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1万円台で買える中古のライカ

ヤングタイマーなデジカメの遊び方と選び方

author: 武者良太date: 2021/04/27

「うっわあ、チャーミングだなあ」。2021年の現在、久しぶりにライカのコンデジ「DIGILUX 1」を手にして出てきた言葉がそれでした。カックカクなボディは小さめのフルサイズデジカメと変わらないサイズ。グリップパーツは一切なく、でも持つと軽くて握りやすい。「お前が俺に合わせろ」と年下の子に言われんばかりのホールド感にニヤけちゃう。

1万円で手に入れた中古の「DIGILUX 1」

新しいものが好きです。新技術で新機軸な新機能を内に秘めたガジェットが世界にもたらす問題解決力は、一昔前なら魔法と呼べるようなもの。

写真の世界でいうなれば、近年のスマホカメラがそうです。なにせスマートフォンで手持ち夜景撮影もできるようになってるんですから。コンピューティショナルフォトグラフィの進化はほんとすごいなあと感じます。

しかし歳を重ねるにつれ、古い時代のガジェットを改めて評価するようになりました。機能・性能で現代の普及品にすら叶いませんが、オールドスクールというか、少し昔の憧れが蘇るヤングタイマーなガジェットは見ているだけでも、手で触れているだけでも楽しくなってくるんですよね。初代iPodのくるくるホイールしかり、テンキーがついているカシオのデータバンクしかり、このライカ「DIGILUX 1」しかり。

ご存知の方もいるでしょう。ライカは1998年よりコンシューマーデジカメをリリースしてきました。しかしdigilux(1998)、digilux zoom(1999)、DIGILUX 4.3(2000)の最初期の3台は富士フイルムのFinePixがベースモデル。第二世代の、このDIGILUX 1以降はパナソニックとの蜜月が続きました。

このモデルのコーションラベルにもMade in Japanの文字が記されており、ドイツ製じゃないパナライカなんて(笑)とあちこちで揶揄されたものです。僕も当時はそう思ってた。そもそもパナソニックがスチルカメラ作ってもなあ、とキヤノンやニコン、オリンパスのデジカメを愛用していました。

ベースモデルとなったパナソニックDMC-LC5。レンズ、ファインダーやフラッシュなどの位置関係から同族機であることは伺えますが、中身まで同じだとは気づきにくい。デザインの力って偉大です。

時を経て、僕がこの「DIGILUX 1」を手に入れたのが2019年です。ジモティに出品されていた1万円の個体を購入しました。今どきのスマートフォンのインカメラより低画質な390万画素のデジカメなんてどんな使いみちがあるのさ。友だちからそう言われたものの、おもちゃデジカメ、トイデジ・トイカメラとして使うなら楽しそうじゃないと思ったんですよね。

`レンズに記されたLEICA DC VARIO-SUMMICRON 1:2.0-2.5/7-21 ASPH. はライカ文脈そのままのネーミングで、ちいさな前玉と相成っておすまし顔をしているかのよう。

ISO100縛りで撮影するのが楽しい

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逆光では飽和し、順光ならねっとりと濃い色味。ブレブレのオートホワイトバランスに、盛大な白飛び黒つぶれが画面を占めていく高コントラスト&低ダイナミックレンジ性能。でもね。ISO100縛りで撮影していくとハマっていくんですよね。雑なグラデーションのなかに輪郭を捉える力だけは存分にあるから、世界をLo-Fiデジタルでディフォルメするトイデジで撮ったような雰囲気になってくる。

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自分の眼で見た世界、モニターで見た画角、PCやスマートフォンで現像してからの出来上がりがぜーんぶ違う。まーるで違う。記憶色とも記録色とも繋がりを感じられないトーンだし、ビビッドに反応する色が毎回違う。カメラとしての信頼性は皆無。ですが、そのブレが楽しくなってくるんです。

あ、思い出した。これ写ルンですのパチモノで撮ってたときの感覚に近いや。フィルムの性格がわからないから、現像してからのお楽しみだったジェネリック写ルンですに。

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ハレーションもカラーシフトもどんとこい。スマートフォンの画面で見るなら390万の画素数でも満足できるし、各種カメラアプリを使ってのカラグレ上等で遊びたくなる。2021年現在からみたDIGILUX 1は、そんな気楽に遊べるデジカメだったのです。

中古で「DIGILUX 1」を購入するときの注意点

現存する中古が数少なくなってきたDIGILUX 1。中古に強いカメラ専門店ではほとんど見かめられず、手に入れたいなら全国各地のハードオフを巡るか、ヤフオク、メルカリ、ジモティなどのサイトを探したほうがいいでしょう。

使用できるメモリカードはSDカードもしくはMMC。なおSDHC、SDXCカードは使用不可。2GBまでのSDカードをジャンク屋やハードオフなどで仕入れましょう。

購入の際に注意すべきは、バッテリーです。2002年式(ベースモデルは2001年式)のデジカメゆえ、世界中のハンズオフ品が集うeBayを見てもまず見かけません。もちろん日本のヤフオクなどでも極めて入手難です。そのためバッテリーが消耗仕切っていない完動品を狙うのがポイントです。

DIGILUX 1だけではなく、古いデジカメを使う上でもっとも重要なのがバッテリー。互換品を含めもう新品は入手できません。型番を覚えておいて、ヤフオク&メルカリの出品を常にチェックしたいところ。

またDIGILUX 1と同じバッテリーを使っているパナソニックDMC-L1、LC1、LC5、LC40のバッテリー込みの完動品を仕入れられるなら、一発逆転チャンスにかけてバッテリーなしの動作未確認品を狙うのもアリですよ。

充電器がないというだけならまだ大丈夫。VW-AD9など、パナソニック製ビデオカメラ用充電器が使えますから。

ライカ

DIGILUX 1

2002


センサー:1/1.76インチCCD

画素数:390万画素

レンズ:LEICA DC VARIO-SUMMICRON 1:2.0-2.5/7-21 ASPH. フルサイズ換算33~100mm

メモリカード:SD、MMC

バッテリー:DMW-BL14、CGR-S602A、CGR-S602A/1B

中古相場:1万5000円前後

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ガジェットライター
武者良太

1989年にフリーライターとして活動開始。株式会社三才ブックスに入社して編集職に就き、退職の後にフリーライター/カメラマンとして活動再開。2021年で執筆・編集歴32年。現在注視しているフィールドはIT、IoT、スマートフォン、デジカメ、モビリティなど。1971年生まれ。元Kotaku Japan編集長。
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