MENU
search icon
media
Beyond magazineでは
ニュースレターを配信しています
検索
Tags
  1. TOP/
  2. ANNEX/
  3. 噂のGeviコーヒーメーカーを試してみた
ANNEX

素人でも極上の1杯が入れられる

噂のGeviコーヒーメーカーを試してみた

author: 田中真紀子date: 2022/05/17

コーヒー好きとして、非常に気になるコーヒーメーカーがある。アメリカの家電ブランド・Geviから登場した「Gevi 4-in-1 スマートコーヒーメーカー」だ。「おうちで簡単にバリスタのハンドドリップを再現」するとして、日本では4月18日(月)より、クラウドファンディングサービスMakuake(マクアケ)で先行販売を開始。すると、約2週間で目標の3000%に達するほど注目を集めているのだ。これはぜひ使ってみたい! ということで、さっそく借りて使ってみた。

マクアケプロジェクト

重厚感あるデザインの「Gevi 4-in-1 スマートコーヒーメーカー」。カラーは写真のブルーと、シルバーの2色を展開

近年はコーヒーメーカーの進化により、いまや手をかけなくても淹れたてのおいしいコーヒーが自宅で楽しめるようになった。こだわって選んだコーヒー豆と水をセットしたらボタンを押すだけで、コーヒー豆を自動で挽き、適温に沸かしたお湯でドリップしてくれる。

とはいえ「確かにおいしいけど、喫茶店のマスターが淹れる味には及ばない」と物足りなさを感じる人も少なからずいるだろう。そもそもコーヒーの味は、豆の種類や煎り方はもちろん、挽き方、挽き目、量、さらには抽出する湯温、抽出速度、蒸らし時間などによって、大きく変わってくる。それをコーヒー豆の状態や飲む人の好みにあわせて細かく変えながら淹れてくれるのがプロであり、ほぼ一律の条件で入れるコーヒーメーカーが敵わないところだろう。

その点、本製品にはバリスタのハンドドリップが再現できる技術が搭載されているという。どんなマシンなのか、さっそくチェックしていこう。

キャプ:本体は7.65kgと重量もあり、業務用のような本格感を感じさせる

4-in-1とは、1台に「デジタルスケール機能」、「グラインダー」、「水温制御システム」「自動抽出機能」の4つの機能を備えているということだが、このマシンのすごさはそこだけではない。業務用レベルのグラインダーとドリップ機能を備え、数値をきめ細かく設定できるところだ。

・グラインダーの挽き目……0〜50の51段階
・豆・粉の量……0.1g単位
・コーヒー豆と水の比率……1:1〜1:32の間で小数点単位
・湯温……80?99℃の1℃単位(ケトルモードの場合40〜99℃)
・注湯スピード……3〜9ml /s(秒)の1m単位
・注ぎ口回転速度……低速(約30秒/回転)〜最速(約15秒回転)の4段階
・注湯量・一時停止時間……抽出目安時間内で任意 など

つまりバリスタは、豆の状態や淹れたい味に合わせて、その都度これらの数字を細かく変えているということになる。これが素人とプロの壁の違いか。逆にいうと、これだけ細かく設定できると言われても、素人には何が正解かわからない(笑)。

そこでまずは、すでにコーヒーメーカーに設定された抽出内容でコーヒーが淹れられる「簡単レシピ」で入れてみよう。

モードは「簡単レシピ」「マイレシピモード」「バリスタモード」の3種類から選べる

初心者はまず「簡単レシピ」から始め、慣れてきたら、好みの抽出内容を設定できる「マイレシピモード」、さらに抽出しながら抽出内容をカスタマイズできる「バリスタモード」を楽しむと良さそうだ。

簡単操作で確実においしい「簡単レシピ」

本製品の先進的かつ親切なところは、カラータッチパネルに手順が表示されるため、それに従って準備すればいいところ。「簡単レシピ」を選ぶと、まずはお湯を予熱する準備に入るというので、ケトル部分にMAX線まで水を入れた。お湯を沸かしている間に次の設定を行う。

・使用するコーヒーの種類(豆またはパウダー)=豆
・入れたいカップ数(1-4杯)=1杯
・濃さ(マイルド・ミディアム・ストロング)=ミディアム
・挽き目(20-30)=25

簡単レシピの場合、挽き目は20?30の間で選ぶことになっているため、とりあえず、真ん中の25に決めてダイヤルを合わせた。

ダイヤルで設定したら、その数字をタッチパネル上でも入力する

次にコーヒー豆をホッパーに入れる。簡単レシピの場合、入力した杯数分だけ自動で挽いてくれるため、適当にザッと多めに入れておけばいい(最低必要量は表示される)。あとはカラフェにフィルター(ステンレスまたはペーパー用)をセットしてグラインダーの下に置き、スタートボタンを押すと、ゴリゴリと深みのある音とともに粉砕された豆がドリッパーに降り注いだ。ああ?、いい香り!

続いて、このカラフェをケトル側に移動し、スタートボタンを押すとドリップが始まるのだが、このドリップがまたすごい。3つの穴からお湯を注ぎつつ、ゆっくり回転するのだ。しかも途中、一時的に注湯が止まる蒸らし時間もあり、まさにバリスタのドリップを再現しているよう。このシャワーを眺めつつ、コーヒーのアロマが漂ってくると、もうそれだけで癒されてしまう。

そして肝心の味は、本っ当においしい! 深みとコクがあり、高い香りが喉の奥からも鼻へと抜けていくようだ。そのおいしさは筆者が経験したコーヒーメーカーの中でもトップクラスで、まさに老舗喫茶店でベテランマスターに淹れてもらったような味だ。

コーヒーのおいしさを最大限に引き出したようなおいしさ!

