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Interview

パナソニックの多様性に対する答え

必要な機能は後載せ! 「マイスペック」調理家電誕生秘話

author: 滝田 勝紀date: 2021/09/01

パナソニックは9月1日、“一人ひとりにちょうどいい”「マイスペック」調理家電として、IoT対応の「マイスペック」オーブンレンジ「ビストロ」とIHジャー炊飯器「ライス&クッカー」を発売する。基本性能は本格的でありながら、機能やデザインはごくシンプルに絞り、必要な機能を後からアプリや別売りアタッチメントで追加できる新コンセプトの調理家電だ。「フルスペックよりマイスペック」をうたう新シリーズはどのようにして生まれたのか、本誌プロデューサー・滝田勝紀がパナソニックの開発に関わるチームメンバー3名にインタビューした。

ライフスタイルに合わせて機能を選ぶ「マイスペック」という発想

滝田:今回発売された「マイスペック」シリーズは、ニーズにあわせてカスタマイズできるというコンセプトが非常に新しく、今の時代に合っていると感じましたが、どのような経緯で開発されることになったのでしょうか。

パナソニック(岡橋):日本の世帯数は年々増えていますが、なかでも大幅に増えているのは単身者や2人暮らしなどの少人数世帯です。にもかかわらず、われわれ家電メーカーは長らく、標準世帯を「大人2人・子ども2人」の4人家族として訴求し続けていた実情がありました。さらに、より高機能を搭載することも製品の差別化につながるとし、お客様が本当に使うかどうか分からない機能を多く搭載することに対しても、ライフスタイルが多様化する中、お客様によっては「真のニーズに対応できていないのでは」というジレンマがあったんです。

しかし近年IoT化が進み、Wi-Fi環境も整ってきたことから、必要な機能をユーザーが選択し、IoTで追加すれば、よりパーソナライズ化した製品を提供できるのでは、と考え、開発に踏み切りました。

滝田:なるほど、この企画はいつごろから検討を始めて、どうやって生まれてきたんでしょうか。

パナソニック(金田):検討を始めたのは、ちょうど2年前からです。そろそろ何か新しいものを生み出したいと思い、ユーザーの声をヒヤリングしていたところ、オーブンレンジの高機能モデルを買ったけれど自動メニューをほとんど使っていないという方がいらっしゃって。なぜ高機能モデルを購入したのか尋ねたら、「いつか使うかもしれないから、買っておいたほうが安心だと思った」というお答えをいただいたんです。ということは、購入するときは基本機能だけ用意しておき、必要なタイミングで必要な機能が追加できれば、より選択肢が広がるのでは、と考えました。

滝田:確かに、そのほうが効率的ですよね。オーブンレンジにしても炊飯器にしても、購入したら数年間は使うものなので、最後まで使わないかもしれない機能がずっと乗っかり続けるのはもったいないです。それより、最初は頻繁に使う機能だけしっかりあって、使いたい機能はあとから追加するほうが無駄がないし、多様なライフスタイルにマッチしますよね。

パナソニック(岡橋):中でも特におすすめしたいライフスタイル像は2つあります。1つはまだライフスタイルが定まっておらず、今後結婚するなど数年以内に変化するかもしれない方。ライフスタイルが変わったときに、必要な機能を追加していただけます。もう1つは、多くを試してきたことで、すでにご自分が必要としているものが何かを見極めていらっしゃる方です。

ご飯を炊かない日はおかずを 作ろうという新たな提案

滝田:炊飯器に関しては、今回「ライス&クッカー」というネーミングで、炊飯器と調理鍋の1台2役をこなせることを打ち出していますが、こちらはどのような経緯で生まれたアイデアでしょうか。

パナソニック(高桑):弊社では2019年に電気圧力鍋を大幅モデルチェンジして発売し、おかげさまで非常に好調に推移しているのですが、実際に使用されているお客様から「あとはおいしいご飯が炊けたら便利なのに」というお声をいただいたんです。また「電気調理なべが欲しいけれど、これ以上キッチンに置けない」というお声もありました。その点、炊飯器は温度管理が得意で、調理にも向いています。近年は炊飯器で料理を作られるお客様も増えていることから、炊飯器以外の調理もできれば便利に使っていただけるのでは、と思い、開発に踏み切りました。

滝田:それは近年、共働き家庭が一般的になってきたことにも関係があるのでしょうか。

パナソニック(高桑):それもありますね。炊飯には50分くらい時間がかかるので、最近はまとめて多めに炊いて冷凍しておくというご家庭も増えているんです。今回、ライス&クッカーにも「冷凍用ごはんコース」も搭載していますが、毎日ご飯を炊かないなら、空いている炊飯器でおかずを作ってはいかがですか、という提案ができます。

