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“帰りたくない夜”のそばにいた、お酒と街のざわめき

Tsugumiのワンカンと散歩とカルチャーと

author: 山梨幸輝date: 2025/09/30

友達との飲み会終わりや一人での散歩中など、さまざまなシチュエーションで、“ワンカン”は始まる。

言ってしまえば、缶のお酒を1本買って、屋外でサクッと飲むだけ。それなのに特別な行為に感じられるのは、ワンカンが「もう少し話したい」「まだ街の中にいたい」気持ちとセットになりやすいからかもしれない。

「ワンカンした日の記憶ってなぜか鮮明なんですよね」。そう語るのは、モデル・俳優のTsugumiさん。お酒が大好きで、一人でいるときは音楽やポッドキャスト、カメラが欠かせない。そんな彼女とほろ酔いで街を散歩。お酒に合うカルチャーの話や悲喜こもごもな思い出を語ってもらいながら、ワンカンの魅力について考えた。

Tsugumi

2016年、高校在学中よりモデル活動を始める。数々のファッション雑誌、ブランドのショーやLOOKBOOK、広告に出演。2019年にはパリコレクションにも出演。俳優としてPEDRO「空っぽ人間」やYOASOBI「New me」のMVのほか、テレビドラマ「MADDER その事件、ワタシが犯人です」などにも出演。趣味は写真、ギター、歌、映画や舞台観賞。

X:@Tsugumi_donna
Instagram: @tsugumi_jp

息抜きに散歩、夜の“アンコール”にワンカン

家でずっと台本を覚えていると「もう限界!」ってなるんです。そういう時は、とりあえず外に出て、あてもなく歩く。“長旅”の日はバスに乗って、Google Mapに保存した「行きたいところ」リストの中からランダムに目指すこともありますね。数十分から数時間歩いて帰ってくる頃には、頭がすっきりして前向きになれている。私にとっての散歩は“ポジティブな現実逃避”なんです。

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飲み会の後もよく歩いて帰ります。話し足りない時はコンビニでお酒を買って、公園をぶらぶらしたり。誰かとするワンカンは、飲み会の“アンコール”みたいなもの。もう少し人といたいときに、楽しい時間をちょっとだけプラスしてくれますから。

茶沢通りでお茶割りを

今日の散歩の出発点は三軒茶屋。幼少期からこの近辺に来ることが多かったんですよ。特に国道246号を隔てたところにある「栄通り商店街」は馴染み深くて、今はない「ヴィレッジヴァンガード」を物色したり、ファッションを覚えたての頃に古着屋の「BANK」に行ったのはいい思い出ですね。

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落ち着いた雰囲気の三宿や、飲み屋が並ぶ賑やかな茶沢通り(三軒茶屋と下北沢を繋ぐ通り)など、少し歩くだけで変わる景色も魅力。気づけば新しいお店ができていたり、かと思えば数十年前から変わらない一角があったりと、何度散歩しても飽きない街です。

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お酒が飲めるようになってからお世話になっているのは、もちろん茶沢通り(笑)。渋い“赤ちょうちん”系やエスニック料理、落ち着いた雰囲気のバーまでなんでも揃っていますから。適度な間隔にスーパーやコンビニがあるので、ワンカンにもぴったり。今日は駅前の「SEIYU」でお酒を買って、下北沢に向かって歩こうと思います。

ワンカンのお供は、もっぱらサントリーの「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉」。さっぱりした飲み口で、この世で一番飲みやすいお酒!(笑)。最近、売り場でロング缶を見かけることも増えてきて。需要に応えて作ってくれたサントリーさんに感謝ですね。これからも末長くよろしくお願いします。

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「アサヒ贅沢搾り プレミアム」の梨味などの季節限定のお酒も手を伸ばしがち。「ほろよい」シリーズも「マスカットティーサワー」など意外な味が追加されているので要チェックです。こんなふうに売り場を隅々まで見ているからなかなかお店を出られないんですよね(笑)。