ちなみに抽出中は、今どの工程を行っているのか、タッチパネルでもリアルタイムに確認できる。チェックすると、湯温は95℃、湯量は160mlで、抽出(濃い青)と一時停止(薄い青)を繰り返しながら、約80秒かけて抽出したようだ。

プロのテクニックを可視化したようなグラフは参考になる

自分の味を見つけたいなら「マイレシピモード」

続いてはマイレシピモードで入れてみたが、やはり最初は難しかった。そもそも「おいしいコーヒーを入れる条件」を知らないため、どの数値に設定したらいいかわからないからだ。それでも自分なりに考え、研究しながらいれてみた。

マイレシピモードでは、コーヒー豆(または粉)を計量するところから始まる。「コーヒーを○ml入れたいから、コーヒー豆は◯g」ではなく、「コーヒー豆は◯gで、抽出率は1:◯だから、◯ml入れられる」という計算になるらしい。先ほど1杯分が10gだったから、まずは10を目安にしてみよう。

ここで活躍するのが、はかり機能だ。本体奥にあるはかりのフタを裏に返してお皿にし、コーヒー豆を入れるとタッチパネルに重さが表示される。10.1g入れることにした。

コーヒー豆を正確に計ることも、おいしいコーヒーを淹れるためには重要な工程だそうだ

続いて設定するのが挽き目だが、これがまったく見当がつかない(笑)。そもそも数字が小さいほうが細挽きなのか粗挽きなのかわからなかったので、まず豆だけを「10」「30」「50」で挽いてみたところ……全然違う! 数字が小さいほうが細挽きだということがわかった。

挽き目10は、パウダーのように細かいが、挽き目50は粒が見えるほど粗挽きだ

さらにわからないのが「抽出比率」。抽出比率ってなんだ? と調べてみたところ、コーヒー豆1gに対するお湯の量らしい。さらに「黄金率は1:16とされている」という記述も見つけた。

抽出比率という言葉も初めて知ったが、これもコーヒーも味わいを左右する

いろいろ調べ、私も知識がないなりに考え、「がつんと刺激的な味にしてみよう」と設定しなのがこちら。

設定した内容は名前を付けて保存できる。初めての設定なので「初」と命名した

挽き目は、簡単レシピより細挽きの15に、抽出率は濃いめの1:14、湯温は90℃に設定。さらに注湯量、注湯速度、回転速度、一時停止時間も設定していった。ほぼ根拠なし(笑)。そして、これが大変なことになった。とにかく濃い! 苦い! 簡単レシピとはまったく異なる、尖った味になってしまった。

簡単レシピで入れたコーヒー(右)と比べると、かなり濃いことがわかる

残念ながら、これは飲めたものではなかったので、もう一度入れ直すことに。先ほどのレシピを編集して設定できるので、挽き目や注湯時間、一時停止時間などを変更し、再度入れてみたところ、先ほどよりだいぶまろやかになったが、まだまだ簡単レシピほどおいしく感じられない。ただ自分好みの味にたどり着けることは間違いなさそうだし、これは研究しがいがある。

最後の「バリスタモード」は、基本設定は「マイレシピモード」に近いが、大きく違うのが、注湯の一時停止時間をその都度調整できること。抽出中の粉の膨らみ具合を見ながら、自分のタイミングで一度止め、よいタイミングでまた注ぐという、自分のセンスが活かした入れ方ができる。

再開と一時停止を繰り返しながら、プロのハンドドリップを再現する

まさにプロの味が再現できるコーヒーメーカー

本機を実際に使ってみて改めて、コーヒーの奥深さを知ることができた。そしてバリスタはこんな微調整の積み重ねで、究極の味にたどり着いているということへの尊敬と、淹れ方によっておうちで飲むコーヒーも、もっとおいしくなるのだという発見があった。

このコーヒーメーカーは、簡単にコーヒーが淹れられるコーヒーメーカーではないかもしれない。手軽さを目指すなら、豆と水を入れたら後はおまかせの全自動コーヒーメーカーのほうがいいだろう。本機の最大の魅力は、素人でもバリスタが入れたようなおいしいコーヒーが淹れられることであり、自分好みの味が探せるところだ。そう考えると、豆をはかったり、グラインダーを調整したり、といった工程1つ1つが職人の作業のように思えてくるからおもしろい。ちょっとだけ手間をかけて、極上のコーヒーを淹れたい人はぜひ使ってみてほしい。

author's articles
author's articles

author
https://d3n24rcbvpcz6k.cloudfront.net/wp-content/uploads/2021/05/039.jpg

白物・美容家電ライター
田中真紀子

家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブ、テレビなど幅広く発信する専門家兼ライター。家電の最新情報をキャッチするとともに、日々多くの家電を使いこなし、暮らしをより快適にする採り入れ方を提案している。2021年2月、家電を中心に人が集まる場所として「家電サロン」を開設。
more article
media
技術責任者のJake Dyson氏に製品コンセプトを聞く
ANNEX
date 2024/10/11