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最上位グレードの“ネコ足”SUV

SUVの足回りはこうあるべき!プジョー「5008」

author: 増谷 茂樹date: 2021/06/08

今、世界的に人気を集めているSUVですが、日々走る舗装路での走行性能にフォーカスすると、必ずしも効率的なパッケージではないと感じてしまうこともあります。高い重心位置とストロークの長いサスペンションは、舗装路では動きすぎてしまう感覚を乗り手に与えてしまうことも少なくありません。最近は、そのフィーリングを嫌い、サスペンションを硬くして動きを抑えたモデルも増えていますが、それはそれで路面の細かい凹凸などを拾ってしまい乗り心地が低下することも。サスペンション本来のストロークを活かせないため、違和感が残るモデルも少なくありません。そんな中で、個人的に気に入っているのがフランス生まれのSUVです。

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フランス車の足回りは昔から「ネコ足」と呼ばれ、輸入車の中ではサスペンションを動かす方向の特性。ストロークさせながら、その動きをコントロールするようなセッティングがSUVの足回りと相性が良いように感じています。そんな中、プジョーの新型「5008」に試乗できることになりました。

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PEUGEOT
500
価格:460万円〜

「5008」はプジョーブランドのSUVとしては最上位に位置するモデルです。今回試乗したのは、その中でも上位グレードの「GT」で、パワートレインは2.0Lの「BlueHDi」と呼ばれるディーゼルターボ。177PSの最高出力と400Nmの最大トルクを発揮します。特に最大トルクは2000rpmという低い回転で発揮されるので、大きくアクセルを踏み込まずとも力強い加速が得られる。近年のヨーロッパ車で、高級車ほどディーゼルエンジンが搭載されているのは、この特性が理由です。

運転席に乗り込むと、眼の前にプジョー独自の世界が広がります。小径のステアリングと、その向こうに見えるメーターを基調とし、ドライバーを取り囲むように配置されたインターフェイスは「i-Cockpit」と呼ばれ、慣れると直感的なドライビングが可能です。

独立した7つのシートを装備しているのも、このモデルの特徴。ミニバン並みに大人数で出掛けることもできるます。2列目シートは150mmの前後スライドと5段階のリクライニングが可能なのに加えて、3つのシートを個別に収納することもできるので、多彩なシートアレンジに対応しています。

2列目シートの座り心地は快適で、「GT」グレードにはパノラミックサンルーフのオプションも設定されているので、開放感も味わえます。3列目シートは大人が座るとさすがに足元が狭く感じますが、コンパクトに収納してフラットなラゲッジスペースを作ることも可能。2列目シート、そして助手席まで前方に折りたたむことができるので、長さのある荷物もバッチリです。ラゲッジスペースの容量は3列目を折りたたんだ状態で約702L、2列目シートまでたためば約1862Lにまで拡張できます。

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実際にドライブしてみると、最上位モデルらしい上質さを感じます。エンジンをかけてもディーゼルエンジンでイメージされるノイズは全く車内には入って来ません。それでいて、少しアクセルを踏めば1690kgの車体をスムーズに加速させてくれるので、余裕を持ったドライブが可能。7人フル乗車、あるいは荷物を満載していても、これなら力不足を感じる場面はなさそうです。

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冒頭で触れた足回りについても、路面の細かな凹凸は軽くいなし、大きな荷重がかかる場面ではしっかりとストロークを使いながらダンピングが効いて動きが無駄な動きが抑制されているのが伝わってきます。足回りを固めたSUVのように路面からの振動をコツコツと拾ってしまうこともなければ、長いストロークによってロールしすぎてしまう場面もない、ちょうどいい感じ。SUVの足回りはこうあってほしいと感じる仕上がりです。

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個人的には「i-Cockpit」の操作フィーリングも気に入ったポイント。小径のステアリングはシビアな操作感をイメージするかもしれませんが、実際には低速域ではゆったり、スピードが乗ってくるとリニアに反応してくれるので、最小限の手の動きで大柄な車体を意のままにコントロールすることができます。どんな速度域のカーブでも一発でステアリングの舵角を決められるのが気持ちいい。加えて、この小径ステアリングのおかげで、メーターを上側から見ることになるため、遮るものがなく、視線移動も少ないので視認性に優れています。

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非常に上質な仕上がりながら、このクラスの輸入車SUVとしては抑えめな価格の「5008」。国産SUVのオーナーにも、十分に検討対象になりそうですが、一方で個性的なインターフェイスなど、フランス車に馴染みのない人には違和感につながる部分もあるかもしれません。その辺りをどう感じるのか、実際に国産SUVのオーナーにも乗ってもらうことにしました。

試乗してもらったのは、昨年マツダ「CX-8」を購入したという中西啓二さん。「5008」と同じく3列シート(こちらは6人乗り)でパワートレインもディーゼルターボと共通点も多いクルマだけに、オーナーさんにどう感じられるのか気になるところです。

「見た目は個性的ですけど考えぬかれた設計なのが伝わってきます」

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お子さんのお迎えの際に、友達を乗せたりなど6人乗りシートも活用しているという中西さん。ディーゼルエンジンのパワーフィーリングも気に入っているとのことですが、オーソドックスな作りの「CX-8」のコックピットから乗り換えて、まず目に止まったのは小径のステアリングでした。

「ここまで小さくて、しかも円形じゃないのでレーシングカーをイメージしますね。その割に走り出すと操作感は軽くて、フィーリングも自然なのに驚きました。メーターも見やすいですし、見た目は個性的ですけど考えぬかれた設計なのが伝わってきます」と、初めてのフランス車でも違和感なくドライブできたようです。

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そして、実際に運転してみて最も印象に残ったのは、やはり足回りのようでした。

「CX-8に比べると細かい路面の継ぎ目などを越えた際の当たりが柔らかいというかショックが少ないですね。その割にコーナーリングではしっかり踏ん張ってくれる。ロールはするのですが、抑制が効いているというか、サスペンションの動きがコントロールされている上質さを感じます」

シートアレンジについては、「3列目へのアクセスはウォークスルーになっているCX8のほうがいいですが、シートの座り心地は負けてるかも……。シートアレンジも多彩なので、使い方次第で用途が広がりそうですね」とのこと。

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国産SUVにはない個性を一番感じたのは外観デザインだったよう。

「牙のようなデザインのデイタイムライトなど、フロントフェイスはひと目でわかる個性がありますね。カラーやテールも国産車にはないものなので、駐車場に停めておいても自分のクルマをすぐに見つけられそう」との感想にはうなずかされます。

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国産車オーナーもうなる個性的なデザインと、上質な足回りを持つ新型「5008」。輸入車も含めてライバルの多いクラスではありますが、SUVの購入を検討している人には一度乗ってみてほしい完成度です。クルマ好きにフランス車を乗り継ぐ人が少なくない理由の一端が感じられるかもしれません。

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増谷 茂樹

クルマ、バイク、自転車などタイヤのついた乗り物を中心に取材・執筆を続けているライター。基本的に土の上で乗るのが好き。車中泊やバイクパッキングなど乗り物を使った遊びにも守備範囲を広げつつ、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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