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Interview

鈴木健吾選手インタビュー

男子マラソン日本記録保持者が目指すもの

author: 神津文人date: 2022/04/09

 
3月6日に開催された東京マラソンで、自身のセカンドベストとなる2時間5分28秒をマーク。日本人トップの4位となった鈴木健吾選手。出場が決定した7月の世界選手権、そして2024年のパリ五輪へ向けての気持ちをオンライン会見で語ってくれた。

重圧に悩まされた1年間

2021年2月のびわ湖毎日マラソンで、2時間4分56秒の日本新記録で優勝。35~40kmを14分39秒というハイペースで走り切り、日本人初の4分台突入を実現したこともあり、一躍時の人となった鈴木健吾選手。そこから東京マラソンまでの約1年間は、重圧に悩まされていたという。

鈴木健吾(すずきけんご)。1995年6月11日生まれ。愛媛県宇和島市出身。現マラソン日本記録保持者。

「自分自身に対して、もっともっとというプレッシャーをかけていた部分もありますし、周りからの期待も感じて、それが知らず知らずのうちに重圧になっていて、苦しいなという気持ちになっていることが多かった1年でした。注目されるのはありがたいことなのですが、自分としては挑戦者の立場でいたくても、日本記録保持者として見られる、追われる立場として見られるのは少し苦しかったなと」

それでも今回の東京マラソンには、チャレンジャーとして挑むことができた。

「周りのトレーナーやスタッフ、もちろん妻(一山麻緒選手)もそうですけど、たくさんの支えがあって、気持ちをリセットじゃないですけど、チャレンジャーとして東京マラソンに臨むことができたのが、結果に繋がったのではないかと思います」

第2集団に付いてレースを展開していた鈴木健吾選手。25km過ぎに集団から抜け出し、そこからフィニッシュまではほぼ単独走で押し通して4位に。2時間5分28秒は、自身が持つ日本記録に次ぐ、日本歴代2位となる好タイムだ。しかし、コンディションは万全ではなかったのだそう。

「ニューイヤー駅伝(1月1日)までは、距離は増やしつつも駅伝向けの練習で。その後、あまり状態が上がらず、上手くマラソン練習に入れませんでした。1月中旬に状態が少し戻ってきて走り込むことができたのですが、2月に入ってからは膝が気になる状態が続いて、1週間ほど走れない時期もありました」

調子が良くなく、練習不足を感じていたからこそ、早い段階で仕掛けて勝機を見出そうとした。

「十分な練習ができていなかったこともあり、後半のラスト勝負になるとしんどいのではないかと感じていたので、早い段階で勝負を仕掛けようと思っていました。前半は自分でも少し落ち着きがないなと感じる走りでしたが、25km以降、1人になってからは自分のリズム、自分のペースを刻めたのでそこは良かったのではないかと思います。ただ、練習不足だったので後ろから追いつかれたらどうしようという緊張感はずっとありました」

世界選手権代表入りという目標を優先し、巧みな仕掛けで結果に繋げたものの、世界のトップ選手との差を感じたレースでもあった。

「優勝タイムとは3分の差(エリウド・キプチョゲ選手が2時間2分40秒で優勝)がありますし、自己ベストも世界記録(2時間1分39秒/エリウド・キプチョゲ選手)と比べると3分以上の差があります。その差はすぐに埋まるものではありませんが、マラソンは毎日の積み重ねの先に結果がついてくるものだと思うので、自分が今できるギリギリのトレーニングをコツコツと積み上げて、世界のトップレベルとの差を縮められたらと思っています」

「五輪に出たい、五輪で勝負したい」

7月にはアメリカ・オレゴンで開催される世界選手権への出場も決定している。目標としていた世界大会では、積極的な走りをしたいという。

「世界選手権では順位が大事だと思うので、東京マラソンでは前で勝負することができませんでしたが、世界選手権に選ばれたら、前で勝負する積極的な走りをしたいですね」

今夏の東京五輪を観て、パリ五輪への思いも強くなった。

「五輪に出たい、五輪で勝負したいというという気持ちが湧いてきました。代表権を掴み取って、メダル争いができるように、強さと速さを磨いていきたいですね」

強い選手になるために積み重ねていることのひとつがウエイトトレーニング。

「日本記録を出す前年(2020年)のびわ湖毎日マラソン(2時間10分37秒で12位)が終わった後、何かを変えないとマラソンで勝負していけないと思い、トレーナーに協力してもらってウエイトトレーニングを始めました。お尻や太もも、肩など全体的な筋力強化をしています。自分の中ではまだまだものにできていない感覚もあるのですが、変化は感じていますし、鍛えることでケガが減るのかなとも思うので、続けていきたいと思っています」

シューズを最大限活かすには筋力が必要

現在、鈴木健吾選手がレース時に選んでいるのは「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」。それを使いこなすためにも、体幹を含めたトレーニングが重要だと考えている。

「アルファフライはとても反発性が高く、自分の走りにフィットしているなと感じています。反発がもらえる分、コントロールすることが大切で、シューズを最大限活かすには筋力が必要かなとも思います」

鈴木健吾選手は「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」をレースシューズに選んでいる

世界で戦える強い選手。それが鈴木健吾選手の目標だ。

「自分が理想とするのは速いよりも強い、負けない選手。状態が悪いときでもレースをまとめられて勝負で負けない選手が、強い選手かなと思っています。レースの目標としてはタイムよりも順位、他の選手との勝負を意識するタイプではあるのですが、世界で戦っていくためには4分台、3分台というのを日本全体で目標にしていくべきだろうと思っています。タイムも少しずつ縮めていきたいなとも思いますし、海外のレースで経験を積んでいけたらとも思っています」

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ライター・編集者
神津文人

雑誌編集者を経てフリーランスに。「Tarzan」などのヘルス&フィットネス系メディアや、スポーツの領域で活動中。「青トレ」(原晋/中野ジェームズ修一著)、「医師も薦める子どもの運動」「医師に運動しなさいと言われたら最初に読む本」「60歳からは脚を鍛えなさい」(中野ジェームズ修一著)、「100歳まで動ける体」(ニコラス・ペタス著)、「肺炎にならない!のどを強くする方法」(稲川利光著)、「疲れない体になるライザップトレーニング」(RIZAP)などの書籍の構成も手掛けている。趣味は柔術、ときどきランニング。
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