいでもなく、この雰囲気に引き付けられちゃたんです。

余談ですが写真のエンブレムの表示内容解説を少し。シボレーとGMCの車両型番には、ボディやシャーシのスタイルを表したローマ字と番号があります。この年代のシェビーバンだと、G10、G20、G30。GMCバンだとG15(G1500)、G25(G2500)、G35(G3500)。数字が大きくなるに連れて、より大きな重量を運べる(牽引できる)ヘヴィデューティ仕様となり、特に30シリーズはブレーキや足周りをはじめ、様々な強化対策がされています。

ということで、写真のエンブレムが付いたGMC Rally Wagonは、1978年~1982年の4年間に生産されたパッセンジャーモデルで、最上級グレードのSTX、ミディアムデューティ仕様となります。なぜSTXが欲しかったかと言うと、この年式なのに純正でエアコンが付いていて、前後バンパーとフロントグリルは輝きのあるクローム仕様。フロント回転シートの設定もあるし、この上級モデルを選ぶ初代オーナーなら、リアエアコン、集中ドアロックやパワーウインドウ、チルトステアリングも付いてる可能性が高いと思ったからです。

純正スゥイーベル(回転)シートのお陰で車内が5人用リビングに。内装はCielBleu.にてワンオフのウッドスタイルにカスタム。

年式だけならまだ何とか見つかりそうですが、GMCでなおかつSTXなんて買える気がしなかったんですね。他の年式にこのエンブレムだけを付けるなんて邪道なことはやりたくないけど、いつか乗れると信じてたまたま新品デッドストックを海外オークションで見つけたのでペアで買ってみたり。家のPCの壁紙を1979 RallySTXにしてママにそれとなくアピールしてみたり。乗り換えたいなって意思表示を開始しました(笑)。

出会って10日で買い替え決定!

以前から先代のRally号を売ってほしいとのオファーも数件あったので、いいタイミングで出てきたりして~なんて思ってる時ですよ! 中部地方の中古車屋にひっそりと出たんですよね。モデル名を間違えたのか、もしくは分かりやすいからか、バンデューラと表示して販売してたんですが実際の現車はRally STX。しかも前述した希望装備がすべて付いるうえ、内装は希望色のタンカラー。マジかっ! ほんとかよ! まだママもうまく口説けてないよと。

某雑誌連載中に企画として家族でローラー&刷毛塗り全塗装。外せるものはすべて外し、5人で丸二日かけて大作が完成。

まず車屋に電話して状況を確認。内装の程度はかなり良いみたいですがエンジンはそのままでは気持ちよく走れないようでエアコンも壊れてる。でも「旧い車だしこんなもんですよ」と。うーん、分かってない人が売ってる予感。聞いてみると、4年前にアメリカから入ってきて、前オーナーが基本整備と車検まではやったものの、エンジンも不調だしエアコンも壊れてるから屋根付きガレージに放置。4年で200kmほどしか乗らず、近隣に詳しい店もなくて諦めたらしいとのこと。今回もイチから自分たちで直すつもりだったし、これが売れちゃうと次の出物がいつあるかもわからないので、急遽、購入に向けて動くことになりました。

ママには、「ついに心底欲しい車が見つかった」からはじまり、「一生持っていられる車に出会った」とか、「年式が古くなることで雰囲気が良くなり、今以上に仕事で活躍できるよ」とか、このモデルが日本で見つかったことがいかに奇跡かなど、思いつくメリットを並べ挙げて、一方的にプレゼンテーション。結果、「あんたがそこまで言い出したらもう何言っても聞かないでしょ?」と、ママももともとアメ車が好きだから助かりました(笑)。

車内を少しでも広く使えるよう考えて施工したリアルウッドの天井には、ドームライト代わりにLEDネオンライトを埋め込み。現在、荷室部上方はベットを作り込み車内で5人就寝可能。

その時乗ってた先代Rallyもスムーズに嫁入り先が決まり、見つけてから10日ほどで諸々が決定。関西方面への車旅出張に合わせて引き取ることになりました。

2年半でフレーム以外はほぼリニュアル

業販スタイルで購入したので、最低限のオイルとクーラント交換だけはしてくれたものの、予想通りのひどい有様。ライトは雨が中に入り込みくたびれたシールドビームで薄明りだし、ワイパーもモーターが悪いのかハエが止まりそうなほど動作が遅い。すべてのドアゴムがボロボロで、高速だと隙間風と雨漏りがひどい。そのうえ、エンストするほどじゃないけど、キャブの詰まりなのか調整が出来てないのか、エンジンもフケが悪く振動もひどくて、「ほんとポンコツ買っちゃったねー」と夫婦でしゃべりながら帰ったあの日は忘れられません。

メインのメーターを社外品に換装し、タコ、空燃比計、水温計、燃圧計を増設したことでエンジンのコンディションを正確に把握できる。

帰宅して翌日には、車体、エンジン、ミッション、足回りなど細部まで念入りにチェックして必要なパーツを拾い出し、調子よく全国を走り回れるようにすべく大量の部品をアメリカのショップに発注。大げさじゃなく、この2年半でフレーム以外のところはほぼ手を加えました。

エンジン本体だけはアメリカの最終のオーナーが新品に乗せ換えてたようだけど、でもなぜか調子が悪くて諦めて手放しちゃったのかな。エンジンのヘッドカバーを開けてて中を見てみたら、ほんのちょっとしたところに即重大な故障にはならないような組み間違えがあって、それが原因で調子が出てなかったみたい。エンジン内部はほぼ新品状態でめちゃラッキーでした。

先日も仕事で埼玉から四国、九州と3000kmほど走って来たけど、今となっては全く心配もなく快適になりました。でも急にここまで快適になったわけではなくて、新車から42年も乗り継がれたこいつを、時間作ってコツコツと直していった結果。ひとつずつパーツを変えていく毎にRallyのことをどんどん詳しくなっていくからか、愛着も湧き家族の一員のような感覚。パーツも探さなきゃ買えないとかいろいろとありますが、そのひと手間が掛かることによってどんどん可愛くなっていきます。

海外オークションで見つけて購入した1979年当時のカタログの表紙。好みの配色が純正で発売されていたんだと分かった、僕にとっては大切な資料。

ボディも当時の純正カラーに塗り直したり、もうね一種のオタクでありマニア。言うなれば「シェビーバン・ジャンキー」。旧車なんて好きじゃなきゃ乗れないんでしょうけど、乗ってるうちにどんどん好きになっていくんですよね。手のかかる相棒ですが、これからも日常のアシに、旅に、アウトドアにと、上手く楽しみながら付き合っていきますよ。

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クリエーター・クリエイティブディレクター
茨木一綺

CielBleu. le petit atelier主宰。ウッドクラフトをはじめアウトドアギアからカーカスタムまで幅広く製作しながら、アートディレクター、クリエイティブディレクターとしても多方面で活躍。アウトドアイベントのオーガナイズ、プロデュースも数多く手掛ける。2021年2月にソニー・ミュージックから発売されたdaisuke katayamaのアルバム「THE MIDNIGHT BONFIRES」ではクリエイティブディレクターとして参加。
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