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イシヅカユウ、ぱーてぃーちゃん信子、長谷川彰宏の

深夜カラオケ向上委員会

author: 山梨幸輝date: 2025/09/23

終電を逃した背徳感や、ここでしか生まれない「あの曲デュエットしない?」などの会話、心地よく回るアルコール、部屋にこだまするエコー。深夜のカラオケでしか得られない高揚感が、そこにはある。

その一方で、「楽しみ方が分からない」という意見もあったりする。選曲に迷ったり、他の人が歌う間に手持ち無沙汰になったり、眠くなったり。「深夜カラオケは行くことを決めた瞬間がピークで、あとは盛り下がるだけ」なんて辛辣な“あるある”も、ごもっともだ。

では最後まで楽しく歌うにはどうすればいいのだろうか? 話し合ってくれたのは、“深夜カラオケガチ勢”であるモデル・イシヅカユウさん、お笑いトリオ・ぱーてぃーちゃんの信子さん、そして「歌うのは好きだけど、深夜カラオケ未経験」な画家で僧侶の長谷川彰宏さん。

お悩み相談連載「今月のサバイブ術」でもお馴染みの3人と一緒に、明日から使える“深夜カラオケ術”を考えた。

イシヅカユウ

静岡県浜松市生まれ。フリーランスのファッションモデル・俳優。さまざまなブランドのファッションショーや広告に出演するほか、2021年には短編映画『片袖の魚』でスクリーンデビュー。この日、実際に歌ってくれたのはピンク・レディー「UFO」(テンポ+7)。
X:@ishizukayu
Instagram:@yu_ishizuka


信子

大分県大分市出身。お笑いトリオ・ぱーてぃーちゃんのボケ(思い立ったことをすぐに言う) 担当。ラジオアプリGERAにて『ぱーてぃーちゃんの絆Nightふぃーばー』を毎週金曜日に更新。この日、実際に歌ってくれたのは小柳ゆき「あなたのキスを数えましょう」。
X:@n0bush1
Instagram:@nobuko_0801


長谷川彰宏

三重県津市生まれ。天台宗系の寺院に生まれ、12歳の時に得度(出家)。現在は東京藝術大学院美術研究科に所属し、現代アーティストとして活躍する。仏教思想や仏像の造形にインスピレーションを得た作風が特徴。この日、実際に歌ってくれたのはポルノグラフィティ「サボテン」。
X:@Akhr0g
Instagram:@akihiro_hasegawa_jp

「旦那と肩組んで熱唱」。三者三様なカラオケ愛

──「今月のサバイブ術」は1年以上続いていますが、3人が同じ場所に揃うのは今日が初めてですね。直接お会いできて嬉しいです!

信子:いや、普通に嬉しいですよ!

長谷川彰宏(以降、長谷川):僕もです! サバイブ術が始まった時からずっと言ってるんですけど、みんなと飲んでみたいなと(笑)。

イシヅカユウ(以降、イシヅカ):次の企画は飲み会にしませんか?

信子:決定! すぐ仕事に繋げる(笑)。

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イシヅカ:あと私、信子さんに伝えたいことがあったんですよ。サバイブ術の恋愛相談の回(第8回「いつも告白する一歩手前で止まってしまいます」)で、「天才てれびくん」の主題歌の歌詞を引用していましたよね? 私、「天てれ」大好きで、回答を読んで「最高!」って思ったんです。

信子:嬉しい! うちと同世代ですよね? 通ってきた番組とか音楽が一緒なのかも。

イシヅカ:そうです! だからあの回答はテンションが上がりましたね。

──皆さんはカラオケによく行きますか?

イシヅカ:めっちゃ行きます。

信子:スナックもカウントしてOKならめっちゃ行きます!

長谷川:スナックは未経験だな。

信子:マジすか! おすすめですよ! カラオケでいうとうちは賞レースの予選シーズンに行きがちですね。芸人仲間といると誰かが自然と「歌いたくね?」って言い出す。「M-1グランブリ」や「THE SECOND」のテーマソングを歌って気持ちを高めたくなるんですよね。YELLOW MONKEYの「バラ色の日々」とか入れて「沁みるわー」って言い合ってます。あと、旦那もカラオケ好きだから2人で飲んでると「歌いたくない?」ってなる。最後の方とか肩組んで熱唱です。

