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まだ道路を走ってるの?

便利で楽しい“空飛ぶクルマ”がもうすぐ実用化

author: 福澤知浩date: 2021/12/12

未来をイメージした映画の象徴といえば「空飛ぶクルマ」。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ブレードランナー』にも登場するし、実現しそうで実現しないからこそ未来を感じるのも事実だ。ところが、すでに有人の試験機によるテストも始まっており、国土交通省による型式証明申請が受理されていると、空飛ぶクルマのスタートアップ「SkyDrive」代表の福澤知浩さんは語る。えっ!? もしかして、空飛ぶクルマって近い将来に実現するの? ということで、福澤さんに聞いてみた。

“もうクルマが飛んでる!?” 目標は2025年のサービス開始

「SkyDriveは2025年に”空飛ぶクルマ”のローンチを予定しています。多くの人が空飛ぶクルマに乗れるようになりますよ」。インタビュー開始とともに福澤さんが語った最初のひと言はなかなか衝撃的だ。

2025年といえば、あと4年。本当に実現するのだろうかとも思うが、自信たっぷりなひと言を聞くと、むしろSkyDriveが考えるその先、実用化までのタイムラインや、どのように普及するのかの方がよほど気になる。

2030年頃には空飛ぶクルマの自動運転が始まり、タクシーのように利用できるようになります。私たちが開発しているモデルは2人乗りなので、自動運転化により2人のお客様が乗れます。1kmあたりの料金も現在のタクシー運賃とほぼ同等になっていくでしょうし、2030kmの利用を考えると所要時間は45倍は早いと思います。

そのころにはクルマの自動運転がスタートして、バスやタクシーの運行コストも利用料金も下がります。すると、いまバスに乗っている人がタクシーに、タクシーに乗っている人が空飛ぶクルマにと、利用者がシフトすると考えています」

具体的な例を聞くと、未来像のピントもグッとシャープになるし、”100人乗り、マッハ2で太平洋横断”より現実的な話であると思う。

では、我々が最初に触れるであろう”空飛ぶクルマ”はどんなスタイルで、どれくらいの性能を有しているのだろう。SkyDriveが開発しているのはeVTOL(electric vertical take off and landing)と呼ばれる電動かつ完全自立の自動操縦、垂直離着陸モデルで、2020年8月には有人の実験機「SD-03」で約4分間の公開飛行試験に成功している。

さらに、コンセプトモデル「SD-XX」では開発における目標性能を公開しているが、こちらはグッと高性能で、2人乗りで飛行速度100km/h 航続時間20~30分を目標としている。

SD-XX

● 基本仕様
サイズ:全長4.0×全幅3.5×全高1.5m
最大搭乗人数:2名
燃料:バッテリー(電動)
プロペラ:機体四隅に8枚配置
● 飛行性能
最大離陸重量:500kg
飛行速度:100km/h
航続時間20~30分
高度:~500m
● 走行性能
走行速度:60km/h
走行距離:20~30km


「かつてEV(電気自動車)も最初は不安なく乗れるのは数十キロ程度で、職場と家の往復はできるけど、県外旅行は難しかったんです。空飛ぶクルマも最初は半分エンタメ感覚で、観光地や遊覧で飛ぶのが中心になると思います。飛行距離が延びればタクシー的な用途に移行して……、というのが2030年あたりの目標ですが、実現すれば都市の構造も変わります」

例えば、空飛ぶクルマが実用化すると、都市部における道路渋滞を回避できるだけでなく、過疎地にも大きな変化がもたらされる。

地上交通の場合、高低差のある山岳地帯や入り組んだ沿岸部など、直線距離の数倍というまわり道を強いられることもある。また、道路や線路は莫大なインフラ整備·維持コストが必要になるのもご存知のとおりだ。

しかし、空飛ぶクルマであれば、飛び越えてしまえばいいし、そうした用途であればSkyDriveが掲げる想定スペックは十分に実用的だ。福澤さんはこうして、地方と都市部における移動の格差が解消されてゆくと語る。そして、社会的に認知されれば、2040年は空飛ぶクルマが空を行き交う、そんな世界が現実になるという。