猫を探し、家賃を当てる。手ぶらの散歩の楽しみ方

一番好きな季節は、秋。なぜなら猫が活動的になるから! 夏の間は冷たいコンクリートの壁にじっと張り付いているんですが、10月が近づいて涼しくなると公園などで見かける確率がグッと上がります。特に人懐っこくて撫でさせてくれる子と出会えると最高。散歩の一番のご褒美ですね。

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あと、密かな楽しみが、不動産に貼ってある家賃を予想する遊び(笑)。街ごとに傾向が全然違って面白いんですよ。似たような感じで、友達とワンカンしながら「間取りを予想するゲーム」をしたのも楽しかったな。そんなふうに散歩中はオリジナルの遊びを試すことも多いです。

ショルダーバッグにカメラを忍ばせて

散歩するときの服装は“楽ちん”が最優先。9月はだいたいTシャツにデニムですね。ちなみに今日のトップスは大好きな峯田和伸さんが所属していたGOING STEADYのバンドTです。

お酒の場で何度も物を無くしているので、バッグは斜めがけ一択で、アクセサリーはバングルだけ。「落とすかもしれない」という不安が散歩とお酒のノイズになりますから。トライアンドエラーを繰り返して、今の“身体から荷物を離さない”スタイルに固まりました。居酒屋でもバッグを斜めがけしたまま座っているので、友達に「帰りたいの?」って訊かれるのが悩みどころです(笑)。

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散歩の必需品は、カメラ。中学生の頃から愛用しているのがミノルタのCapiosシリーズです。オートフォーカス機能付きのフィルムカメラはピントが合いにくかったり、画質が悪すぎることが多いんですけど、これは写りが一眼レフ顔負け。それでいてフィルムらしいざらついた質感にもできるので、本当に万能。光のバランスが難しい夜の撮影にもぴったりなんです。オークションサイトで見つけては買い足し続けていて、かれこれもう7代目ですね。

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街中だと建物を撮影しがち。“構図フェチ”なので、配線が綺麗に配置されていたり、配管が平行に並んでいたり、デッサンなどでお馴染みの「一点透視図法」が見つかるとシャッターを押したくなります。ちなみに大好きな猫はというと、触るのに必死なのでほとんど撮ったことがありません(笑)。

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世界の主役になれる散歩BGM

一人での散歩中に聴くのは「今の私、MVの主役です」「いい風、感じてます」みたいな歩き方をしたくなる音楽(笑)。感傷的な気分になれる曲調のものが多いですね。定番はindigo la endや奇妙礼太郎、大橋トリオ、HIMI、上白石萌歌ちゃんの歌手名義であるadieuかな。

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物心がついた時からアイドルオタクで、特に解散後もずっとメンバーを追い続けているのがBiSH。ワンカンしながらの散歩に合うのは、アイナ・ジ・エンドちゃんが作曲した「リズム」かな。ピアノが美しく響くしんみりした曲調や「イヤホンしても からっぽのまま」などのセンチメンタルな歌詞が一人の時間にぴったりなんです。

ここだけの話、一番散歩をしたくなるのは、失恋したとき(笑)。家の中が辛すぎて街に出るしかなくなるんですよね。そういう時に聴くために、「心強く」というプレイリストを作っています。ラインナップを挙げると、たとえばTOMOVSKYの「脳」。「ああ残酷だ、不公平だ、理不尽だ」という歌詞が、私と一緒に嘆いてくれているように感じるんです。

「林檎もぎれビーム!」も、友達が教えてくれてプレイリスト入りしました。タイトル通りヘンテコ歌詞なのですが、「『変わったアナタを誰にみせたい?』 あからさまに見くびったやつ あいつらにだ!」というフレーズにハッとさせられて、何度も救われています。心を強く保ちたいときの切り札のような曲ですね。

“笑い我慢ゲーム”でラジオをスリリングに

ラジオも私の日常に欠かせない存在。大好きな番組は「オードリーのオールナイトニッポン」と「空気階段の踊り場」ですが、それは家で通しで聴くことが多くて。散歩のお供は、30分くらいの尺のもの。特に私が考えた“笑い我慢ゲーム”ができるものがいいですね。大声で笑えない屋外で、あえて吹き出しそうになるようなトークを聴くんです。最後まで耐えられたら勝ち。