イシヅカ:本当に素敵(笑)。私はちょうどこの前、川崎の高津で友達と飲み屋を4軒ハシゴして、締めにスナック。ひたすら昭和歌謡を歌いましたね。そういう日もあるけど、カラオケのためだけに友達と集まることもあります。セットリストを作って本気で臨むから、もうすごい“長い”の。6、7時間はカラオケボックスにこもってますね。

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長谷川:2人ともすごい熱量だ(笑)。僕もカラオケは子供の頃から好きです。というより、地元の三重には遊ぶ場所がカラオケぐらいしかなかったんですよ(笑)。あと僕、僧侶でもあるんですけど……。

イシヅカ:そうですよね。

長谷川:こんなこと言ったら同業者から怒られるかもしれないですけど、歌が入っていない空(から)のオーケストラに合わせて声を出すっていう意味では、お経も概念的にはカラオケみたいなものなんですよ。

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信子:「一切皆苦ぅー!」みたいなこと? お経ラップ説(笑)。

長谷川:そんな感じです(笑)。だから盆と正月はある意味ずっとカラオケしている。実際、宗派によってはお経に音程があるし、歴史を辿ると平安時代くらいには声のいいお坊さんがアイドル扱いされていて。朝廷の女性が1000人くらい押しかけたみたいな記録もあるんです。

信子:おもしろ! 「エビバディセイ ナーム!」。

長谷川:そんなコールアンドレスポンスもあったかもしれない。

イシヅカ:気づけば仏教の話に(笑)。

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「深夜カラオケはスポーツ」。“ガチ勢”が語る魅力

──信子さんとイシヅカさんはどんな時に深夜カラオケに行きますか?

信子:うちは大体ベロンベロンに酔って行きますね。で、とりあえず沸く曲をみんなで一周する。一旦体力使い切る感じです。

イシヅカ:わかります。私の行きつけのカラオケが、平日なら持ち込み自由で朝まで1400円とかなんですよ。「なか卯」でうどんとか買って朝5時までガチで歌う。私にとってカラオケはスポーツですね。

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信子:深夜のカラオケは特に一体感がありますね。マイメン同士でも、会ったことない人や普段は距離のある人とも、団体芸として盛り上がれるじゃないですか。例えば部長と平社員が一緒に行ってもカラオケの中では熱量を共有できる。それってすごいカルチャーですよね。マジで世界に誇っていい。

長谷川:僕は高校時代に夜のカラオケ行ったくらいなので、その空気をまだ掴みきれていないな。今日は教えてもらいたいです。

──「深夜カラオケは行くことを決めた瞬間が盛り上がりのピーク」という意見もありますが、どう思いますか?

信子&イシヅカ:あんまり分からないですね。最後まで楽しいです。

長谷川:きっぱり(笑)。失速する原因って何ですかね?

信子:深夜カラオケのバイブスじゃなかったんじゃね? って思います。根本的にはエモさの種類が一緒の人といれば楽しいはずなんですよ。例えば小学生のときに聴いてた音楽が一緒とか。

イシヅカ:まさに同時期に「天てれ」を観ていた私と信子さんですね。

信子:そうです。好きなアーティストが被っていて「あのアルバムやばかったくね?」って話せるとか。

──音楽の趣味や歌に対する向き合い方が近ければまず失速はしにくいんですかね。

信子:カラオケ好き同士なら最後まで楽しいはずですよね。

声出しは「Everything」、締めは「大地讃頌」

──皆さんはカラオケで何を歌いますか?

信子:マジいろいろあるけど、1曲目はだいたい小柳ゆきの「あなたのキスを数えましょう」。

イシヅカ:“声出し曲”だ。

長谷川:声出し曲?

信子:一旦喉をあっためないといけないんで。初っ端から無理して高い声出すと速攻で枯れるじゃないですか。だから歌いやすい音域の曲を入れる。

長谷川:なるほど、そういう概念があるんですね。

イシヅカ:みんなが知っている曲だと盛り上がりやすいというのもありますね。ちなみに私はMISIAの「Everything」。

信子:分かる、鉄板ですよね。

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──十八番の曲はありますか?

