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アート愛好家が起業家になった理由

アートは生命力の源! 生きるために誰しも必要不可欠

author: 岩崎かおりdate: 2021/09/04

アートはあくまで文化事業であって、ビジネスではない。日本では、そう考えている人も多いのではないだろうか。子どもの頃からのアート好きが加熱して、勤務先の金融機関では、上司を説得してアート部門を立ち上げるまで漕ぎ着けた岩崎かおりさんにとって、「アートは生きるために必要なもの」。社会に必要なものゆえ、ビジネスになるという信念のもと、一念発起して「THE ART」を起業した。アートをビジネスとするとはどういうことなのだろうか?

現代アートが起業につながる理由

好きなことを仕事にする。私の場合、それが現代アートだった。両親がアート好きで、子どもの頃からアートに触れる機会が多かった。ただ、それだけでは、単なるアート好きに過ぎない。好きから起業につなげた最大の理由は、アートを鑑賞する、ではなく、アートを購入することを推進したいと考えたからだ。私自身、若いときに買ったアート作品があって、それが世の中に認められて、値段が上がった。これは、アートを買わないとわからない体験。アートは買うことが大切と気づいたことが大きなきっかけだった。

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「アートの力で社会とビジネスにパワーをもたらし、アート界にイノベーションを興すことを目指す」それが、2021年1月に創業した「THE ART」の経営理念だ。主な事業は、法人向けのアート事業アドバイス・ブランディングや、アーティストマネジメント、個人向けのアートコレクションのアドバイスなどである。さらに、世界から注目される可能性を持つ国内の現代アーティストを支援し、活躍の場を創出することで、一部のコレクターだけではなくより広く多くの方に、現代アートの作品と出会い、楽しんでいただけるような企画・サービスを提供していきたいと考えている。

自然と磨かれたアートをみる ” 目 ” そして生まれた疑問

アートをビジネスとするに至った原体験は、子どもの頃まで戻る。四国・愛媛県に生まれ、アート鑑賞と旅行が趣味の両親のもとで育った。海外のアートフェアやギャラリーに足を運んで、世界のアート関係者とコミュニケーションを重ねる中で、子どもの頃から疑問に思っていたことがあった。それは、アート市場における、日本と海外の“大きな格差”である。日本という国は、歴史的にも文化的にもとても豊かなのに、なぜ人々はアートにお金を使わないのか」という疑問は、年を重ねるに連れて、私の中で徐々に大きくなった。日本人はアートに理解がないわけではない。実際、都心の美術館で行われる大規模かつ著名な作家の展覧会には長蛇の列ができる。それなのに、自分の好きなアーティストの作品を購入し、自宅の部屋に飾り、愛でて楽しむ、という意識は乏しい。

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 多くの日本人にとって、アート作品は 、美術館に収蔵された著名なアーティストの作品を鑑賞する、つまり “美術館で鑑賞するもの”なのだ 。アート作品を買い、自宅に飾ることは身近なことではなく、  “ごく一部の限られたセレブリティだけが楽しむ世界” と認識されているからだ。これに対して、欧米では、アート作品を買うことや自宅に飾ることが、もっと身近なのだ。

銀行の支店内で現代アートを展示

 その要因はさまざま考えられますが、裏を返せば、日本は「アートがもっと活性化する余地の大きな国である」と言える。だからこそ、これまで培ってきたアートに関する知見を活かし、自分に何かできないか、と考えた。企画をあたため、仲間を増やし、ゆくゆくはビジネスにつなげたい。そう思い、2018年、当時勤務していた大手国内銀行で、有志によるアートクラブを発足させるまでに漕ぎ着けた。翌2019年には、某大手国内銀行 日本橋支店の店内に現代アート作品を展示する「アートブランチ」プロジェクトを企画・リリース。国内金融初の試みは、数多くのメディアでも取り上げていただいた。

 そのプロジェクトには、名和晃平さん、小松美羽さん、桑田卓郎さん、舘鼻則孝さん、奈良祐希さん、小松孝英さんといった素晴らしいアーティストの方々からご賛同をいただき、作品をお借りして、銀行の支店内というパブリックスペースで、世界で活躍する日本人作家の作品をご紹介できた。私自身にとっても、非常に嬉しい取り組みだった。

もっと気軽に “現代アート作品を買う” 楽しさを広めたい

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 しかし、日本ではまだまだ、現代アートに対して苦手意識を持つ傾向があり、日常的な接点も少ないのが現状だ。また、国内の美術館で現代アートが展示される機会は限られ、知る・見る・学ぶことが困難な状況でもある。さらに、いざ作品を購入しようと思っても、その方法や選定なども含めて、アートを手に入れて身近な空間で楽しむまでには様々なハードルがある。そんな現状を少しでも変え、日本にアートコレクターをもっと増やしたい! そう思い、「THE ART」を起業するに至ったのだ。

 アートをビジネスにする以前に、私自身も一人のアートコレクターだ。アートバーゼルで名和晃平氏のPixCell作品に出会ったのがきっかけで、現在は約200点ほどを所有している。作品とのつながり、作家とのつながりは、まさに”一生もの”。何物にも代えがたい喜び・楽しみがある。そうした私自身の体験から、もっと多くの方々に、もっと気軽に、日常的に、素晴らしい作家や作品たちと出会っていただき、彼らを応援するような気持ちで、作品を購入し、コレクションする楽しさをお伝えできれば、と考えている。

初めての方にも 安心して購入いただけるような企画展を開催!

 コロナ禍ゆえに、企画展の実施は難しいものの、レストランや百貨店といった身近な空間をアートギャラリーに見立てて、現代アートの注目の作家を集めた企画展の開催を予定している。出展にあたっては、私自身が責任を持って目利きし支援する、将来有望な “次世代” のアーティストばかり。すでに日本国内以上に、海外コレクターの間で人気が高まり、作品が入手困難な作家も含まれている。そんな彼らの最新作・大作が並び、もちろん購入いただける、そんな機会を提供したいと思って、すべてにこだわり準備している。最初から購入するのは敷居が高いが、まずは身近な空間で現代アートに見て触れて欲しい。まったくアート作品を購入したことのない方や、詳しくないけれど、ちょっと現代アートに興味があるといった方に、“アートを見る・買うための、最初の一歩” として、提供する空間なので、ぜひ、来場して欲しい。

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Bunkamura Gallery
アート展「交差点 いま、ここからの」
Part1:伝統で現代アートの融合
2021/8/26(木)~9/5(日)
Part2:未来を切り開くZ世代
2021/9/8(水)~9/15(水)を開催中

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株式会社THE ART代表取締役社長
岩崎かおり

愛媛県生まれ。アート鑑賞と旅行が趣味の両親のもとで育ち、幼少のころから国内外のアート鑑賞が習慣に。大学院修士課程ではモノづくりの経営学を学ぶ。海外のアートフェアやギャラリーに通い続け、世界のアート関係者とのつながりを通じ、日本と海外のアート市場の格差や、アートがもっと活性化する余地が大きい国であることを痛感。2018年、当時勤務していた大手国内銀行で、有志によるアートクラブを発足。翌2019年、大手国内銀行にてアート企画推進を立ち上げ、日本橋支店の店内に現代アート作品を展示する「アートブランチ」プロジェクトを企画・リリース。国内金融初の試みは、数多くのメディアでも取り上げられた。アートバーゼルで名和晃平氏のPixCell作品を購入して以来、アートコレクションの魅力を知り、アートコレクターとしての顔ももつ。自身の現在のコレクション作品数は約250点。
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