滝田:なるほど、今の時代だからこそ歓迎されるアイデアかもしれません。とはいえ、炊飯機能と調理機能を1台に搭載するとなると、プログラミングも難しかったのではないでしょうか。

パナソニック(高桑):それが実は、調理家電の中で一番プログラミングが難しいのが炊飯器なんですよ。炊飯には、米を浸水させる、吹きこぼさずに沸騰させる、水がなくなっても焦がさず追い炊きする、という工程があり、加熱コントロールが非常に難しい。それが実現できるのは、釜底やふたにある温度センサーが調理物の温度を的確に捉え、正確にコントロールしているからにほかなりません。基本エンジンが整っているので、今回調整したのは、調理メニューに合わせて火加減をどうコントロールしていくか、というところがメインですね。

滝田:確かに御社の炊飯器は、以前からすごくおいしく炊けるのに、毎年さらに上を目指してくるので、炊飯器の技術はどこまで向上するんだろうと思っていましたが(笑)、この技術があれば調理もお手の物、というわけですね。

パナソニック(高桑):そうですね。しかも今回、IoTを搭載したことで、スマートフォンでレシピや材料を確認して準備したら、最後に本体に送信すれば設定は完了するので、複雑な操作も不要です。発売当初の自動メニューはスタンダードな10レシピですが、これからどんどん増やしていきますので、多彩なメニューを楽しんでいただけると思います。

滝田:そこがIoTのいいところですよね。スマートフォンの操作は若い人は慣れているし、トレンドメニューがどんどん増えていったら、料理も楽しさも広がっていくし。実際僕もいくつか作ってみましたが、手順通りに材料や調味料を入れるだけで、あんなにおいしい料理が作れるなんて、ふだん料理はあまりしない僕からしてみたら、魔法感すらありました(笑)。

でも少し気になったことがありまして。カレーやスープを作った同じ釜でご飯を炊くと、においがご飯につくんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

パナソニック(高桑):確かにそういう不安の声をちょうだいすることもありますが、実際は内釜は金属でできているのでにおいが残ることはほとんどなく、ご飯を炊くときも蒸気は出ていくので、においがご飯に戻ることもないんです。ただし加熱板のパッキンにはにおいがつきやすいので、気になるときは煮沸できる「お手入れコース」をおすすめしています。

滝田:やはり大丈夫なんですね。きっとパナソニックさんにも考えはあるのだろうと思いましたが(笑)、とても勉強になりました。

パーツと機能を追加すると作れる レシピがグッと増える

滝田:続いてオーブンレンジについてお聞きします。従来のオーブンレンジには付属品が初めからついているのが当たり前でしたが、今回は必要に応じてグリル皿やスチームポットを買い足していくことにされました。このあたり、今までとは違った開発の工程もあったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

金田:パナソニック(金田):まさに今までにない試みでしたので、苦労も多かったですね。グリル皿やスチームポットを買い足していただき、アプリ上で登録することで初めて、これらを使ったメニューがダウンロードできるようになるのですが、「本体に入っていない機能を後からダウンロードできる」プログラム開発は初めてだったので。アプリからのメニュー送信も、別の容器を使って調理してしまわないように、登録していないアタッチメントのメニューは送信できないように工夫しています。

滝田:確かに僕もスチームポットを使おうとしたとき、最初に登録していなかったのでレシピが出てこなくて戸惑いましたが、そういう意図があったんですね。こうなるとアプリの使いこなしが非常に重要になってくると思いますが、使いやすくするために工夫されたことはありますか。

パナソニック(金田):従来のビストロは、自動メニューがすべて本体に搭載されていたので、レシピブックでメニューを選んでから、その番号を本体に入力する手間がありましたが、今回はアプリ上で興味のあるキーワードを選択すれば、その人に合わせたおすすめレシピが提案されるので、「これ作ってみようかな」とメニュー選びから楽しんでいただけるのではないかと思っています。

さらに手動設定もラクになりました。従来は、オーブン機能を使うとき、まず予熱温度を設定し、予熱が終わったらもう一度時間を設定する必要がありましたが、アプリなら一画面で予熱から調理時間まで設定できるので、手間が省けるメリットがあります。

