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AIと掃除力が融合した「堅実な進化」

エコバックスが示した、ロボット掃除機の正しい境地

author: 石井和美date: 2025/10/03

今年もドイツ・ベルリンで開催された、世界最大級の家電見本市「IFA 2025」。会場を彩る数々の最新家電の中で、ひと際注目を集めたのはロボット掃除機の存在感でした。アームを伸ばして靴下を拾い上げ、階段を軽々と登り、ステージパフォーマンスを繰り広げるロボットたち。その華やかさとは対照的だったのが、日本でも人気のロボットメーカー「エコバックス」。派手さを追わず、地に足のついた進化した製品で来場者の注目を集めました。
 

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エコバックスブースは大勢の記者でにぎわっていました

次世代ロボット掃除機の正統進化

IFA 2025で披露されたのは、最新モデル「DEEBOT X11 OmniCyclone」(以下、X11 OmniCyclone)。洗練された技術で支えられたこの一台は、AIと清掃力を両立させ、他の追随を許さない存在感を放っています。堅実な進化――それは、ユーザーの生活に寄り添いながら、新しいロボット掃除機の可能性を切り拓く道でした。価格は22万9900円。

● 吸引力:最大19,500Pa(業界最高クラス)
● 拭き掃除:OZMO ROLLER 2.0(高密度ナイロンモップ、毎分200回スクラブ)
● バッテリー:6,400mAh、最大400㎡連続清掃、GaN急速充電対応
● ステーション:PureCyclone 2.0(紙パックレス、75℃自動熱水洗浄+乾燥)
● 価格:22万9900円

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ユーザー目線で進化した拭き掃除の凄み

エコバックスの製品が際立つのは、何よりも「ユーザー目線に徹する姿勢」です。多くのメーカーが華やかな新機能に注力する中で、エコバックスは清掃力の強化と、ユーザーの手間を減らすことに真摯に向き合っています。

X11 OmniCycloneの革新は、単なる清掃精度の向上にとどまりません。AIが支える自律的判断力が、日々の清掃を劇的に変えます。例えば液体汚れを検知すると、AIは瞬時にモードを切り替え、サイドブラシやメインブラシを持ち上げ、モップローラーだけで拭き取れるようになりました。地味に見える動作は、掃除機本来の役割を高精度で遂行できる技術力にあります。

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OZMO ROLLER 2.0で掃除力がさらにアップ

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X11 OmniCycloneの裏側

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前モデルのモップローラーと新しい高密度ナイロン製のモップローラー。新しいモップローラーは、色が濃い部分がやや硬いのでしっかり汚れを落とせる

CEOが語るAI進化の核心

従来のロボット掃除機では、液体を掃除する際にサイドブラシで汚れを広げてしまうこともありました。しかしX11 OmniCycloneは、それを防ぎ、床を確実に清潔に保ちます。私自身も自宅で試しましたが、その進化ぶりには驚きと感動を覚えました。

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カーペットの上では吸引力が自動でアップします

会場では、エコバックスグループ副会長 兼 ECOVACS ROBOTICS CEOのDavid Cheng Qian氏が登壇。AIの進化について次のように力強く語りました。

「ロボット掃除機は、物理的に『障害物がある』ことを認識するだけでなく、それが何であるかを正確に理解しなければなりません。X11 OmniCycloneは、床に液体汚れを見つけると、自動で吸引を停止し、ブラシを持ち上げ、モップローラーだけで拭き取ります。長年の研究の成果です」

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エコバックスグループ副会長 兼 ECOVACS ROBOTICS CEOのDavid Cheng Qian氏

また、ユーザーから「駆動時間が短い」という声が寄せられたことを受け、改良が行われました。6,400mAhの大容量バッテリーに加え、3分間の充電でバッテリーを6%回復できるGaN急速充電技術「PowerBoostテクノロジー」を搭載。掃除の途中でローラー洗浄や水の補充のためにステーションに戻った場合でも、短時間で充電が可能です。これにより最大400平方メートルの連続清掃ができるようになりました。

ユーザーのニーズに応え、時間効率を大幅に向上させたこの進化。もはや掃除の途中でバッテリー切れを心配することはありません。快適でストレスフリーな掃除体験が、さらに広がっています。これなら、留守中でも安心して掃除を任せられる――そんな安心感がありました。

強力吸引と低コストを両立

エコバックスが充電ステーションで採用した「PureCyclone 2.0」システムも注目です。業界初のこのサイクロン方式は、ゴミが詰まりにくく、吸引力の低下を防ぎます。従来の紙パック式では、ゴミが溜まると吸引力が落ち、ロボット本体に残ることも少なくありませんでした。しかしX11 OmniCycloneは、毎回ゴミを逃さず吸い取るので、ユーザーがロボット掃除機のお手入れをする必要もありません。

さらに紙パックレス設計により、交換の手間やランニングコストも大幅に軽減。エコバックスは派手な機能に頼ることなく、シンプルかつ確実な技術で、ユーザーに寄り添った便利さを提供しています。

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カーペットなど、ゴミの除去が難しい場所にも対応

AI音声アシスタントが支える生活

新たに搭載されたAI音声アシスタント「AGENT YIKO※」は、ユーザーの状況に応じて最適なサポートを提供。家の間取りや生活習慣、ペットのエリアなどを把握し、AI自らが清掃プランを作成します。

「知りたい」「助けてほしい」という瞬間にそっと手を差し伸べる、頼もしいアシスタント。反応も早く、正確です。操作方法に不安があっても、安心して使い続けることができます。

※AGENT YIKOは現在英語のみ対応、日本語対応は今後アップデート予定です。

理想的ロボット掃除機のあり方

IFA 2025でエコバックスが見せたのは、単なる掃除機の進化ではありませんでした。それは、清掃から解放されることで得られる時間の自由を提供する未来の製品でした。他のメーカーが派手な技術を競い合う中、エコバックスは、ユーザーの生活に本当に必要な進化を地道に追い求め、着実に実現しています。

X11 OmniCycloneは、まさにこれからのロボット掃除機のあり方を示す一台。掃除の手間を減らし、自由な時間を提供する、その進化は今後も注目を集め続けることでしょう。

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家電プロレビュアー
石井和美

家電をレビューするため「家電ラボ」を開設、小物家電から冷蔵庫や洗濯機などの大型家電のテストも行っている。製品レビューや家電についての解説はWEB、雑誌、ラジオ、テレビなどで発信している。ライター、家電コメンテーター、家電コンサルタント。
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