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発売わずかで即完売、いまだ品薄の人気モデルをレビュー

“最高の手軽さ”と“圧倒的な立体サウンド”を両立させた「HT-A9」でドルビーアトモスを楽しめ!!

author: 山下 達也date: 2021/11/24

この9月に発売されるやいなや、長らく品薄状態が続いているというソニーのホームシアターシステム「HT-A9」。わずか4基のワイヤレススピーカーで本格的なドルビーアトモス環境を構築できるという触れ込みの製品なのですが、その実力やいかに?

賃貸住まいでも今すぐドルビーアトモス生活が始められる

シネコンを中心とした対応映画館の充実や、大作映画を中心とした対応タイトルの急増などによって、今や一般の映画ファンにもその名を知られるようになった「ドルビーアトモス」。水平方向の音の広がりしか表現できなかった従来のサラウンド技術と異なり、垂直方向にも音を配置することが可能で、これまで以上に立体的なサウンドを楽しめるようになりました。それも単に上から音が聞こえてくるような単純なものではなく(←重要)、まるで映像の中に入り込んだかのような、音に包み込まれるような没入感を味わえるのがポイントです。

そして昨今、このドルビーアトモスを自宅でも楽しめるようにする製品が多数登場しているのですが、きちんとした効果を得るためには以下のようなハードルがありました。

  • 充分な効果を得るためには前方に3基、後方に2基、上方(天井)に2~4基。計7~9基のスピーカーを設置しなければならない(サブウーファーもあればなお良し)。
  • それらのスピーカーの置き場を確保し、ケーブルを這わせなければならない。
  • それぞれのスピーカーは左右対称に配置されていることが好ましい。特に高さは揃える必要がある。
  • ドルビーアトモス対応のAVアンプを購入する必要がある(安価なものでも5万円前後~)。

といった具合です。ハ、ハードル高ぇ……。ぶっちゃけ、よほどのマニアでもない限り、そこまでしてって感じですよね。

こうした、ドルビーアトモス環境構築の高いハードルを一気に下げてくれるのが、今回紹介するソニーのドルビーアトモス対応ホームシアターシステム「HT-A9」。部屋の四隅にスピーカーを置くだけで、そこを映画館級の立体音響空間にしてくれるというものです。

本当にそんなにお手軽にドルビーアトモス環境が構築できるの? できますよ、というのが今回のレビューとなります。

感動レベルのセットアップの簡単さ

まずは多くのご家庭で問題になる設置性について見ていきましょう。通常のホームシアターシステムでドルビーアトモスに対応するためには前述したよう7~9つのスピーカーを配置しなければなりません。特にハードル高めなのが天井に配置する2~4つの「トップスピーカー」。ベストなやり方は天井に穴を開けてスピーカーを固定するやり方なのですが、賃貸住まいでは絶対にムリですよね。

そういう人たち向けに用意されているのが天井に音を反射させることでトップスピーカーの効果を生み出す「イネーブルドスピーカー」です。私も賃貸住まいなので、この方法でドルビーアトモス環境を構築しています(写真下)。この技術、出てきた当初は効果が微妙だったのですが、最近の製品(スピーカー、AVアンプ)は効果が高く出るようになっておりおすすめです。思った以上に効果あります。

そして、「HT-A9」ではこのイネーブルドスピーカーを4基のスピーカーすべてに内蔵。4基のスピーカーに見えて、実態は8基のスピーカーなんですね。

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というわけで、「HT-A9」は4か所だけにスピーカーを置くだけでよく、天井に穴を開ける必要もありません。また、それぞれのスピーカーは完全ワイヤレス仕様なのでスピーカーケーブルを這わせる必要もなし。ただし、それぞれのスピーカーは電源コンセントに繋ぐ必要があります。

電源ケーブルは一般的なメガネケーブル。ケーブルの付け根がみっともなく飛び出ないよう、配置が工夫されています。
各スピーカーの背面には壁掛け用のネジ穴も隠されているので、壁に穴を開けてもいいという人ならさらにスマートに設置できます。

あとはテレビの側に各スピーカーを制御するメインユニットを繋げてあげればOK。この小さなユニットにAVアンプとしての機能も含まれているので、本当にこれ以外なにも繋ぐ必要はありません。

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物理的な接続が終わった後にテレビを付けて「HT-A9」を起動すると初回セットアップが走ります。ここで行われる「音場最適化」というプロセスも「HT-A9」の注目ポイント。これは、各スピーカーが発信した特殊な音を残りの3基が内蔵マイクで集音し、その音のわずかなズレなどによって4基のスピーカーの配置を正確に把握するというもの。これによって、ドルビーアトモスの立体音響を高いクオリティで再現できるようになります。

そしてこれによって、スピーカーの配置が左右対称でなくても、きちんとした品質の音を奏でられるように調整してくれるのが◎。セットアップ画面(写真上)を見てもらえると分かりやすいのですが、これっくらいズレズレでもまったく問題なし。テレビの左右はともかく、後ろのスピーカーの置き場を確保するって難しいんですが、「HT-A9」ならその辺りを本体の機能で吸収してくれるわけです。これはうれしい! すばらしい!

