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これぞZ世代が求めるイヤホンの形

ながら聴きに特化!ソニーがつくった「穴のあいたイヤホン」

author: 山本 敦date: 2022/03/22

ソニーが「穴のあいたワイヤレスイヤホン」を発売しました。LinkBuds(リンクバッズ)と名付けられた本機のどこが革新的なのか、毎年200機種以上のイヤホン・ヘッドホンを取材してきた筆者が解説します。

LinkBudsは音楽と周囲の音が同時に聞けるイヤホン

ソニーはこれまでに数多くのイヤホンをつくってきたオーディオのメーカーでもあります。そのソニーが、穴のあいた斬新なデザインのワイヤレスイヤホン「LinkBuds」を発売しました。

LinkBudsは「ながら聴き」スタイルに最適化したワイヤレスイヤホンです。片側イヤホンの質量は約4.1gと軽く、長時間耳に着けたまま過ごしやすいサイズ感としています。耳穴に本体を挿入した状態で、耳からイヤホンが飛び出て見えないデザインもスタイリッシュです。

軽くコンパクトなLinkBuds。耳に装着した状態で目立たないサイズ感も魅力的です。

LinkBudsは耳に装着して音楽などを再生しても、本体の穴からまわりの環境音が聞こえてきます。この特徴を例えば屋外を歩きながら安全に音楽を聴いたり、オンライン会議の音声を聞きながら家族からの呼びかけや、ドアベルの音に素速く反応できるメリットとして活かすこともできます。

Z世代の支持を受けて「ながら聴き」スタイルを極めた

では、なぜソニーは「ながら聴き」に最適なイヤホンをつくったのでしょうか。筆者はLinkBudsの商品企画を担当した責任者を取材したところ、ある大きな理由があることがわかりました。

ひとつは音楽を聴くこと以外にも、ワイヤレスイヤホンを様々な用途に活用する人が増えたことが背景にありそうです。特にコロナ禍の影響により、オフィスを離れて自宅でオンライン会議などにイヤホンを使う機会が増えています。長時間身に着けていても疲れにくく、まわりの音にも注意を向けられるテレワークの効率アップが図れるツールとして、「ながら聴き」ができるワイヤレスイヤホンが人気です。現在、ソニー以外の製品でも海外メーカーの骨伝導技術を採用するワイヤレスイヤホンなどがよく売れています。

ドーナツ状に穴が空いているLinkBuds。装着した状態で自然に周囲の環境音が聞こえる設計。

もうひとつ、ワイヤレスイヤホンを身に着けたまま「ながら聴き」を楽しみたくなるコンテンツが、Z世代と呼ばれる若い層の支持を集めていることについても触れたいと思います。テキストや写真を主体としたチャットサービスよりも、音声付きの動画を投稿してコミュニケーションを交わせるSNSや、ポッドキャストの番組など「人の声の温もり」に触れられるコンテンツにZ世代が集い、日常から「ながら聴き」を楽しむスタイルが広がりつつあります。

ワイヤレスイヤホンはソニーのオーディオ製品の中でも特に伸び盛りのアイテムです。さらに世界中でソニーのワイヤレスイヤホンを買い支えているのがZ世代であることから、Z世代が期待するライフスタイルに狙いを定めて、LinkBudsというユニークなワイヤレスイヤホンが誕生したというわけです。

LinkBudsは充電ケースもコンパクト。バッグやポケットに入れて持ち運びやすいサイズとしています。

声が聴きやすい伸びやかなサウンド

穴の空いたイヤホンの本体には、音を生む心臓部としてドーナツ型の12ミリ口径ダイナミック型ドライバーが内蔵されています。本機のため専用に設計されたドライバーが力強く、伸びやかなサウンドを再現します。屋外で音楽を再生しても、周囲の環境音にかき消されることなく、明瞭なサウンドを楽しむことができるイヤホンです。ハンズフリー通話の音声もまたとても聞きやすいと思います。

パワフルなサウンドの源となる12mm口径のリング型のドライバーを搭載。

筆者もLinkBudsを1ヶ月ほど試しました。まわりの環境音が自然に聞こえてくるLinkBudsに慣れてくると、音楽を聴きながらでもジョギングなどに体を思い切り動かせる感覚がとても楽に感じられるようになります。周囲の騒音を消して、音楽や映画などスマホで楽しむコンテンツに深く入り込みたい場面にはノイズキャンセリング機能を搭載するイヤホンの方が向いていますが、装着感も心地よいLinkBudsを使うようになってから、1日の中で音楽など音モノのコンテンツに触れている時間も長くなりました。LinkBudsはZ世代に限らず、より幅広い層のユーザーに受け入れられるような気がしています。

音を活かした新しい体験とリンクする

ソニーではLinkBudsで「ながら聴き」が楽しめるコンテンツの開拓にも着手しています。例えばゲーム系のエンターテインメントや、街歩きをサポートするマップサービスなど、ソニーと一緒にサービスやコンテンツを開発·提供するパートナーを集めて、これから「音による体験価値」を高めるコンテンツを発信していきたいと、ソニーの担当者は話しています。

LinkBudsの本体にはコンパス/ジャイロセンサーと、これを活用する「ヘッドトラッキング機能」も搭載されています。ヘッドトラッキング機能を使うと、例えばユーザーが体を動かしながら顔の向きを変えても、空間の中に定位したコンテンツの音があるべき位置から聞こえてくるような立体音響体験が得られます。

現在LinkBudsのヘッドトラッキング機能を活用するエンターテインメントは、ソニーの「Locatone(ロケトーン)」というスマホアプリを組み合わせて楽しめるコンテンツがいくつか配信されています。将来は人の聴覚を拡張して、視覚や手足の動きをサポートするインターフェースとしてLinkBudsのようなワイヤレスイヤホンが活躍する時がやってくるかもしれません。

ソニーのアプリ「Locatone」には今後もLinkBudsのヘッドトラッキング機能と連動するエンターテインメントコンテンツが追加される予定。

筆者は「音楽を聴く」という従来からの楽しみ方の枠にはまらない、新しい可能性を秘めたワイヤレスイヤホンであるLinkBudsが提案するライフスタイルに、これからも注目したいと思っています。

製品貸与:ソニー

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スマートエレクトロニクス・ライター
山本 敦

オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はオーディオ・ビジュアルからIoT、ウェアラブルまでスマートエレクトロニクスを幅広くカバー。ヘッドホン・イヤホンは毎年300を超える新製品に体当たり中。国内・海外スタートアップの製品やサービスを多く取材、開発者の声を聞くインタビューなどもしています。
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