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オン、ホカ オネオネ、アルトラ…

市場を席巻するランシュー新世代ブランドの魅力

author: 南井 正弘date: 2021/09/14

ランナーズパルス編集長の南井さんが注目するのは、ランニングシューズ界に台頭するニューエイジブランドたち。さまざまな独自のテクノロジーを携え、これまでにないコンセプトで業界へ躍進するその秘密を探ってもらった。

最近巷でよく聞く言葉に“お笑い第七世代”がある。これは「霜降り明星」「四千頭身」「EXIT」を始めとした現在最も勢いのある芸人の世代であり、TVの電源を入れれば、彼らを見ない日はない。

そんな新興勢力はランニング業界にも存在している。それが「On(オン)」「HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)」「ALTRA(アルトラ)」のランニングブランド新世代だ。欧米の大会では、これらブランドの着用率がトップ3に入ることもあるなど、日本では想像できないくらいにポピュラーな存在となっている。そんな3ブランドとキーモデルの魅力を紹介する。

スイス生まれの「オン」は新たな走りの感覚を与えてくれる

オンはデュアスロン(自転車とラン)で3度世界チャンピオンに輝き、トライアスロンの最高峰であるアイアンマンレースで何度も勝利を収めたオリヴィエ ベルンハルトが、「現役時代に何度も悩まされた脚の怪我を他のアスリートに経験してほしくない」、「これまでのシューズでは得られなかった完璧なランニングセンセーションを実現したい」という強い意志からプロダクトの開発をスタート。

最初は庭で水を撒くホースを輪切りにするなどして、プロトタイプサンプルを製作する。その過程で一人のスイス人エンジニアに出会い、2人は、ランニングの豊富な経験とエンジニアリングの専門的な知識を持ち寄り、数年かけてその先鋭的なアイデアを改良していった。

数えきれないほどの試作サンプルが作られたが、その過程で「ソフトな着地と爆発的な蹴り出し」という基本のコンセプトはキープされ、このユニークなランニングセンセーションに惹きつけられて合流したのが、キャスパー コペッティとデビット アレマンで、こうして出会った3人は2010年1月、チューリッヒにて、スポーツブランドのオンを創設。

「スイスの最先端のテクノロジー技術を採用した商品を開発する」という彼らのミッションは加速していった。ブランドを象徴するテクノロジーである世界特許技術のクラウドテックは、既存のランニングシューズとは異なる走り心地で、着用したランナーに新たなセンセーション、すなわち従来にない走りの感覚を提供することに成功したのである。

オンのラインアップでは速めのペースで走るランナーから評価の高い「クラウドフロー」。蹴りだし時の推進力が特に感じられる

オンは現在では「世界で最も成長率の早いランニングブランド」となったが、そんなブランドのラインアップにおいて、高い人気を誇るのが「クラウドフロー」である。ソールユニットに超軽量のヘリオンスーパーフォームを使用したモデルで、オン独自の着地から蹴りだしまでの「ソフトな着地と爆発的な蹴り出し」を継承しつつ、特に蹴りだし時の加速感が感じられる1足であり、モデルチェンジの度にその推進力に磨きをかけてきた。

自然とペースを上げることができ、今回紹介する3足のなかで最も速いペースで走りやすいモデルである。今回、ワイドラスト(木型)がラインアップされたのは朗報。「足幅が広くて、足囲で選ぶと足長が余り、足長で選ぶと横幅が窮屈だった…」というユーザーには嬉しいはずだ。

超軽量のヘリオンスーパーフォームを使用した世界特許技術のクラウドテックを採用。「ソフトな着地と爆発的な蹴り出し」をランナーに提供する

斬新なボリューム感あるミッドソールが特徴の「ホカ オネオネ」

続いて紹介するホカ オネオネは、「どうしたら野山を安全に駆け下りることができるだろうか?」と考えていたジャン リュック ディアードとニコラ マーモットにより開発された極厚のシューズ。それが、このブランドの出発点である。

スキーを始めとした様々な分野で数々の発明を生み出してきたジャン リュック ディアード曰く、「安全に山を走る道具を開発できるなら形状にこだわることはなく、それがたまたまシューズのカタチだったのです」とコメントしていたが、この極厚のミッドソールを持つシューズコレクションは、山に限定されることなく、街中を走るオンロードランニングの世界でも確固たるポジションを築くことに成功。

2009年にフランスのアヌシーで創業以来、シェアを伸ばし続けている。そんなホカ オネオネのラインアップで最も販売足数が多いシューズが「クリフトン」である。同社のシューズのなかではそれほど厚みを感じさせないソールユニットであり、「従来のホカ オネオネのシューズではボリュームがありすぎる!」というランナーもトライしやすいタイプ。

「クリフトン8」は、ホカ オネオネのベストセラーであるクリフトンシリーズの第8弾。マシュマロクッショニングと形容される高レベルの衝撃吸収性と反発性と履き心地の良さを両立している

ちょうど一般的なランニングシューズとホカ オネオネの最もボリューミーなボンダイシリーズの中間の厚さのソールユニットは、様々なタイプ、レベルのランナーにマッチする。現在は第8弾の「クリフトン8」が展開されており、“マシュマロクッショニング”と形容される高い衝撃吸収性と反発性のハーモニーは、足を入れた瞬間に体感することができ、日々のランニングを楽しくしたいというランナーにピッタリな1足だ。