長谷川:僕はよくポルノグラフィティとかB’zを歌いますね。あと、ウケがよかったのは和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」。

イシヅカ:私はくぅちゃん(倖田來未)。盛り上げたい時は「キューティーハニー」で、バラードの流れの時は「You」か「愛のうた」。

信子:くぅちゃん万能説ありますよね。うちがギャル仲間と行った時は、ジッタリン・ジンの「あなたが私にくれたもの」。あ、これは完全に“飲み曲”なんでおすすめはしないです(笑)。イントロ流れた瞬間「おーい誰だよこれ入れたやつ」「テキーラ来たじゃねえかよ」みたいなノリがある。

──まずは“声出し曲”で喉を温めて、知名度の高いJ-POPで流れを作ったり、メンバーによっては“飲み曲”などを飛び道具的に入れるのが鉄板の流れですよね。ちなみに最後に歌う“締め曲”はありますか?

信子:全員が歌える曲ですね。「デジモン(アドベンチャー)」の主題歌の「Butter-Fly」とか入れがち。

長谷川:あ、それでいうと僕は合唱曲入れたことある。「COSMOS」とか。

信子&イシヅカ:分かる!

長谷川:最後に一体感を楽しめるんですよね。

イシヅカ:私は「旅立ちの日に」が好き。

信子:うちは「大地讃頌」。これは“締め曲あるある”かもしれないな。

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スナックは昭和歌謡一択。場所で変えるファイトスタイル

長谷川:コミュニティが違っても共通のノリがありますね。あと気になってたのが、スナックやカラオケバーだと戦い方って変わるんですか?

信子:カラオケとは戦(笑)。でも確かに変わるっすね。スナックだと年配の方がよくいらっしゃるから、昔の曲を歌いがちかもしれない。

長谷川:そもそもの話ですけど、カラオケは知人と行く前提だけど、スナックの場合は初対面の人がいる場合がほとんどですもんね。やっぱりその場の人に合わせて変えるんだ。

イシヅカ:そういう意味だと私はスナックだと絶対に盛り上がるから昭和歌謡一択です。歌詞がジトジトしてるほどいい。ちあきなおみの「喝采」とか。

信子:高橋真梨子の「ごめんね」とか。スナックにいる年配の方ってめっちゃ歌を褒めてくれるんですよ。

イシヅカ:「こんな古い曲よく知ってるね」とか。それがすごい嬉しいんですよ。

──スナックならではの一体感ってありますね。

初心者と一緒なら? 明日から使えるリード法

──カラオケにあまり慣れていない人と行く場合はどうでしょう?

信子:カラオケマスターを1人メンツに加えるだけで全然変わると思います。例えば失恋した子がいたら「君に捧げます」みたいな感じで、その状況に応じた曲を歌ってくれる人とか。

イシヅカ:リードしてくれる人がいるだけで楽しさが変わりますよね。

信子:あと歌う前にエピソードトーク挟んでくれる人とかいると最高ですよ。「俺が芸人辞めようと思った頃に励ましてくれた先輩がM-1に出場できて、俺が『おめでとうございます』と伝えたときにいたお店で流れていた曲がこれです」とか。

長谷川:スキルが芸人すぎるな。

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──かなり高度ですけど、エピソードトークやカラオケならではのノリをいくつか覚えておけば、いざというときに役立つという学びはありますね。

イシヅカ:あと、「この歌を入れるのは違う」とか考えすぎると疲れて失速しちゃうのもありますよね。自分が率先して好きな曲を入れたりして、自由に歌っていい流れを作ることもあります。

長谷川:それでいうと“全員歌おうぜ感”をなくすのも大事かも。デンモク(選曲用のリモコン)を誰かが独占するのはよくないけど、必ず1人ずつ回すルールにするのも息苦しいですよね。

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信子:あと慣れてない人がいる時は「歌える曲ある?」って訊いて、うちも歌えたら2画面交代にする。

長谷川:2画面交代?

信子:画面に表示される歌詞が2回切り替わったらマイクを回すっていうルールのことです。

長谷川:それさえ名前がついてるんだ。確かに2画面交代なら歌うハードルが下がりそうですね。

スマホに採点、ウーロン茶。盛り下がる原因を探る

──逆に深夜カラオケでやらない方がいいノリはありますか?

