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Interview

メタバースビジネス最前線

VRフェスイベントの仕掛け人が語るVRchatの可能性。「個人勢でもスポットライトが当たる場所を(ろい)」

author: 武者良太date: 2022/09/28

2022年5月26日。アメリカで開催される『Animazement』、オランダで開催される『Animecon』、VRで開催される日本の『VTuber SONIC FESTIVAL』『METAVERSE SONIC FESTIVAL』が連携した『ALLVERSE WEEKENDS』が始まったこの日は、VRパフォーマーたちにとって記念すべきの日となった。リアルイベントとオンラインイベントの融合だけというだけじゃない。音楽とVRのチカラで海を、国境を超えて世界中の人々とリンクしたからだ。この『ALLVERSE WEEKENDS』を手掛けた二人のキーマンに話を聞いた。

『ALLVERSE WEEKENDS』のキーマンはこのお二人

左:ろい(loy)@loyyol

メタバースでのVR音楽最前線で活躍する個人勢男性バーチャルシンガーソングライター。音楽番組『VTV』の設立。VTuberオンライン音楽フェス『VTuber SONIC FESTIVAL』主催、「自分たちの場所は自分たちで作ろう」をコンセプトで立ち上げたプロジェクト『All for V』を主催。

右:奏音リリィ(@kanonlily8
『BEYOND 2 CONNECT』を掲げ、音楽をベースに、言葉や文化の壁を越え、リアルとバーチャル、 日本と海外を繋ぎ、世界を翔る新たなキズナを作るために活動しているバイリンガルVsinger。

最初はVRでライブができるとは想像していなかった

─ろいさんとリリィさんは、なぜVRを使った音楽活動をしようと思ったのですか?

ろい 以前までリアルでバンドとVTuberをやってたんですけど、コロナ禍の影響があって専業VTuberとして活動するようになりました。また歌い手やボカロPもやっていましたが、こちらではもともと顔出しをしていなかったことと、ライブができないというジレンマがずっとあったと思う。

VRは2016年あたりからPS VRでやっていました。当時はまさかVRでライブができるなんて想像してなかったんですけど、2019年ぐらいから少しずつYouTubeで公開されたVRライブの動画を見始めて、「あっ、すげ。こんなことできるんだ」って興味を持ち、VTuberになって音楽をやったら楽しいだろうなと思って始めたんですよ。

でも最初なんか間違ってLive 2D(2次元のアニメーション配信アプリ)でVTuberを始めて「これだとVRはできないんだ」と気がついて(笑)。だから1年くらいは普通のVTuberとしての配信活動しかできなかったんです。ただその間に3Dを勉強しました。そして活動1周年でやっと3DになってVRを始められたっていう感じですね。

自分のアバターはまだなかったんですけど、VRChatに入ったのは2020年の5月くらいです。VRChatデフォルトのホットドックアバターとかを使っていましたね(笑)。

VRってすごく可能性があるなって感じた

リリィ 私はなんというか憧れという感じで、いつか歌を歌いたいなあ。いろんな人の前で歌えるようになりたいなという想いがあったんです。元々ミュージカルが大好きで、プロになれたらいいなと思ってたんですけど、やっぱり現実は難しいなーと思って諦めてしまっていたところもありました。

たまたまバーチャルっていう存在がある、VTuberっていう存在があるってことを知りました。仮想現実の中で、新しい世界観を作りだしていろんな人を惹きつけていることを知って、VRってすごく可能性があるなって感じたんです。

技術的なところもどんどん進化・発展していけば、いろんなことが実現できるようになるし、そういう新しい世界を大好きな人たちと、私が大好きなミュージカルの世界と交差させることができないかなって思って活動を始めたんですよね。ここだったら、もう一度夢を見られるんじゃないかと思って。

でもやっぱり本当に一般人だったので、どういうふうに始めたらいいか全然わからなくて。とりあえずLive 2Dなのかな?みたいな感じで始めて(笑)。

その後にVRの世界がすごい発展してるんだってことがだんだんとわかってきて。ろいちゃんがやっていた『VTV』に声をかけてもらったあたりから、もっと音楽に寄り添った活動をしようとVRを一生懸命できるようになったんです。

リアルの臨場感がそのまま感じられるVRライブ

─VRヘッドセットをかぶっての音楽活動ですが、リアルとは大きな差があると感じましたか?