以上、これだけでセットアップは完了です。

これなら我が家でも何とか……って思えません?

たった4基のスピーカーで“リアル”な立体音響を再現

セットアップが簡単なのは分かったけど、実際の音がダメダメだと意味がありませんよね。もちろんその点もまったく心配ありません。

最近のテレビやサウンドバーには、最先端の信号処理技術を駆使して疑似的にドルビーアトモス対応している製品があり、実際、きちんとした条件下ではそこそこ良い感じに聞こえるのですが、こういった製品は基本的に人間の耳の特性、錯覚を利用して音を立体的に感じさせているため、ちゃんと聞こえるエリア=スイートスポットがテレビの真正面、1人分くらいの空間しかなく、そこを外れると急に効果がなくなってしまいます。

その点、「HT-A9」は違います。この製品では4基(実質的には8基)のスピーカーから出る音の波面をコントロール・合成して、最大12基のスピーカーが生み出す波面を物理的に再現するという試み(360 Spatial Sound Mapping)を行っているため、エリア内のどこにいても立体的なサウンドを楽しめるのです。これ、家族みんなで最高の音質を楽しみたいという人には最高の仕組みだと思いませんか?

そして気になる音質もかなりのもの。音がビュンビュン飛び回るようなSF作品から、空気感重視のアート作品までしっかりとした立体音響効果を楽しめます。今回、記事を執筆するに際して、いろいろなコンテンツを試してみたのですが、特に効果的だったのが喧噪に囲まれているようなシーン。『ボヘミアン・ラプソディ』(UHDBD版にドルビーアトモス音声を収録)のラストライブのシーンなどは、実際に自分がフレディ・マーキュリーと同じステージに立っているかのような臨場感を味わえました。

また、ライブではない日常のシーンでも周囲で鳴っている細かな音がしっかりとしたリアリティを持って感じられ、空間を立体的に把握できるようになります。これは本作の音作りの丁寧さの手柄ではあるのですが、それをしっかり再現できるのは「HT-A9」の良質なサウンドのおかげと言えるでしょう。

そのほか、アニメでは『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』がBD版にもドルビーアトモス音声を収録するなど力を入れているのですが、こちらもMSから逃げ惑うシーン、終盤のMS戦シーンなどで強い効果を感じ取れました。なお、個人的おすすめはヒロイン・ギギ(CV:上田麗奈)が耳元で囁いてくるシーン。ヘッドホンでASMR的に聴くのとはまたちょっと異なるゾクゾク感があるので、ぜひ一度お試しいただきたいですね(笑)。

ただし、あまり褒めっぱなしだとウソくさくなるので、ちょっとだけ気になった部分も記しておくと、低音の表現は少しパワー不足に感じることがありました。ただ、これも別売のサブウーファー(もちろんワイヤレス)を導入することで解決できます。ズドンズドンくるサウンドが欲しいという人にはこちらを同時購入することをおすすめします。

すべての映画ファン、音楽ファン、そしてスポーツファンにおすすめ

箱を空けてから10~20分程度で設置でき、部屋の形を問わず、壁に穴を開けることもない設置性の高さと、フルセットのスピーカーを配置したかのような、立体音響ならではの臨場感あるサウンドを楽しめる「HT-A9」。仕事柄、いろいろなホームシアターシステムを試す機会があるのですが、お世辞抜きにここ数年でトップクラスのヒット製品だと感じました。

実際、20万円+税と、そこそこ良いお値段がするのですが、発売後から現在まで店頭在庫はほぼ払底。11月初旬時点では12月以降の納品とアナウンスされています。

また、ドルビーアトモス対応コンテンツも急激に増えています。特に最近のビッグニュースは「ディズニープラス」がついに4K&ドルビーアトモス対応したこと。そのほか「Netflix」や「Amazonプライムビデオ」などもドルビーアトモス対応しているので、買ったはいいけど見たい(聴きたい)作品がない、なんてことはなさそうです。映画のほか、音楽ライブなどもドルビーアトモス対応が進んでいます。

もちろんドルビーアトモスではない、通常のステレオ音声から、サラウンド音声の映画、テレビ番組なども内蔵の機能で立体音響化してくれます。個人的におすすめがスポーツ中継です。スタジアムの歓声、響き、うなりが立体音響の力でよりリアルに感じられるようになるので、映画好き、音楽好きはもちろん、スポーツファンにもお勧めしたいですね。

製品貸与:ソニー

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デジタルグッズライター
山下 達也

ジアスワークス有限会社所属。「デジタル」が世の中に浸透し始めた90年代後半から、さまざまな情報誌・オンラインメディアで、PC、カメラ、スマートフォン、AV機器など、幅広いデジタル機器を紹介してきた。近年はサブカルチャーやテクノロジーなどの分野でも活動中。合理性、機能性だけでは説明できない“トキメキ”のあるガジェットをこよなく愛する。
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