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ちょっぴり不便、だから素直になれた

スマホなしで恋をした「オフライン ラブ」のこと

author: Beyond magazine 編集部date: 2025/07/21

ひと足早い真夏日の公園で、太陽にも湿度にも負けない、きらきらの笑顔を見せてくれたのは、俳優・朝日ななみさんと芸人・面髙ケンスケさん。Netflixリアリティシリーズ「オフライン ラブ」で出会い、晴れてカップルとなったふたりだ。
 
男女10人が異国の地・フランスのニースに集い、運命の恋を探すこの番組。その大きな特徴は「すべてのデジタルデバイスを手放す」というルールにある。
 
手紙のやりとりと会える時間だけが頼りだった10日間。そんな特別な環境で“誰かを本気で想う”ことを、ふたりはどのように感じたのか。ニースでの体験をもとに、オフラインならではの魅力ともどかしさ、そしてこれからのデジタルとの付き合い方について語ってもらった。

朝日ななみ

1999年生まれ。新潟県出身。俳優。主な出演作は、Netflixリアリティーシリーズ「オフライン ラブ」、MBSドラマ「極道上司に愛されたら」映画「ネムルバカ」、MXドラマ「恋愛ルビの正しいふりかた」など。趣味は、映画鑑賞、プロレス鑑賞、滝行。
Instagram:@oasahi_nanami
X:@asahi_nanami01

面髙ケンスケ

1999年生まれ。K-PRO所属。2020年に中島と芸人コンビ「香呑(かのん)」を結成。これまでにTBS系「あらびき団」やテレビ朝日系「キョコロヒー」などに出演。2025年、Netflixリアリティシリーズ「オフライン ラブ」に出演した。
Instagram:@longlong_potato
X:@rental_poteto
YouTube:@omodaka1000

「いいんですね?マジで使いませんよ?」

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──「オフライン ラブ」に参加する前、おふたりはスマートフォンをどのくらい使っていましたか?

面髙ケンスケ(以下、ケンスケ):人並みに、めちゃくちゃ使ってましたね。音楽も、映画も、YouTubeも、漫画も。あとは人との連絡も含めて、フル活用でした。

朝日ななみ(以下、ななみ):私も漫画とかサブスクとか……。SNSはもともと積極的に見るタイプではなかったけれど、気づいたら思考停止で見続けて、情報過多で疲れてしまうこともありました。

──では、デジタルデバイスを手放すというルールは、率直にどう思いましたか?

ななみ:「ぜひ参加したいです!」って(笑)。普段だったら生活に支障が出たり、周りの方に迷惑をかけたりしてしまうので、スマホを手放したくてもなかなかできないじゃないですか。それを、この旅では強制的に手放せると聞いてワクワクしましたね。

参加にあたって、オフラインという設定に惹かれた部分は大きかったのかも。不安も全然なかったな。それ以上に、どんな旅になるのかが楽しみでした。

ケンスケ:まったく一緒ですね。「やったぜ!」「いいんですね?マジで使いませんよ?」って。

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──いざ、スマホを手放した初日の感想は?

ななみ:もう「最高~!」「のびのび~!」みたいな(笑)。

ケンスケ:あはは。そうだよね。

ななみ:本当にすごく軽い気持ちになったんですよ。旅の1日目の朝にはスマホを預けちゃって、見たくても見られる環境になかったので、じゃあもう全力でこの状況を楽しもうって。

ケンスケ:僕も、スマホがないことを忘れて、超楽しく過ごしていましたね。フランス、見るものがめちゃくちゃあるんですよ! これはスマホがなくても楽しすぎるぞと。

最初のうちは、写真を撮ろうとして「あ、持ってないんだった」みたいなことを何度か繰り返しましたけど(笑)。

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──スマホのない生活に慣れたのは、どのくらいのタイミングでしたか?

ケンスケ:慣れたのは……3日目くらいかなあ。

ななみ:そうだね。割と最初から「いけそう!」って感じではあったけれど。

ケンスケ:なんか、段階があるんですよね。最初の1~2日くらいは、まだ新鮮さがあるので「スマホがなくてもいいや」って感じだけど、3~4日目になると良くも悪くも慣れて、「暇だなあ……」って(笑)。

──リアルですね(笑)。

ケンスケ:寝る前にすることがなくて戸惑うんです。とりあえず、初日にお土産屋さんや市場で買ったフィギュアを、部屋とかお風呂場にひたすら並べてみたりして。

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ななみ:たしかに、3~4日目はちょっと辛かったかも。友達との何気ないやりとりや電話で話す時間に、今まで自分がいかに救われていたのか気づきましたね。

でもそのぶん、普段はあまり見つめないような自分の内側の部分と向き合うことができました。日本から持ってきた日記帳に、感じたことを書いたりとか。

ケンスケ:うんうん。僕も、メモに書いてましたね。誰々がイケメンだったとか、今日はこんな話をしたとか。3~4日目を乗り越えてしまえば、あとはもう全然平気でした!