ろい 最初は仕組みが難しいことに悩みましたね。音を出すのが難しかったり、トラッキングが飛んだりとか、そこらへんもずっと悩みはありました。それ以外のライブパフォーマンスっていう面では、やっぱ見てるのとやるのとでは全然違って。

初めてお客さんの前でライブをやったのは、おきゅたんさん(@OculusTan)の『くらげビート』(clusterやVRChatで開催されている定期的なVR音楽フェス)だったんですけども、その時はプラットフォームがclusterだったんですよ。

やっぱclusterだとたくさんの人が目の前にいて、そこで歌う感覚はリアルのライブの感覚にすごい近くて。そういう意味では、すごくやりやすかったですね。普段の配信での歌枠とかYouTubeで歌ってるときよりも、VRの方がやりやすいなーって感覚がありました。リアルの現場で育ったからなのかわかんないんですけど、こっちのほうが自分の持ち味を活かせるなってすごく感じましたね。

リリィ 最初はVRヘッドセットをかぶった状態でお客さんとしてVRの音楽に触れたのですが、その臨場感の凄さに感動してしまったんですよ。これはセンセーショナルだと。私も舞台で歌いたい、ミュージカルができるようになったらいいなってすごく思ったんです。

─VRライブを体験して、自分の目指す方向が見えたってことですか。

リリィ うん、そうなんです。音楽ライブだったんですけれども、音楽だけじゃなくて、もっとたくさんの可能性がそこにあるなって思ったんです。その後、ろいちゃんのVRライブを見に行ったりして、すっごい迫力で、実際にライブハウスに行って見ている感覚そのものだったんですよね。

─VRならこれができるんだと。

リリィ そうなんですよ。だから私も、自分がパフォーマンスする側としてステージに立っちたいなあって思えるようになりました。

いち個人が作り上げたとは思えないALLVERSEワールド

─しかしお二人が主宰している『ALLVERSE WEEKENDS』のワールドが凄い! アーティストのポスターが貼られた街の雰囲気からステージに続くメインストリートを移動しているだけで、フェスに来たっていう感覚が濃厚です。

リリィ これ、ぜんぶろいちゃんが作ったんですよ。しかもVRChatのワールドを作るのは初めて。

ろい 本当は、ワールド制作には手を出さないつもりだったんですよ。音楽活動ができなくなると思って。それが、正月にちょっと1週間ほど休みをとっちゃって、その間に触ってみようかなと思っちゃったのがもうこんなになっちゃいました(笑)。

リアルでライブ活動してきた中で、叶えられなかった夢の1つが、大きなフェスに出るってことだったんですよ。だから『ALLVERSE WEEKENDS』のワールドは、ライブハウスやコンサートホールではなく、海外の大きな野外フェス会場を再現することを目指しました。

VRを見ると、1つのワールドにいくつものステージがあるような大きなフェス会場がない。海外のVR DJフェスでは見たことがあったんですが、日本では作っている人がいなかったので、いつかそういう場所があったらいいなあって憧れだったんですけど、気づいたらそんな感じになっていました(笑)。

─Aqua Stageは水の中に足を入れながら、美しい光の反射と共に音楽を楽しめるステージ。これ、リアルではまず実現できないヤツですね。

ろい リリィちゃんにいろいろ手伝ってもらっているなかで、リリィちゃんが思い描いているものも取り入れていったんですね。それがこのAqua Stageです。リリィちゃんがぽろっといった「水の上で歌いたい」っていうのがキッカケでこうなりました。

最初は湖の前に前にステージがあったんですが、なんか水の中が良いって言ってたから。それで作ってみたら、めっちゃ良いじゃんってなって。

リリィ いろんな綺麗なVRのワールドを巡ってきて、一番強く印象に残ったのが水の表現だったんです。そして綺麗な水がある場所って、VRだから気軽に入っていけちゃうじゃないですか。というのをろいちゃんと話していたんです。

ろい これはVRだからこそできたことだよね。

リリィ 水に入ってばしゃばしゃと遊びながらライブが見られる。リアルだと何時間も水に足をさらすのは健康に悪いしあり得ないけど、VRはリアリティを感じながらも非日常感を味わえる。不思議な感覚が得られるんですよね。

ろい 大人が水の中でバシャバシャ楽しんでるっていう、リアルじゃあんまりできない感じがね、VRだと童心に帰れるところだと思うんですよね。

リリィ そうそうそうそう!

ろい 噴水とかも最初はなかったんですけど。 ディズニーシーとかの水のショーを見て、「ライブ会場に噴水つけている人、VRではいないよね」となって(笑)、ないならやるかと。

─やりたいこと全部詰め込んだ宝箱だ。

ろい ディズニーシーでライブしてるみたいな感覚になるんですよ。

リリィ ステージに立っている私たちが、もうほんとの景色をなんかエンジョイできちゃうんですよね。ステージから見ると湖の上にオーディエンスがいて、その先にテーマパークのアトラクションや、広い空にバンバンと打ち上がる花火が見えてアガるんです!

