近年、ロボット掃除機は吸引清掃だけでなく、「水拭き掃除」機能を備えた多機能モデルが主流になりつつある。フローリングやクッションフロアの皮脂汚れ、食べこぼした場所など、従来の吸引では落としきれなかった汚れにも対応できるため、床掃除もラクになる。今回では、注目のロボット掃除機を実際に使用し、水拭き機能を含めた実力を比較。日常使いに適した一台を見つけてほしい。
テストした項目は「吸引(10点)」「水拭き(10点満点)」「障害物の回避性能(10点)」「使いやすさ(10点)」「お手入れのしやすさ(5点)」「アプリの使いやすさ(5点)」の合計50点満点。ゴミは疑似ゴミとして微細な砂、ペットのトイレ砂を用意した。

アイロボット「Roomba Plus 505 Combo ロボット + AutoWash 充電ステーション」の特徴


ルンバ初の「DualClean モップパッド」を搭載。2つの大判円形モップパッドが回転し、水拭き掃除を行う。また、壁際の水拭き時にパッドが伸縮する「PerfectEdge」技術を搭載し、壁際まで水拭きできる。さらに、新たに搭載された「ClearView LiDAR」は、家中の間取りを素早くマッピング。暗い場所でも、障害物を避けながら*2無駄のない動きで、精度の高い清掃を実現している。
充電ステーションはパッド洗浄から温風乾燥、セルフクリーニングサイクルや自動給水、自動ゴミ収集までこなす。最大約75日分のゴミを0.7マイクロンまでの粒子を捕捉する紙パックに排出・収納できるので、こまめに捨てる必要がない。
Point ①「吸引」


端は少し残ってしまっているものの、他社と比較してもゴミの吸引は優秀。広い場所でのゴミも正確に移動しながら吸引していたが、薄く周辺に広がっている部分があり、ザラつきが残った。
Point ②「水拭き」

通常モードで吸引したところ、筋状に液体が残ってしまった。ルンバには「スマートスクラブ」機能が搭載されており、念入りに拭き取ってくれるので、ひどい汚れの場合はそちらのモードがおすすめ。せっかくなら、自動で判別して切り換え、拭き取ってほしい。
Point ③「障害物の回避性能」

コードやスリッパなどを置いておいたが、巻き込むこともなく、正確に避ける。今回試した中でも、トップクラスで優秀だった。壁際も隙間が開くことはなく、モップがキワまでまっすぐに掃除できていた。
Point ④「使いやすさ」

外から残量がわかるタンクで、すぐに取り出せるのは便利だ。ただ、フタの部分は他社と比較すると開閉がかたい。フタに取っ手があるため仕方ないのかもしれないが、もう少しツメなどを工夫してほしい。
Point ⑤「お手入れのしやすさ」

充電ステーションの奥側、モップを洗浄する部分の下が外せない。大きなゴミを吸引させないためのメッシュは取り外せるが、充電ステーションの下側をしっかり洗いたいときに、外せないのは少々気になった。
Point ⑥「アプリの使いやすさ」
Roomba Homeアプリで使用する。そのため、旧iRobot Home(Classic)は使用できない。新アプリは、よく使う「清掃する」ボタンがトップページになく、旧アプリのほうがシンプルで使いやすい印象だった。
コードも避け、ぶつからず、しっかり掃除してくれる
吸引テストでは、キワまでしっかりとゴミを吸い取っていた。一方で、広い面積を清掃する際には、ゴミをやや外側に伸ばしてしまう場面もあった。しかし、大きめのゴミに対しては弾き飛ばすことも少なく、全体としては良好な吸引性能といえる。
「賢さ」の面でも評価は高い。長年の開発実績があるだけに、障害物の回避能力は非常に優秀だ。細いコード類を巻き込むこともなく、留守中でも安心して掃除を任せることができるのは大きな強みである。
ただし、これだけの賢さを備えているのであれば、床の汚れ具合を判断して、自動的に「スマートスクラブ」に切り替えてほしいと感じた。「スマートスクラブ」は、他社製品には見られない前後の動きで、床をしっかりと拭き取ってくれる独自機能である。現状では、使用するにはアプリ上で事前にONにする必要がある。
日々使う中で気になった点もある。たとえば、水タンクの開閉が固く、頻繁に扱うには少し不便に感じた。また、充電ステーションの奥まった部分は掃除がしづらく、こまめなメンテナンスを行うには工夫が必要だ。一度、詰まって汚水が溜まったことがあり、その際の掃除に苦労した。
今回のモデルでは、ルンバとして初めて2つのモップパッドを採用している。この新たなチャレンジが、今後どのような進化につながるのか。さらなる改良に期待したいところだ。
SPEC
外形寸法:本体:351×106mm(本体)
ステーション:450×344×470mm(ドック)
実勢価格:12万8400円
製品貸与:アイロボット
Author:石井和美