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Column

耳ディグvol.2

生活の狭間の「Interesting」と「fun」ぼく脳

author: ぼく脳date: 2024/01/25

CDからサブスクへ、ラジカセからスマートフォンへ。聴くフォーマットやツールは変わっても、いつの時代も私たちに寄り添ってくれるのが、音楽やラジオなどの音声コンテンツ。「耳ディグ」と題し、気になるあの人のお耳のお供を“digる”本連載。
 
第2回に登場するのは、作品制作や構成作家として活躍し、パフォーマーとしても知られるぼく脳さん。芸人としての経歴も持ち、お笑いシーンから音楽のイベントまで広範囲に活動を展開する彼が愛聴する生活の狭間の「Interesting」で「fun」な、5つ+1つのコンテンツ。

 


ぼく脳

パーフォーマー、お笑い、現代美術、構成作家等。インターネット内外で作品を作り続けている。

Instagram: @bokunou
X: @_bokunou

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川北茂澄のインターネット的な言語感覚が心地いい「真空ジェシカのラジオ父ちゃん」

お笑いコンビ・真空ジェシカのガク、川北茂澄がパーソナリティを務めるPodcast番組。

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真空ジェシカの川北くんは昔から仲良くしてもらってる友達で。以前、別のラジオ番組にゲストとして呼んでもらったときに、「言語感覚が近いな」と思ったんです。おもしろい上に、言語感覚が一致しているのがすごく楽で心地良くて。ずっと“体温に近いお湯”に浸かっているような不思議な感覚でした。

僕は言葉に引っ張られるとほかのことを考えられなくなるので、歌モノの音楽をあまり聴かず、インストの音楽を聴くことが多いのですが、真空ジェシカのラジオは2人が話しているのに、「音楽」みたいにスッと耳に入ってくる気持ちよさがあるんです。おそらく、僕もインターネットカルチャーに長く触れてきたので、“インターネットの現場感覚”が近いんだと思います。川北くんのインターネット的なボケは日本語とは思えないほど独特で、わからない人にはわからないかもしれませんが、同じ時代感を共有している人にはよくハマる。数年前までは、平成以降のインターネットカルチャーの感覚でボケる芸人はそこまで多くなかったので、共鳴するものを感じます。

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人間味に溢れていて、どんな話題でも聴きいってしまう「マユリカのうなげろりん!!」

お笑いコンビ・マユリカの中谷、阪本がパーソナリティを務めるPodcastオリジナル番組。

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僕もお笑い芸人だったので芸歴でいうと後輩で面識はないものの、マユリカはシンプルにファンです。関西芸人なのに、ガツガツしてない引き芸で余裕があるところが、人気の理由のひとつだと思います。2023年の「M-1グランプリ」でも「キモダチ」が話題になりましたが、めちゃくちゃ下品な話をしていても、なぜか落ち着いた雰囲気で品がある。いい意味で、言葉が言葉以上の力を持っていないんです。仲のいい2人がずっとトークでいちゃいちゃしていて人間味が溢れ出ている。「これぞラジオ」というラジオの良さが詰まった番組で、僕と正反対すぎるところがとても好きです。もし僕がラジオをやるなら、マユリカのようなスタイルを真似したいと思うくらい憧れる番組でもあります。

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作家性が高い“芸人”ラジオ「霜降り明星のオールナイトニッポン」

お笑いコンビ・霜降り明星のせいや、粗品がパーソナリティを務めるラジオ番組。

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霜降り明星のラジオも2人の掛け合いがおもしろくて結構前から聴いてました。2人ともおもしろくて好きですが、粗品が時折見せるチャレンジングな姿勢が好きです。せいやが欠席したある放送回で、録音した自分の声と生放送の自分の声との一人二役で2時間の生放送をやっていたことがあって。「どうやってるんだ?」という驚きと、おもしろさに作家性の高さを感じました。無難にゲストを呼ぶこともできたのに、才能で対応したのがすごい。

若くして「M-1グランプリ」で優勝して売れても、理解されすぎたり大衆受けされたりすることを拒んで、作家性が高いものを世の中に提示してアナーキーな姿勢を貫くのは好感を持てるし、「タレントじゃなくて芸人だぞ」という強いメッセージを感じます。

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ふざけ倒していても圧倒的人気なのがおもしろい『Big Dick』(Little Big)

2013年に結成されたロシアのレイブバンド・Little Bigが2015年にリリースしたアルバム『Funeal Rave』の収録曲「Big Dick」。現在はアメリカに拠点を移して活動している。

