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象印「炎舞炊き」はついにここまできた

新「炎舞炊き」(NW-FA型)登場!モチモチふわふわごはんを食卓に

author: 石井和美date: 2022/06/02

小麦価格の高騰を受け、小麦粉の代わりになる食材「米」が注目を集めている。輸入に頼る小麦と異なり、自給率はほぼ100%。価格が安く、日本人の食生活にも合っている「ごはん」が改めて見直されている。これからごはんの出番が増えるのであれば美味しく食べたいものだ。

そこで今回は、高額にもかかわらず、売上が好調に推移している象印マホービン(以下、象印)の「炎舞炊き(えんぶだき)」に注目。ちょうど最新モデルNW-FA型(2サイズ・5.5合炊き/1升炊き)が2022年6月21日より発売されるので、開発現場で話を伺った。

縦・横・斜めに激しい対流を生み出す「3D ローテーション IH 構造」実現

象印の圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き」で炊いたごはんは、コロナ禍で試食ができない中でもその「美味しさ」が口コミで広がり、好調に推移している。10万円を超える高級路線だが、実際に食べてみれば納得の味だ。

驚くほど甘く、モチモチした食感が特徴。一等米で炊いたごはんが美味しいのは当然だが、比較的安く購入できるような一般的なお米もとびきり美味しく炊き上げてくれる。冷めても保温しても美味しく、実際に食べてみるとその満足度は高い。

とびきり美味しく炊くことができる理由は、特殊なIH構造にある。従来のIH炊飯ジャーは底コイルがひとつだったが、2018年に発売された「炎舞炊き」(NW-KA型)は、業界初の構造で本体底部のIHヒーターのコイルを3つ搭載。ひとつ前のモデルNW-LB型は、底IHヒーターの6つのコイル・対角線上にある2つを同時加熱させ、順番にオン・オフをさせながらごはんを対流させる「ローテーションIH構造」と圧力で、さらに強い対流を生み出せるようになり、今まで以上に甘くてモチモチした食感を実現した。

3つのコイルから始まった「炎舞炊き」は、進化し続けている

新モデルNW-FA型では3次元対流を可能にした「3DローテーションIH 構造」へ進化。今まで6つあった底IHヒーターコイルの形状と配置が刷新された。炊飯器の商品企画担当の第一事業部 サブマネージャー 三嶋一徳さんいわく、「改良したことで、より複雑な対流を起こすことに成功した」という。

「前モデルのコイルはすべて同じ形で左右対称に並んでおり、規則的な対流を起こし、複雑な動きになっていませんでした。そこでコイルを中心に寄せてみたり、中心に足してみたり、いろいろ試作品を作りましたが、なかなか成功に至りませんでした(サブマネージャー 三嶋一徳氏)」と当時の苦労について語る。

第一事業部 サブマネージャー 三嶋一徳さん。2011年に入社し、現在は第一事業部で炊飯ジャーや自動調理なべの商品企画を担当

開発を担当した第一事業部 サブマネージャーの倉拓海さんは、試作品を作っていく中で、あることに気が付いたという。

第一事業部 サブマネージャー 倉拓海さん。2005年に入社し、炊飯ジャーの要素技術開発を10年以上担当

「中心部分の熱が弱かったところをコイルで補おうとしたのですが、それではうまくいかないことがわかりました。いろいろテストして、縦対流を生むコイルと横対流を生むコイルの2種類を搭載し、加熱する場所を非対称にすることを思いつきました。そこがブレイクスルーに繋がりましたね(サブマネージャー・倉拓海氏)」

今まで同じコイルを6つ作って並べていたが、2種類のコイルを3つずつ搭載してみた。すると、画像解析などの試験結果では、より複雑な対流を生み出すことができ、甘みは3%もアップしたという。

そもそも対流が起きることによって、どうしてごはんが美味しくなるのだろうか。

「対流することで、お米の表面からでんぷんの粒が飛び出し、水中に浮遊します。そのでんぷんは、水と熱に触れる機会が増え、より甘み成分に変化しやすくなります。その甘み成分は、最終的にお米の表面にコーティングされるような状態になるわけです。ですから、お米が本来持つおいしさを引き出すには、対流させることが大事なんです。」

つやつやのごはん。蓋を開けるとふわっとごはんの香りが漂う

さらに試作品の段階でごはんがおいしく炊ける最適な温度などを探すため、1日に何十回ものごはんの試食を繰り返したそう。「炎舞炊き」だけでも、費やした米の量は5トン以上。入社以来29年、炊飯ジャーの開発一筋の第一事業部 副部長・宇都宮定さんは「ひとつの炊飯ジャーでも、1合、2合、3合……とテストしていますので、試食する量は膨大な量になります。「炎舞炊き」はやはり甘さと粘りが強く、特別な美味しさですね」と語る。食味テストをできる10名以上の社員と共に、日々試食を行っているという。