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おすすめの番組は、ポッドキャストで配信されている「マユリカのうなげろりん!!」。特にリスナーから集めた可愛らしい声の「萌えボイス」と、パーソナリティの2人に対するダメ出しを録音した「オェボイス」のどちらを多く引けるかを勝負する「#77 オェ萌えキュン」ですね。

「萌えボイス」に本気でデレデレしたり、「この前のトークライブは進行が微妙だった」みたいなリアルな指摘に凹んだりと、短い時間に感情の起伏が詰まっていて。「うなげろりん!!」の勝負回は、「ビキニ撮影会をやる」「一人でミュージカルをやる」など、本気な罰ゲームも楽しみの一つです。

「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER」も“神回”が多くて。特に占いやオカルトに詳しいお笑い芸人の島田秀平さんのゲスト回が大好き。

たとえば、島田さんが群馬県にある「めがね橋」を舞台にした怪談を話そうとすると、有吉さんが「怖いと言えば、最近ジョーカーを見始めたんだけど」「その辺は釜飯で有名だよね」「おばけはまだ出ないの?」みたいな茶々を入れ続けるんです。本当は1、2分で終わる内容なのに、島田さんが20分近く経っても最初の3行くらいしか喋れないのが不憫で可笑しい。怪談としてはありえないほど早いテンポ感で掛け合いが行われるのも最高。お酒が入っていたら確実に“笑い我慢ゲーム”に負けますね(笑)。

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誰かと話したい夜、一人で乗り越えた夜

そういえばこの前参加した飲み会でも、「終電逃す前に帰るね」って友達とお店を出たのに、ワンカンしたら結局早朝まで話し込んでしまって(笑)。お店と違って長時間居られるところや、自分たちの空気を作りやすいところがいいんですよね。“ここでしかできない”話ができるからか、今思い出しても、ワンカンの記憶はかけがえのないものばかりです。

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そんなふうに楽しい夜も好きだけど、気分が沈んでいた日に一人でした散歩も忘れられなくて。家に帰りたくなくて、お酒を片手に緑道を20周くらいした夜は今でもはっきり覚えています。でもそれはネガティブなことではなく、むしろ辛いことを乗り越えられたいい思い出で。だからその緑道を歩いたら、「あの時は辛かったけど、今の私は前に進めてていいじゃん」と胸を張れる。そういう思い出の景色がどんどん増えていくのも、夜の散歩ならではの魅力かもしれません。

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いつかは、“せんべろ散歩”に岐阜散歩

いつかやってみたいのが、BSテレ東の「オードリー春日の知らない街で自腹せんべろ」みたいな飲み歩き。オードリーの春日さんが初めて降り立つ土地で、1000円分のお酒とおつまみだけで酔っ払う番組なんです。私もいつか、それの散歩版をやってみたい。行ったことのない駅で降りて、新鮮な景色を見ながらワンカンするようなイメージですね。駅でいうと、山手線の「田町」とか。よく通過するけど何があるか思い浮かばないので、1000円だけ握りしめて散策したいです。

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もっと大きな目標は、岐阜県で散歩をすること。なんといっても、世界最大級の淡水魚水族館「アクア・トト ぎふ」があるんですよ。長良川のイワナやマスからアマゾン川のピラルクーまで、本当に幅広い種類が展示されているらしくて。水族館をたっぷり堪能した後に、岐阜の落ち着いた街並みや、豊かな自然を眺めながらお酒を飲みたいですね。そこで見た景色も、きっといい思い出になるんだろうな。

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Edit & Text:山梨幸輝
Photo:是永日和Tsugumi

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山梨幸輝

編集者/ライター。大学時代にファッションブランド・writtenafterwardsでのインターンを経験し、卒業後にフリーランスとして活動を開始。雑誌やWEBメディアでの執筆や編集、ブランドのカタログ制作などを行う。
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