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吸引力と水拭き性能に見るトップ機種の実力とは? ロボット掃除機徹底比較総評

【総論】高い掃除能力はもちろん、もっともストレスのないモデルを選ぼう

author: 石井和美date: 2025/07/23

かつてロボット掃除機といえばアイロボットの「ルンバ」が代名詞だったが、現在では各社から高性能な最新モデルが続々と登場し、選択肢は大きく広がっている。こうした状況を踏まえ、今回は注目の5機種を実際にテストし、それぞれの特長と課題を検証した。吸引力や水拭きの仕上がり、利便性、さらには長期使用におけるメンテナンス性まで、多角的な視点から評価し、ここではその結果をまとめた。ライフスタイルや住環境に応じた最適な1台を選ぶための参考になれば幸いだ。

1位 吸引も水拭きも優秀で、安心して掃除を任せられる「DEEBOT X8 PRO OMNI」

今回テストした5機種の中でも、最も優秀な仕上がりを見せたのが「DEEBOT X8 PRO OMNI」である。他社が採用する2枚の円形モップとは異なり、棒状の1本モップのみというシンプルな構造ながら、微細なゴミから液体汚れまでしっかり取り除くことができた。隅々まで行き届いた清掃に加え、吸引力の高さと効率的なルート設計が相まって、床はピカピカに。

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エコバックス「DEEBOT X8 PRO OMNI」

2位 部屋の隅や角に強く、段差にも強い先進的モデル「Dreame X50 Ultra」

同じく2位に選出された「Dreame X50 Ultra」も吸引力には定評がある。特に部屋の隅の清掃に強く、拭き取り後の床は非常にスッキリしていた。一方、部屋の中央部にゴミが残る場面もあったが、繰り返し使うことで清掃精度がどんどん向上するので、もう少し使い込むと精度が上がりそうだ。

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Dreame「Dreame X50 Ultra」

2位 水拭き性能が際立つ丁寧仕上げの「Roborock Qrevo Curv」

「Roborock Qrevo Curv」は、仕上がりの美しさという点では最も印象的で、特に水拭きの丁寧さに定評がある。拭き跡が残らず、しっかりと床の汚れを除去していた。加えて、キワまでしっかり清掃を行うスタイルのため、家具や物品への接触が多少増える傾向はあるが、それだけ隅々まで行き届いた仕上がりが期待できる。

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ロボロック「Roborock Qrevo Curv」

4位 大きなゴミもキワもしっかり対応する老舗の安定感「Roomba Plus 505 Combo」

一方、「Roomba Plus 505 Combo」は、広いエリアではゴミを外側に伸ばしてしまう場面があったものの、キワの吸引性能や大きなゴミへの対応はさすがである。新採用の2つのモップパッドによる拭き取りも良好で、「スマートスクラブ」を有効にすれば、より丁寧な水拭きが可能になる。

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アイロボット「Roomba Plus 505 Combo」

4位 静音性と吸引力をコスパ良く両立した「Eufy X10 Pro Omni」

「Eufy X10 Pro Omni」も健闘した。微細なゴミへの吸引力は高く、静音性にも優れている。ただし、液体汚れに対する対応はやや甘く、掃除後のタイヤ跡やステーションの汚れが残った点は課題といえる。それでも10万円以下の価格帯で、ここまでの吸引力と回避性能を実現した点は特筆に値する。

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アンカー・ジャパン「Eufy X10 Pro Omni」

回避性能と賢さ、日常使いで便利なのは?

今回取り上げた5機種はすべて、障害物回避性能に優れたモデルばかりであった。特に「Dreame X50 Ultra」は、本体が自ら持ち上がるという斬新な構造により、小さな段差を軽々と乗り越え、89mmという薄さで低い家具下にもスムーズに侵入する。格納式センサーによる高度な回避能力と相まって、掃除中のトラブルはほとんど見られなかった。

「Roborock Qrevo Curv」も障害物への接触頻度はやや高めであるものの、キワまでしっかり清掃するという意思の表れともいえる。「Eufy X10 Pro Omni」は回避性能が高く、コード巻き込みや接触などの問題が一切なく、静かな動作音ということもあり、夜間の使用にも適している。

「Roomba Plus 505 Combo」は、長年の技術蓄積によって障害物回避性能が極めて高い。「スマートスクラブ」を手動でオンにする必要があるなど、ややユーザーに操作を求める設計ではあるが、賢さと実用性のバランスが取れている。

総合的に見て、「DEEBOT X8 PRO OMNI」は、障害物の回避、ルート選択、水拭き、吸引、メンテナンス性のすべてにおいて高次元でバランスが取れており、今回のテストにおいて最もストレスの少ない使用感を実現していた。

メンテナンス性とユーザビリティ、価格面の評価

使い続ける上で重要となるのが、手入れのしやすさや使い勝手である。「DEEBOT X8 PRO OMNI」は、水タンクが半透明で残量が一目で分かり、ステーション底面のトレイも取り外して丸洗い可能な構造。日常的なメンテナンスの手間が少なく、長く清潔に使える設計だ。

「Dreame X50 Ultra」は、今後の進化が期待される製品で、先進的な構造ゆえにメンテナンス情報がやや不足している印象もある。ただし、技術的な先進性は抜群であり、長期的なアップデートを見越した選択肢として魅力的である。

「Roborock Qrevo Curv」は、お手入れのしやすさに加え、親しみやすいフォルムや落ち着いたデザインも好印象。タンク残量の視認性にやや課題はあるものの、逆に汚水が見えにくい設計は、心理的な抵抗感を減らす工夫ともいえる。

「Roomba Plus 505 Combo」では、水タンクの開閉が固い、ステーション奥の掃除がしにくいといった難点があった。加えて、設定機能がやや分かりづらく、アプリでの操作に慣れが必要だ。それでも老舗ならではの安定感と堅実な基本性能は、一定の支持を集める要因になっている。

「Eufy X10 Pro Omni」は、10万円を切る価格帯で吸引・回避性能を両立しており、コストパフォーマンスの面で群を抜いている。液体汚れへの対応など、ハイエンド機と比較すれば課題は残るものの、初めてロボット掃除機を試す層にとっては非常に魅力的な選択肢といえる。

総じて今回のテストでは、各社の最新モデルがそれぞれの強みを発揮しており、「どの製品がベストか」は使用環境や重視するポイントによって変わる。吸引力と水拭きの完成度を求めるなら「DEEBOT X8 PRO OMNI」、段差や家具下まで攻めたいなら「Dreame X50 Ultra」、デザイン性と細部の仕上げにこだわるなら「Roborock Qrevo Curv」、安心のブランドとスマートスクラブなどの独自機能を試したいなら「Roomba Plus 505 Combo」、価格重視でバランスを取りたいなら「Eufy X10 Pro Omni」が、それぞれ有力な選択肢となるだろう。

Author:石井和美

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家電プロレビュアー
石井和美

家電をレビューするため「家電ラボ」を開設、小物家電から冷蔵庫や洗濯機などの大型家電のテストも行っている。製品レビューや家電についての解説はWEB、雑誌、ラジオ、テレビなどで発信している。ライター、家電コメンテーター、家電コンサルタント。
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【第4位】アンカー・ジャパン Eufy X10 Pro Omni
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date 2025/07/23