第一事業部 副部長 宇都宮定さん(一番左)。意見を言い合いながら、ごはんの味をチェックする

新モデルで炊いたごはんを試食させていただいたが、一粒が大きく、表面がつややかだ。もっちりしていてとにかく甘い。毎日の食事が楽しみになりそうな、インパクトのある美味しさだった。

使い勝手も進化し、デザインもスタイリッシュに

なお、新しい6つのコイルの形状と配置がより美味しいごはんを炊くための核となっているのはもちろん、新モデルでは新機能も搭載され、より使いやすくなっている

難しいことを考えずとも、アンケートに答えるだけで好みの食感に仕上がる「わが家炊き」は、とてもわかりやすい。ご飯の感想を、「かたさ」「粘り」の項目から選び、次から食感を調整してくれるので直感的だ。同機能は前回と同じく最大121通りの炊き方から調整されるが、炊き分けできる幅が新モデルでは広がっている。そのため、以前よりもハッキリと食感の違いがわかるようになったとのことだ。

また、「炊き分けセレクト」も新たに追加された。例えば「今日はカレーなので、かための仕上がりにしたい」といった場合、「かたさ」と「粘り」からセレクトできる。15通りの中から、自分好みにダイレクトで選択できる機能が加わった。料理やその日の気分で炊き分けられるようになっているのでとても便利だ。

料理に合わせて炊き上がりを変えたいときは、「炊き分けセレクト」が便利

さらに、新モデルから操作部がタッチパネルに変更された。直感的に使うことができ、見やすくなっている。

タッチパネルはコントラストがハッキリしているので視認性がよく、簡単に操作できる
ハンドルがなくなり、表面のお手入れもしやすくなっている

工場で一つ一つ丁寧に手作業で組み立てられる、特別な炊飯ジャー

実際に工場内で「炎舞炊き」を製造しているラインを見学した。家電の工場は機械化が進み、人をほとんど見かけないところもあるが、象印の「炎舞炊き」ラインは、50メートルほどの長さのラインに作業員がずらりと並んでいたので驚いた。

ラインにはたくさんの人が。一つ一つの作業を丁寧に行っている

製造ラインは、プロフェッショナルな知識と技術を兼ね備えた従業員を認定する「生産マイスター制度」を導入している。品質や指導、生産性に精通し、試験により認定された「工程マイスター」「完成品マイスター」が担当する。工程マイスターは細分化されており、「ビス締め付け工程マイスター」「外胴取り付け工程マイスター」などさまざまだ。

象印ファクトリー・ジャパン 取締役 大阪工場長 長谷川満さんは「非常に複雑で特別な技術が必要とされます。コンパクトな本体に、部品や配線を作りこんでいますので、自動化がしにくく、人の手で行う必要あるんです。品質検査の工程などにも細心の注意を払っており、エントリーモデルと比較するとかなりコストがかかっています」と説明した。

本体が小さいので、6つもコイルを配置するのは大変だ。確認しながら配線していく
全ての工程で厳しくチェックされ、次の工程に進む

工程ごとにチェックできる装置があり、そこで確認しながら次の工程に渡すため、最終の完成段階のテストで不合格になる製品はほとんどないという。想像以上に手間暇をかけて1台を大切に作り上げている印象だ。

コストをかけて丁寧に作られた炊飯ジャーは、決して「高額」ではない

「炎舞炊き」(NW-FA型)は、他にはない複雑な構造となっており、一つ一つ丁寧に作られている。かまどからヒントを得た対流を科学的に分析し、お米がもつポテンシャルを最大限まで引き出せる炊飯器だ。お米は同じ銘柄でも季節や産地によって品質が変わってしまうが、どんなお米も美味しく炊けるのが「炎舞炊き」の強みだ。

実勢価格は約14万円とのことだが、毎日こんなに美味しいごはんを食べられるのであれば、決して高い価格ではないだろう。とびきり甘くてモチモチしたごはんが食べられる幸せを、ぜひ「炎舞炊き」(NW-FA型)で堪能してほしい。

「象印銀白弁当」新大阪駅

「象印食堂」や「象印銀白弁当」といった、「炎舞炊き」で炊き上げたごはんを実食できる店舗もあるので、気になる方はそちらでの実食もおすすめしたい。こちらは新大阪駅にある「象印銀白弁当」。ごはんは「炎舞炊き」で炊いている。

お弁当を買って新幹線で食べた。移動している間に冷めてしまったごはんでも、みずみずしく甘い。
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家電プロレビュアー
石井和美

家電をレビューするため「家電ラボ」を開設、小物家電から冷蔵庫や洗濯機などの大型家電のテストも行っている。製品レビューや家電についての解説はWEB、雑誌、ラジオ、テレビなどで発信している。ライター、家電コメンテーター、家電コンサルタント。
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