自分が夢に描いてたステージを盛り込んだ

─こちらがPark Stage。本当に、都市圏のフェス会場に来たという感傷に包まれます。

ろい このゲートのところでチケットのもぎりをするんですよ。それで荷物検査するスペースもあるんです。瓶やペットボトルの持ち込みはご遠慮くださーい(笑)。

─リアリティ追求しすぎでしょ!

リリィ 演者さんにも入ってもらうときに荷物検査したりとか(笑)。

ろい 時間がないのに遊んじゃったよね。

─そしてステージがまたカッコいい。

ろい こっちはオーソドックスな野外会場って感じの作りですね。

─いやオーソドックスって、これ収容人数が数万人超えのライブエリアじゃないですか。広い!

ろい リアルじゃ叶わない規模で、やりたいなあっていうところですね。リアルでこのサイズのステージに立つには何年かかるかわからないし、一生かけても立てるかどうかわからない。

リリィ リアルだったら果てしなく時間がかかるかもしれないけど、VRだったら願いが叶う!

ろい 自分が夢に描いてたステージに立ったときの景色。こういう景色の中で歌いたいなってものを全部盛り込んだんですよ。今後、このステージには誰でも立てるようにしていきたいと思っているんですよ。

─VRChatで、ワールドを含めた音楽活動をしている人々といえば『SLT』の青猫さん(@AONEKO307JP)や『Awake』のYAMADA@JOHNNY HENRYさん(@yamada_is_aniki)が思い浮かびますが、みんなしっかりとしたこだわりと想いをもってコンセプトを実現し、カルチャーを醸成させているじゃないですか。ろいさんが作ったこのALLVERSEワールドも、その1つになりえますよね。

ろい 本当、あの2人の影響はめちゃめちゃ受けています。このワールドを作っていく間にも、リリィちゃんとちょくちょく視察に行っていましたね。

リリィ そこからインスパイアされたものも多いんですよ。

個人勢であってもスポットライトが当たる場所を

─世界的に見ても類を見ないというか、『ALLVERSE WEEKENDS』の規模のVRライブイベントは初めてだと思うのです。いったいどのような経緯で『ALLVERSE WEEKENDS』をやろう、と思ったのですか。

ろい 2021年に開催した『Vソニ』(VTUBER SONIC FESTIVAL)のスピンオフイベント「V69」(VTuber ROCK Fes.)で『Awake』を使わせていただいたんですけど、たまたまというか奇跡的に、その1か月前くらいに『Awake』の見学会みたいなのをやっていたんですね。

えっ、VRChatにライブハウスってあるんだって思って参加したら、やべ、これリアルのライブハウスみたいじゃんっていうほどの再現度の高さに驚いて。僕はずっとライブハウスに出てたんで、もうその空気感がめっちゃ良くて、ぜひここでやらせてもらいたいとアニキに相談したんです。

ライブをやるだけではなく、ライブハウスを運営する人たちもいるってことを初めて知って、だからこそ、いつかはやっぱ自分の活動のフィールドを持ちたいって夢を抱き、『ALLVERSE WEEKENDS』が作れたんじゃないかって思っています。先人の彼らは、僕にとっての神様です。

─『ALLVERSE WEEKENDS』には本当に多くのVRミュージシャン、VRパフォーマーが参加しています。

ろい もともとは僕がVTuberになった時に、企業勢と個人勢の差をすごい感じたんですよ。個人勢だと全然相手にされない。特にデビュー時とか。本当に自分をアピールする場所も全然なくて、なかなか音楽を聞いてもらえないところがあったんです。じゃあ無いなら作るしかないなって思って、音楽番組の『VTV』や電子雑誌の『VLook』、音楽フェスの『VTUBER SONIC FESTIVAL』をやって、自分たちが活動できる場所を作っていったんです。

と、いうのがあってからの、『ALLVERSE WEEKENDS』なんですよ。音楽を通じて、こう人と繋がることができる場所って本当に素敵だなと思っているんです。『ALLVERSE WEEKENDS』もそんな場所の1つになったらいいな、と思っています。


author

ガジェットライター
武者良太

1989年にフリーライターとして活動開始。株式会社三才ブックスに入社して編集職に就き、退職の後にフリーライター/カメラマンとして活動再開。2021年で執筆・編集歴32年。現在注視しているフィールドはIT、IoT、スマートフォン、デジカメ、モビリティなど。1971年生まれ。元Kotaku Japan編集長。
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