今回セレクトしたのはトゥギャザーというホワイトベースにインパクトのあるカラーコンビネーションを散りばめているが、ブラック/ホワイトやブラック/ブラックのようなシックなカラーリングも展開されているので、「ランニングシーンだけでなく、カジュアルシーンでも履きたい!」というユーザーにもオススメ。

ブラック/ブラックであれば、ドレスコードの緩い会社や業界ならビジネスシーンでも活躍してくれるだろう。クリフトン8は、オンのクラウドフローと同様にワイドタイプも用意されているので、幅広の足のランナーもピッタリのサイズを選ぶことができる。

ボンダイなど他のラインアップと比較するとミッドソールのボリュームは控えめなので、従来のランニングシューズからの履き替えも違和感がない

バランスクッションでランナーの足を守る「アルトラ」

陸上競技のアメリカ代表にも選出された経験もある、ゴールデン ハーパーの「怪我で走れなくなったランナーを再び走れるようにしたい!」という強い思いから誕生したのが、ランニングブランドであるアルトラだ。

2009年にユタ州の州都であるソルトレークシティ郊外のオレムで創業以来、同社がリリースするシューズは数多くのランナーに履かれ、「このシューズのおかげで故障しなくなった!」という者も少なくなく、ランニングシューズ業界において確固たるポジションを築くことに成功した。

アルトラのシューズの最も大きな特徴は、踵とつま先部分の高低差がないバランスクッション。かつて一般的なランニングシューズは、踵とつま先部分の高低差が12mm程度のモデルが多く、この構造は着地から蹴りだしまでの動きを容易にする一方で、人間本来の姿勢ではないことや、ヒール部が重くて厚いため、つま先が上がった状態となり、踵からの着地になりやすくなる。

これらを理由として、ランニングを起因とする怪我のかなりの部分は、この構造にあるとされていた。ゴールデン ハーパーは、メジャーなスポーツブランドに高低差のないフラットなソールのシューズの製作を依頼したが、すべてのブランドに断られた。

そこで彼は自宅のキッチンにあったオーブントースターを活用していくつかのプロトタイプを自ら手作りし、当時働いていた父が経営するランニングプロショップに来店する故障に悩むランナーたちに履いてもらうと、ヒール着地ではなく、体の真下でフラットに着地することを促し、痛みで走ることを諦めていたランナーの何人かから「この靴を履いてから足の痛みが無くなった!」というポジティブな意見を貰ったことにより、事業としてランニングシューズ製造をスタートさせることとなった。

そして、アルトラのランニングシューズにおけるもう一つの特徴が、アッパーのつま先部分のボリュームを設け、窮屈さとは無縁なフットシェイプデザイン。これにより、ランニング中も指の動きを妨げることなく、人間本来の足の力を発揮させてくれる。このように従来のランニングシューズとは外観も大きく異なるアルトラは、「足の痛みのためにランニングを一度は諦めた」「長い距離は走りたいが故障は避けたい」といったランナーにオススメのブランド。

一方で、最近ではデザインやカラーリングもスタイリッシュなプロダクトも多くなっており、ファッション業界のランナーからも注目される存在となっている。そういった意味でも2021年の秋冬シーズンに注目したいブランドだ。そんなアルトラのラインアップで、今秋特にオススメの1足が「トーリン5」になる。

柔らかすぎず硬すぎず、弾むような反発性を生む“ALTRA EGO MAX”をミッドソールに採用することで、ふんわりとした独特な走り心地を提供してくれる

アルトラにおけるオンロードモデルの定番シリーズで、ふっくら弾むような絶妙な走り心地を提供してくれる1足で、前作の「トーリン4.5プラッシュ」を改良しており、特にミッドソールのフォームマテリアルの機能性が向上されている。

この素材こそがアルトラが誇る高機能素材の“ALTRA EGO MAX”であり、このフォームは柔らかすぎず硬すぎず、弾むような反発性を生む。前述のようにアルトラはつま先部分にゆとりがあるので、レギュラーラストでもほとんどの足形に対応するが、より足幅の広いランナーのためにワイドバージョンも用意されている。

アルトラのシューズは、つま先にゆとりのあるフットシェイプデザインを採用。窮屈さとは無縁で、ランニング中も指の動きを妨げることなく、人間本来の足の力を発揮させてくれる

このように欧米で新世代ブランドとして人気上昇中の3ブランドのキーアイテムを紹介したが、これらのシューズを履いて走っていると、知り合いのランナーはもちろんのこと、見知らぬランナーからも「オンのランニングシューズは走りやすいですよね!」「やっぱりマシュマロみたいなクッションが好きですか?」「アルトラはデザインが個性的だなぁ」といった感じで声を掛けられることがある。

それはこれらブランドを履いているランナーは、周囲に流されることなく、自分の意志でランニングシューズをセレクトすることがほとんどであり、声を掛けたランナーからすれば、同志を見つけたような感覚で、つい嬉しくなってしまったのだろう。こうしたケースは昔から存在するブランド着用者間ではあまり聞いたことがなく、新世代ランニングブランドならではのエピソードである。


author

ランナーズパルス編集長
南井 正弘

1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。「フイナム」「SHOES MASTER」「OCEANS」「価格.comマガジン」「家電ウォッチ」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。 主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。
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