若者世代に響くシンプルな デザインと操作性

滝田:「マイスペック」シリーズはデザインもシンプルかつスタイリッシュで素敵ですよね。ボタンも最低限しかないし、白基調のカラーもモダンできれいです。今回、このようなミニマル・デザインを意識された理由を教えてください。

パナソニック(岡橋):今回の「マイスペック」は、社内的には“引き算の商品企画”と呼んでいます。使うかどうか分からないものは徹底的に削ぎ落としてミニマルにしたうえで、必要な機能は追加する、と発想から始まったので、それがデザインにも反映されているんです。難しかったのは、削りつつも使いやすさを担保するラインを保つことですね。

パナソニック(金田):特に今回スマホ世代をターゲットにしているので、直感的に操作できることも重要なポイントだったと思います。逆にいうと、ボタンがたくさんあると複雑になるので、いかに最低限のボタンで全ての操作ができるか、というところを、さまざまなフローから検討しました。

パナソニック(高桑):白い本体に、白いLEDを透過させるのも難しかったですね。本来LEDは濃い色のほうが見やすいのですが、やっぱりオーブンレンジと並べたときを考えても、白が一番きれいだったので、技術部門やデザイン部門に頑張ってもらいました(笑)。

滝田:これならインテリアに映えるので、オーブンレンジとライス&クッカー両方そろえて、いろんなメニューを楽しみたいですよね。そういえば今回は、ディーンアンドデルーカさんとコラボしたメニューも搭載されるそうですが、今までとは違ったジャンルのコラボで少し意外でした。

パナソニック(岡橋):確かに従来、レシピブックに載るものは家庭料理が多かったですが、「マイスペック」は多様性をテーマに開発した製品なので、ぜひ世界中の食を扱っているディーンアンドデルーカさんの視点を取り入れたいと思い、ご協力いただくことになりました。料理自体も写真映えしますし、ビーガン料理など食の嗜好も多彩なので、食の面でも多様性を伝えていけたらと思っています。今後、第二弾、第三弾も考えていますので、楽しみにしていてください。

滝田:この「マイスペック」のコンセプトは今後、他の商品群にも波及していくんでしょうか。

パナソニック(岡橋):今回は、調理家電の中でも日々の使用頻度が高いオーブンレンジとライス&クッカーから着手しましたが、コンセプト自体は普遍的なものですので、今後相性がよい商品があれば、他の家電にも広げていける可能性は十分あると考えています。

滝田:今後の展開も楽しみにしています。ありがとうございました。

「マイスペック」ライス&クッカー
SR-UNX101

調理機能を搭載し、スマホアプリ「キッチンポケット」でコースやレシピをアップデートできる炊飯器。アプリを使って本体に登録する炊飯コースを自分仕様にカスタマイズできるだけでなく、その年のお米の出来栄えに合わせて炊き方の更新も可能。またアプリで選んだレシピを本体に送信すれば、カレーやポトフなどの料理も自動で調理してくれる。

https://panasonic.jp/suihan/products/unx1.html

*操作には、スマートフォンおよびスマホアプリ「キッチンポケット」が必要です。 利用可能なスマートフォン・Wi-Fi環境など、詳細はホームページをご確認ください。*加熱後、さらに味付けなどが必要なレシピもあります。

「マイスペック」オーブンレンジ
NE-UBS5A

レンジとオーブンの基本機能をベースに、スマホアプリ「キッチンポケット」と別売りのアタッチメント(グリル皿、スチームポット)により、後から自分仕様に機能をアップデートできるオーブンレンジ。アプリを使って好みのキーワードを選択すると、使用者に合ったレシピを提案。操作部はシンプルで最小限の機能に絞ってデザインされている。

https://panasonic.jp/range/products/ne-ubs5a.html

*機能の追加には別売アタッチメント、スマートフォンおよび専用アプリ「キッチンポケット」が必要です。 利用可能なスマートフォン・Wi-Fi環境など、詳細はホームページをご確認ください。

Text by 田中真紀子


author

Beyondプロデューサー・家電スペシャリスト
滝田 勝紀

Beyond Magazineのプロデューサー。電子雑誌「デジモノステーション」の元編集長。All Aboutの家電ガイドとして活動中。楽天のショッピングSNS「ROOM」の家電公式インフルエンサーを務め、フォロワー数は40万人(2021年3月現在)以上を抱える。ベルリンで毎年開催される世界最大の家電見本市「IFA」ほか、海外取材の経験も豊富。インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とともに、オフィス兼「家電とインテリアのショールーム」をオープン。コンサルティングクリエイターとしても活躍中。
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