テクノロジー?それとも法律? 実現のカギを握るのは…

現在、空飛ぶクルマは世界で300~400のプロジェクトが進んでいるが、人が乗って飛んでいるのは10社ほど。つまりSkyDriveはトップランナーの1社なわけだが、自動車関連のニュースを見れば、半導体不足やバッテリー問題といった、不安な話題も目につく。こうした問題は空飛ぶクルマには影響ないのだろうか。また、福澤さんが意識している問題点などはあるのだろうか。

「現時点では半導体などの素材·材料類は2~3カ月で届きますから問題はありません。むしろ空飛ぶクルマ開発の”人材確保” と”認知度”のほうが課題と言えますね。より良いエンジニアが集まり、より良いチームを作れると開発も加速しますが、大企業からのベンチャーに移ろうという技術者はまだまだ多くはありません。

我々のようなカテゴリーはまだ未熟ですが、環境は整いつつあるのでさらに努力したいですね。あと世間一般の認知度も重要です。というのも、社会需要が上がらなければ飛ばすこと自体が難しいですから。また需要があれば法規制も適切に整備されます。まずは多くの方に空飛ぶクルマを知ってもらう必要がある、ということです」

物理的なハードルよりも、まずは周辺環境の整備というのも新しいカテゴリーならでは。そして今後、整備が進むと思われる規制や法整備の問題だが、SkyDriveは政府とともに法整備も進めており、大枠は整いつつあるし、普及後の青写真も描いていると続ける。

「空飛ぶクルマは法律上、航空機という扱いになります。ドローンは高度150メートル以下の空域と決まっているので、空飛ぶクルマはその上空を使用しますが、高度としては150メートルよりちょっと高いあたりを飛べたらいいな、と思っています。

また、台数が増えれば交通整理も必要で、ある程度は自由に飛ばせますが、都市部では離発着場から空の幹線道路に入って飛ぶスタイルになるでしょう。ただ、混雑のないエリアでは自由に飛ばせる、というようなエリアの区分けがされると思います」

空の上にある見えない道路を進むのは航空機と同じ発想だ。しかし、機体が小さく垂直離着陸が可能な空飛ぶクルマではコンビニエンスストアなどの駐車場も離発着場として活用できるし、そういったスペースが全国数万カ所レベルで設置されれば、不便を感じることもなさそうだ。

移動は2次元より3次元が楽しい! はやく乗りたい空飛ぶクルマ

こうして話を聞くと、メカニズムも実現できそうだし、利便性についても納得できる。しかし、身近な乗り物となれば自分でも操縦してみたい、というのも本音だ。趣味的な視点で見て、空飛ぶクルマって楽しいんだろうか。

「自転車に乗った瞬間、自動車に乗った瞬間って感動したでしょう。自由にどこにでも行けますし、景色を眺めるのも、人に会うのも嬉しかったと思うんです。私はヘリコプターに乗ったときにとても感動しました。

2次元より3次元の方が移動のしがいがありますよ。自由に飛べるのは本当に楽しいと思います。電動なのでクリーンで静か、さらに速くて楽しいんですから…、私としてはこれ以上望むことはありませんね」

従来の航空機は購入や維持、運航においてもハードルが高く、パーソナルな移動手段としては非現実的だった。しかし、SkyDriveの空飛ぶクルマはこうした難問をふわりと乗り越えてくれそうだし、乗り物好きに新たな楽しみを提供してくれそうだ。

今後はイベントなどにも積極的に出展したいと福澤さんは語るが、数年後のモビリティが気になったなら、まずは予習をかねてSkyDriveの動画サイトを覗いてみてはいかがだろうか。

執筆/村田尚之


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SkyDrive代表
福澤知浩

東京大学工学部卒業後、2010年にトヨタ自動車に入社し、グローバル調達に従事。同時に多くの現場でのトヨタ生産方式を用いた改善活動により原価改善賞を受賞。2018 年に株式会社SkyDrive を設立し、「空飛ぶクルマ」と「物流ドローン」の開発を推進。経済産業省と国土交通省が実施する「空の移動革命に向けた官民協議会」の構成員として、「空飛ぶクルマ」の実用化に向けて政府と新ルール作りにも取り組む。Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング2021」のTOP20に選出、MIT Technology Reviewの「Innovators Under 35 Japan 2020」を受賞。
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