偶然の手紙から始まった恋。その文字からは人柄を感じた

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──おふたりの最初の接点は、ななみさんからケンスケさんに宛てた手紙からでしたね。

ななみ:はい。1日目は、ほかのメンバーと出会うために街を散策したのですが、男性メンバーの誰とも会えなかったので、とりあえず「誰かに手紙を出さなきゃ」と思って、ケンスケくんに出しました。理由は、ポストの真ん中に名前があったから(笑)。

ケンスケ:真ん中でよかった~!

──誰かと手紙でやりとりをするという行為には、もともと馴染みがありましたか?

ケンスケ:ほとんどないですね。母ちゃんからの「洗濯物入れておいて」みたいな置き手紙に、「はい」とか返事をするくらいで。

ななみ:私も、年賀状や色紙を書くくらいでした。でも、やっぱりロマンは感じますよね。時間をかけて、相手のことを考えながら自分の字で書くのって素敵だなあって。

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ケンスケ:たしかに、今ってどれだけ仲が良くても、その人がどんな字を書くのかって意外と知らないから、新鮮だよね。実際にななみちゃんから手紙をもらったときに思ったのが、なんというか……明るい。そう、明るかったんです。文字の印象が!

ななみ:そうかな?

ケンスケ:矯正された字じゃなくて、柔らかくて温かい感じがして。人生を通してずっと書いてきた字なんだろうなと伝わってきて、僕はすっごく好きでしたね。まだ顔も知らないけれど、「この人、絶対いい人だ!」って。

ななみ:嬉しいな。ケンスケくんの文字も、パワフルで人間味があって、めちゃくちゃ人柄が表れているなって思った。「ケンスケ!」って感じで(笑)。

ぜんぶ当たり前じゃない。オフラインだから踏み込めた

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──手紙の文字のように、オフラインの環境だからこそ気づけた相手の魅力的なポイントはありますか?

ケンスケ:やっぱり、ニースの街でいろんなことに感動してるななみちゃんの姿が、本当に可愛らしくて……! 一緒にラーメン屋さんに行って、お米を食べたんだよね。そうしたら、ななみちゃんが泣いたんですよ。

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Netflixリアリティシリーズ「オフライン ラブ」独占配信中

ななみ:泣いてないよ! うるうるしたけど(笑)。ニースで久々のおいしい白米、しかも目の前にケンスケくんがいると思ったら、なんだかすごく感慨深かったんです。

ケンスケ:ごめんなさい。うるうる、でした(笑)。

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ななみ:私は、ケンスケくんとはスムーズに約束ができたのが嬉しかったですね。直接会っているときに自然と次の予定の話ができるってことは、お互いに一緒にいたいと思っているからなのかなって。

ケンスケ:スマホがあるとLINEでやりとりできちゃうので、予定を決めるのも後回しになりがちだと思うんです。でも、あの環境では手紙を出すか直接会うかしかないから、それならできるだけ毎日会って、ななみちゃんのことをもっと知りたいなって。

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──そんな素直な気持ちを、ケンスケさんはきちんと言葉にして伝えていたのが印象的でした。普段からそうなんですか?

ケンスケ:そのマインドはもともとあるけれど、ニースでは普段の“150%バージョン”だったと思います(笑)。たぶんいつもだったら、もう少し気持ちを抑えて、相手の出方を探っていたんじゃないかな。会えることが当たり前ではないからこそ、駆け引きとかはせずに「思っていることはぜんぶ言わなくちゃ」という気持ちでした。

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Netflixリアリティシリーズ「オフライン ラブ」独占配信中

ケンスケ:というのも、次に会う約束ができたとしても安心できないんですよ。別のメンバーに誘われてデートに行ったななみちゃんの帰りを待っていたときは、何時に着くかまったくわからないし、伝えた場所を動くこともできないから、2~3時間ただひたすら水を飲みながら待っていて。「本当に来てくれるのか?どうなのか?……きたー!」みたいな(笑)。

ななみ:私も、いつまで待っていてくれるのかわからなかったから、「本当に会えた……!」って(笑)。口約束をしていても、タイミングがずれたら会えないし、待ち合わせがうまくいかないかもしれない。約束して会うことは当たり前じゃないんだなと実感しましたね。

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──少し不便なオフラインという環境だったからこそ、ふたりの距離がぐっと近づいたのかもしれませんね。

ケンスケ:そうだと思います。ななみちゃんとは、ほとんど毎日会っていたので、もらった手紙は3通だけでしたけど、その内容にもふたりの距離感の変化が表れていたなと思って。最初はやっぱり気を遣っているのが伝わってきたけれど、最後の想いを伝える手紙はまさかの一言! 「この落差……!」って。

ななみ:“落差”って、落ちちゃってるよ(笑)。

ケンスケ:あ、違う! このギャップ……というか成長?

──一言でもわかり合えるくらい距離が縮まった、という……!

