「洋服は印刷対象なんです」 旅して、登って、雪山を撮るグラフィックデザイナー・上西祐理が手がけたDESCENTE ALLTERRAINカプセルコレクション

「洋服は印刷対象なんです」 旅して、登って、雪山を撮るグラフィックデザイナー・上西祐理が手がけたDESCENTE ALLTERRAINカプセルコレクション

DESCENTE ALLTERRAIN(デサントオルテライン)が上西祐理(ウエニシユリ)氏とのカプセルコレクションを発表した。

上西氏は、JAGDA新人賞やカンヌライオン金賞受賞にはじまり、インパクトのあるポスターやビジュアル制作で注目されるグラフィックデザイナー。

氏にとっては初めてのアパレルブランドとの協業。DECENTE BLANC代官山店にしつらえられたインスタレーション空間で、グラフィックをファッションへ繋げる想いを聞いた。


上西祐理
1987年生まれ。東京都出身。アートディレクター/グラフィックデザイナー。2010年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業、広告代理店を経て、2021年独立、北極設立。ポスター、ロゴなど単体の仕事から、ブランディングやキャンペーン、映像、空間、本、雑誌など仕事は多岐にわたる。2024年には自身初の個展、「上西祐理 Now Printing」をginza graphic galleryにて展示。主な受賞歴:東京ADC賞、JAGDA新人賞、JAGDA賞、CANNES LIONS金賞、NYADC金賞、D&AD Yellow Pencilta など。趣味は旅と雪山登山。旅は現在46カ国達成。

https://hokkyoku.ltd/
https://www.instagram.com/uenishi_yuri/

「今年の夏はカナダへ行きます。ロッキー山脈の中にバンフという国立公園があって。初・カナダなんです」

旅と雪山登山が趣味の上西さんは仕事の合間を縫い、知らない世界を見に行く。興味が赴くまま歩き、登る生活を続けていたらすでに46カ国を制覇していた。そこで撮り溜めた膨大な写真をもとに、2024年には個展『Now Printing』を開催している。

旅は元から好きだが、雪山登山にどっぷりはまるまでにはグラデーションがあった。

「広告代理店時代は仕事で疲れすぎていて、パリやミラノなど都市に旅行しても東京と似たような感じでリフレッシュできなかったんです。だんだん郊外へ行くようになり、やっぱり自然がいいなと思って、そこから山へ」


雪山登山が趣味と伺っていたので肉体派な感じ……を想像していたが、そんなこともなく、取材当日はセリーヌのパンプスを履いたエレガントなロングスカート姿。フィービー・ファイロ時代のデザイン哲学が滲み出ているセリーヌが大好きだそう。

洋服は普段どんなデザインを? と問うと、シルエット、カッティングの綺麗さに重視しているとのことで、「襟周りがすごくきれいで」という理由でリーズナブルなTシャツを愛用してもいるそうだ。

「今回のコラボレーションで真っ先につくりたいと思ったのは開襟シャツ。この時期、羽織れるしいいじゃないですか。オルテラインのご担当者もグラフィックを全面に施した、いわゆる柄シャツを作りたいという希望でした」

趣味の登山や旅行先で撮り溜めた写真を用いたプリントは、イラレ上で作成しているグラフィックよりも生っぽく、そこに水や木々があるかのような仕上がりになっている。

広告の中でもメディアとしてのポスターを重点的に制作してきた上西さんにとって、アパレルアイテムの創作における感覚や方法の違いはあるのかと問うと、「生地感やコーディネートのしやすさを考えると、洋服は色の出方が想像通りでなくてもちょっと許せる状態になる」と言う。

ただ、柄の見え方には細部までこだわりぬいた。何枚かのパネルを縫い合わせて構成されるキャップは、型紙を作成し何度も試行錯誤した末に、ようやくイメージに近い柄合わせになったという。

「私はグラフィックデザイナーなので、洋服は印刷対象として見ているところがある。次につくるとしたら柄もののダウンでしょうか」

グラフィック、そして印刷を追求する上西さんならではの見方だ。

その点も含めて、今回のコレクション発表のために作成したインスタレーションについて話してくれた。

「先日、仕事で山口県に行く機会があり、調べていたら秋吉台という場所に鍾乳洞があることがわかって。中に入ると硫黄成分が滲み出たイエローや、グリーンが広がっていてすごく綺麗だった。それをもとに新作のポスターを作ったのがこちらです」

DECENTE BLANC代官山店に並んだ上西さんのカプセルコレクションとは別に、奥には新作のポスターが敷き詰められていた。秋吉台の旅に触発され、福島の阿武隈など数ヶ所の鍾乳洞へ旅しに行き、撮影した風景がポスターとなってラグを敷き詰めたように床一面に並ぶ。

「オルテラインのカプセルコレクションは2024年の個展の写真が元になっているので、何か新しい作品を作らなきゃと思って」

そんな真面目な発言の一方、空間づくり対してはちょっと違った視点を取り入れた。

「前回の個展を機に、平面から立体の領域制作への意識も広がりました。今回は遊びがある空間を作りたくて、塩ビ管やポリウレタンなどをホームセンターでかき集めて、せっかくだから見たことのない空間を作りたい」と、素材探しから奔走して空間を仕上げた。

「アトリエで小さくシミュレーションをしてみるんですけど、その上を猫が踏み荒らしていくという……(笑)」

凛とした雰囲気にチャーミングさが光るグラフィックデザイナー・上西祐理。広告からさまざまなジャンルを横断しアパレルの展開も加わったいま、次の展開に期待が膨らむ。


DESCENTE ALLTERRAIN GRAPHIC CAPSULE COLLECTION BY YURI UENISHIhttps://allterrain.descente.com/story/dal_yuriuenishi/

はっ水機能を備えるナイロンワッシャー素材のオープンカラーシャツと、吸水速乾性やUV遮蔽性など高機能素材を用いたシームレスTシャツが各3種ずつラインナップされているほか、ショーツやサコッシュ、ジェットキャップといったアイテムも揃うコレクション。いずれのアイテムも、上⻄祐理⽒によるグラフィック作品がビジュアルモチーフとして効果的に落とし込まれている。

Text:嘉村真由美
Photo:吉嗣裕馬

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