信子:さっき言った“飲み曲”ってみんなのテンションがマックスになった状態で入れると盛り上がるんですよ。でも、例えば仕事の話とかしているときに浜崎あゆみのユーロビートリミックス(「ayu's EURO MEGA-MIX」)とか入れられると、「今じゃない」ってなります。みんなでいるんだから空気読もうぜっていうカラオケ以前の話かもですけど(笑)。

イシヅカ:団体芸ですもんね。

長谷川:あと慣れていない人がいるなら採点したり音程バーを出したりはしないほうが良さそうですよね。合っているか間違っているかのゲームになってしまう。

信子:点数低かった方がテキーラとかなら盛り上がるんですけど、人を選びますよね。

イシヅカ:私は採点機能使ったことないかも。

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信子:あと知らない曲でもちゃんと聴いてあげるのも大事。分からないからってスマホ触るやついると「聴きなー」って言っちゃう。

イシヅカ:そういえばこの前、アメリカから来たバンドマンと一緒にカラオケしたんですけど、入れる曲が英語のパンクロックばっかりで全然分からなくて。でも一緒に「わーい」ってやった。知らなくてもノったらノったで楽しいんですよね。

──食べ物や飲み物のオーダーにこだわりはありますか?

信子:うちはお茶系頼まないです。

イシヅカ:分かります。特に烏龍茶とかプーアル茶はポリフェノールが喉の油を流すと言われているんですよね。

長谷川:そうなんですか!? 有益すぎます。

イシヅカ:似たような発想でフードは唐揚げみたいな油っこいものを頼みますね。喉の“滑り”が良くなる気がするんです。歌ってたらどうせカロリー消費するし。

長谷川:今日一番いい情報かもしれないです。読経にも役立ちそうだから僧侶の間で広めようかな(笑)。

イシヅカ:まさか寺業界に貢献できるなんて……。

信子:やっぱりカラオケは日本のカルチャーなんですって。

「大失恋でカラオケ」。歌い明かした夜の思い出

──忘れられない深夜カラオケの思い出はありますか?

イシヅカ:昔、大失恋したんですよ。家で塞ぎ込んでいいる時に友達が無理矢理カラオケに連れて出してくれて。失恋ソングとか吹っ切れられる歌詞の曲をずっと歌ってくれた。泣きながら聴いてたんですけど、だんだん元気が出てきて、最後は私も失恋ソングを熱唱しましたね。

信子:うわーいいエピソード! うちは地元のツレにまりあってやつがいるんですけど、普段はドライな性格っていうか、他の子に「大事だよ」みたいなアピールはしないんですよ。でもこの前一緒に飲んだ後にカラオケ行ったら、「あなたが好き」みたいな歌詞を「“信子”が好き」って替えて歌ってくれて。「こいつ可愛いやっちゃで」ってなりました。

長谷川:カップルでもベタすぎてなかなかやらないですね(笑)。僕は深夜ではないんですけど、成人式の後のパーティーで「カラオケ行こうぜ」ってノリになったのを覚えていますね。学生時代の友達と行くと当時歌っていた曲を入れるじゃないですか。そんな時に、自分と違う道を歩んできた分の人生の厚みを感じますよね。「お前が歌うからエモい」って曲がどんどん増えていくんです。

深夜カラオケ、行こ!

──コロナの影響で足を運ぶ機会がなくなってしまったりと、まだカラオケに馴染みがない方は多そうですね

信子:計り知れない寂しさですよね。でも、うちはいつからでも何でも始められると思ってるんで。逆に今から青春をスタートさせるくらいの気持ちでカラオケに行ってもいいと思います。ルールなんて同期や同級生から教えてもらえばいいし、みんな知らないならイチから考えればいいですよね。何も気負うことなく楽しんで欲しいです。

イシヅカ:遊び方を自分たちで作っていけますもんね。それに、興味があれば慣れている人に連れて行ってもらうのも一つの手で。世代に関係なく盛り上がれるのがカラオケの魅力だと思いますから。

長谷川:今日2人の話を聞いていたら、もし深夜カラオケが失速したとしても、悪いことではない気がしてきたんです。例えば途中から8人が寝ていて、2人歌っている自由さも悪くないというか。だって、集団でいて空気がだれてきたら、普通は解散するじゃないですか。それなのに、深夜カラオケだとそれが起こりにくい。

“一緒にだれる”という経験ができること自体、特殊な文化ですよね。そんな連帯性こそが魅力なのかなと。だから最後まで盛り上がっても、失速しても、いい思い出になりそうだなと思いました。僕も早くやってみたいです(笑)。みなさん、今度いきませんか?

信子&イシヅカ:絶対行きましょう!

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Text & Edit:山梨幸輝 
Photo:沼田学

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編集者/ライター
山梨幸輝

編集者/ライター。大学時代にファッションブランド・writtenafterwardsでのインターンを経験し、卒業後にフリーランスとして活動を開始。雑誌やWEBメディアでの執筆や編集、ブランドのカタログ制作などを行う。
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date 2025/09/17