ケンスケ:そうです、そうです! ここまで距離が縮まったんだなと感じて、その一言がすごく嬉しかったですね。

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──ちなみに、もしおふたりがデジタルデバイスのある日常で出会っていたとしたら、どんな関係になっていたと思いますか?

ケンスケ:好きになってると思う。

ななみ:私もそうかもしれない。でも、どうだろう。フィーリングが合うからきっと気になっていたし、仲良くなれたとも思うけれど、いろいろ考えすぎて踏み出せなかったのかもしれないですね。普段の私だったら「連絡先を教えてください」も言えないし、もし交換できてもたぶん、挨拶だけして終わっちゃったんじゃないかな。

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──それは遠慮してしまうからですか?

ななみ:そうですね。私は何をするにも、「たぶんこうする方がいいよね」と俯瞰して考えてしまうクセがあって。でも、デジタルデバイスがない生活では内省する時間が増えて、“自分はどうしたいのか”に意識が向くようになったんです。

そのおかげで、「私はこうしたい」「こう感じた」といった自分の気持ちに気づけるようになったし、それが行動する勇気につながった気がします。

ケンスケ:やっぱり、デジタルデバイスがなかったからこそ、お互いに踏み込めたというのはあるよね。いや~! 本当にありがたい環境だったな。

スマホは本来、楽しくて面白い! だからこそ“主導権”は握りたい

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──デジタルデバイスのない10日間を振り返ってみて、あらためて「ここがよかった」と思うところは何ですか?

ななみ:スマホに頼らないぶん、記憶が鮮明に残っているのが嬉しくて。ワインを飲んだお店の店員さんの温かさとか、ケンスケくんと一緒に見た街並みの美しさとか、その瞬間自分がどんなことを感じたのかも含めて、すぐに思い出せるんです。10日間の出来事すべてが濃密で、一つひとつが大切ですね。

ケンスケ:道ひとつにも思い出があるもんね。目の前のことに集中するから、ご飯もよりおいしく感じるし。「今、見るべきものがたくさんあるんだから、旅先でスマホをいじっているのはやっぱり違うな」とシンプルに思いました。意図的にスマホを使わずに楽しむことを、もっとやった方がいいぞと。

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──帰国してからしばらく経つと思いますが、以前と比べてスマホの使い方は変わりましたか?

ケンスケ:まず、10日間も離れていると、スマホがおもちゃみたいに感じるんです。「何これ、冷たくて硬い!」みたいな。だから帰ってきてすぐの頃は、おもちゃで遊ぶみたいな感覚だったんですが、今はもう慣れてしまってだいぶ使ってますね。

ななみ:私は家の中でもしょっちゅうスマホを失くしているので、たぶんスマホが当たり前にある生活にまだ馴染みたくないんだと思う(笑)。そういえば、今でこそケンスケくんとの連絡はLINEでとりあっているけれど、意外と雑談っぽいやりとりはしてないんですよね。

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ケンスケ:たしかに、必要な連絡はLINEでするけれど、他愛もない話は直接会って話すことが多いよね。

ななみ:そのバランスがめちゃくちゃいいんですよね。やっぱり相手の表情が見える状態で話すのが一番いいなと思って。あと、今まではお店を事前に調べて、マップアプリにピンしていましたが、それも最近は減ったなと感じます。

──あえて調べず、ふらっと気になるお店に入ることが増えた?

ななみ:そうですね。ケンスケくんとも、散歩しながら「ここ気になるね」「入ってみよっか」って。それで料理がすごくおいしかったりすると本当に嬉しいし、思い出になるじゃないですか。

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ケンスケ:ニースにいたときは、常にその連続だったもんね。もともとスマホに頼らずに気ままに散歩するのが好きでしたが、ニースでその楽しさを本格的に感じられたので、自分たちの直感を信じて飛び込むみたいなことは、これからも続けたいです。

──オフラインの良さも大変さも知るおふたり。今後は、デジタルデバイスとどのように付き合っていきたいですか?

ななみ:個人的には、必要な業務連絡はスマホに頼るとしても、それ以外はできるだけ自分の身の回りにあるリアルな日常を大切にできたらいいなと思います。スマホのカレンダーも便利だけど、できれば卓上カレンダーに書き込みたいし、LINEで連絡や約束はするけれど、やっぱり直接会う時間を大事にしたい!

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ケンスケ:僕は、自分が楽しいと思える距離感を保ちたいですね。たとえばスマホで動画を観るのも、誰かと連絡をとるのも、ただぼーっとやるんじゃなくて、「自分が楽しいからやってるんだぜ!」という感覚を持った上で、使いこなしたいなって。気を付けないと、いつの間にか『寄生獣』のミギーみたいに、スマホに浸食されて身体の一部になっちゃうので。

ななみ:ミギー(笑)。でもたしかに! スマホに振り回されるんじゃなくて、ちゃんと自分が主導権を握っているのは大事かも。

ケンスケ:そうそう、主導権! 当たり前になりすぎて忘れてるけど、本来スマホって楽しくて面白いものだからね!

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