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日本での知名度はあまり高くないかもしれませんが、ずっと大好きなロシアのバンドです。このMVでボーカルのイリヤ・プルシーキン(Ilya Prusikin)が前髪だけ残した坊主のヘアスタイルをしているのですが、これは日本でいうリーゼントのようなロシアの不良の髪型らしくて。元々、ロシアの不良の音楽に興味があって追いかけていたときにこのグループを知って、僕も一時期髪型を真似していました。

「My dick is big」ばっかり言っているのに、MVはYouTubeで1億回以上再生されているんです。真剣にふざけたことをやっていて、それでいて大人気なのがかっこよくて。初めて観たとき、「こんなんでいいんだな」と、ある種の衝撃を受けたのを覚えてます。調べると、彼らは政治的な風刺を取り入れた作品も発表しているんです。「おもしろい」に「Interesting」と「fun」のふたつがあるとしたらLittle Bigは後者だと思いますが、ただおもしろいだけじゃなくて、ポリティカルなトピックもオマージュを取り入れて表現する彼らのスタイルはかっこいいなと思います。

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いろんな手触りの音がワクワクする『Uchigawa Tankentai』(食品まつり)

日本人アーティスト・食品まつりが2023年にリリースしたアルバム。

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タイトルからして最高な食品まつりさんのアルバム。晴れた日の公園とかお腹いっぱいのときにふさわしいワクワクする音楽で、いろんな手触りの音で溢れているアルバムだなと思います。真空ジェシカのおもしろさとも、Little Bigの楽しさとも違う、お寺を見ているような「Interesting」という意味でのおもしろさを感じます。

普段はおやじギャグを言ったりする陽気な方で、こんなに自由でチャレンジングな曲を作るとは想像できない。そんな人柄やギャップも最高なんです。ライブでもエキセントリックなパフォーマンスをする人で、食品まつりさんのライブに行くときは今でもとてもワクワクします。

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インスピレーションの源「心臓の音」(ぼく脳の身体)

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自分(ぼく脳)の心臓の音。耳栓は「Can☆Do(キャンドゥ)」で購入。

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インスピレーションを探して音声コンテンツを聴くことはあまりなくて、「『布団を叩く音』と『バスケのドリブルの音』が似ているな」みたいな、日常の気づきが制作のヒントになることが多いです。そして、そういうひらめきは何も聴かずに集中しているときに生まれます。

ジョン・ケージの「4分33秒」という無音の曲(「無響室に入ったら体の内側の音が聞こえてきてこの世に完全な無音などあり得ない」みたいなコンセプトの曲)がとても好きで、集中したいときは、家でも外でも耳栓をして「心臓の音」を聴いています。無音のようでそうじゃない。自分の心臓の音だけが聞こえるので、よく集中できるんです。耳栓は「自分の心臓の音を聴くためのイヤホン」だと思っています。音声コンテンツは1人のリスナーとして楽しんで、考え事をするときは耳栓をして自分の心臓の音を聴いています。

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「人間味」時代に「神秘性」をまとったコンテンツを

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音楽は歌詞のないものを、言葉があるものを聴きたいときはラジオを聴くことが多いです。歌詞のある音楽を聴くと、頭の中でその曲だけがずっとエンドレスに再生される現象が起きて、ほかのことが考えられなくなるので、昔から歌モノの音楽をあまり聴いてきませんでした。何か作業しながら聴くときはラジオ、逆に考え事をしたいときはインストゥルメンタルなどの音楽を聴きます。

学生時代は、深夜ラジオを1人で「コソコソ」聴くことも好きでしたが、今は時間に関係なく、聴きたいときや時間があるときに好きなラジオ番組を聴きます。好きな芸人さんや、知っているアーティストの音声コンテンツを聴くことが多いです。テレビで見るスーパースターが誰しも「神秘性」をまとっていた一昔前の時代と変わって、今は「人間味」を出していった方が人気が出やすい時代だと思います。それでも「神秘性」のある人が僕は好き。天竺鼠の川原さんとか真空ジェシカみたいな芸人さんは、逆張りで「神秘性」に振り切っている。きっと、素を出して話した方が人気も出やすいし、やりやすいはずなのに、ボケに徹底している人の姿勢に作家性を感じて、とても好きです。僕もあまり「人間味」を出すタイプではないですが、そろそろ今年くらいは「人間味」を出していこうかなと思ってます。もっと売れたいので。


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