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駅伝での着用率にも変化が起こる?

ナイキが5km/10kmに適したランニングシューズを作った理由

author: 神津文人date: 2022/02/28

近年、箱根駅伝の出場選手たちが、どんなシューズを履いていたかがニュース記事になることが多くなった。今年はアディダスとアシックスが大きくシェアを回復、ナイキを追撃しているという記事を目にした方もいるのではないだろうか。

アスリートから求められた、より接地感のあるシューズ

2021年と2022年の箱根駅伝を比較してみると、ナイキのシェアは95.7%から73.3%に、アディダスのシェアは1.9%から13.3%に、アシックスは0%から11.4%にそれぞれ変化している。2021年のナイキがあまりにも圧倒的だったゆえに、他社の盛り返しが目立ったのは間違いない。

とはいえ、区間賞を獲得した10人の選手のうち8人がナイキのシューズを着用。3つの区間新記録達成者の足元はいずれもナイキ。さらに、今回の区間新記録により、10区間の区間記録はすべてナイキの厚底シューズ着用選手が保持することになった。まだまだ“ナイキ厚底時代”と言える状況だ。

そんな駅伝シーンで圧倒的な支持を得ているナイキが、「ナイキ ズームエックス ストリークフライ」というニューモデルを2月に発売した。

ナイキ ズームエックス ストリークフライ  19,250円

アッパーのヒール部分に5k/10kという文字が入れられていることからも想像できる通り、今作がターゲットとしているのは5kmや10kmといった距離のロードレースとなる。

駅伝に限らず、フルマラソンでもナイキの厚底シューズは多くのアスリートから支持されている。昨年の東京五輪の男子マラソンでは、表彰台に立った3選手全員が「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト% 2」を着用していたのは記憶に新しいところ。

ロードレースでは、短い距離でも長い距離でもカーボンファイバープレートを搭載したナイキの厚底シューズが人気だが、さらにアスリートの声に耳を傾けると、5kmや10km程度の距離を走る場合は「もっと接地感がほしい」「レースのラストを短距離のようにもっとアグレッシブに走りたい」「履いていないような軽さがほしい」「急カーブでも接地感があるシューズがほしい」といった意見があったそうだ。

「フルマラソンのような長距離用に開発された『ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%』や『ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%』とったシューズが、5kや10k、マイルレースなどでもアスリートたちに履かれているのを見たのが開発のきっかけです。『ヴェイパーフライ』や『アルファフライ』の経験を活かしながら、短距離に特化したシューズを作れるのではないかと考えたのです」と、ナイキ ランニング フットウェア プロダクト マネージャーのエリオット・ヒース氏は言う。

ナイキ ランニング フットウェア プロダクト マネージャーのエリオット・ヒース氏 写真/Cortney White

プレートの素材やサイズを試行錯誤した2年間

アスリートの声を聞き、本当に必要なものを見つけ、提供する。そのためには、経験を活かしながらも、過去の成功に捉われ、思い込みで物づくりをしないことが重要になる。「ヴェイパーフライ」や「アルファフライ」にはフルレングスのカーボンファイバープレートが搭載されているが、「ストリークフライ」では中足部だけにPEBAXという素材のプレートが採用された。あくまでプレートはシューズの一部であり、ロードレース用だからといって必ずしもフルレングスのカーボンファイバープレートが必要なわけではないのだ。

「フルレングスのプレートはもちろん、中足部から前足部までの長さのものなど、さまざまな長さ、素材のプレートをテストしました。適切な安定性を提供しながら、アスリートが望むクッション性、アグレッシブさ、接地感、エネルギーリターンを実現しようとした結果、プレートは中足部のみにして、前足部にズームエックス フォームをたくさん使うことになったのです」(エリオット・ヒース氏)

開発期間はおよそ2年。世界中の多くのアスリートからフィードバックをもらって製品化に辿り着いた。そのアスリートの中には、日本の実業団や大学の選手も含まれている。アウトソールのトラクションパターンは、あらゆるランナーのさまざまな走り方に対応できるよう、多くのランナーから得たデータに基づいて開発されたジェネラティブデザイン。フォアフット(前足部着地)のランナーでもヒールストライク(踵部着地)のランナーでもしっかりとトラクションが得られる。また、踵部のミッドソールの厚さは25mm以上(サイズにより異なる)、前足部と踵部の高低差であるオフセットは6mmに設定されている。重量はメンズ28.0cmで185g、ウィメンズ25cmで155gとかなり軽量だ。

ジェネラティブデザインのアウトソール。さまざまな路面で、そしてコーナーでもしっかりとしたトラクションを提供する
アッパーは通気性と軽量性を追求した透け感のあるエンジニアードメッシュ
ミッドソールには軽量性、反発性に優れたズームエックス フォームを全面に使い、中足部のみにPEBAX素材のプレートを搭載
ミッドソール内側に入れられた数字は試作番号。試作してテストを積み重ねて作ったことの表現。シューズのカラーは“プロトタイプ”と名付けられている

5k、10kのロードレースに最適化された「ストリークフライ」は、実際にどのようなシーンで活用されそうだろうか。2012年に米国アイビーリーグ選抜の選手として出雲駅伝の1区を走った自身の経験も踏まえて、エリオット氏がコメントしてくれた。

「出雲駅伝のような短い距離のレースに適していると思います。箱根駅伝の距離だと『ヴェイパーフライ』や『アルファフライ』をチョイスする選手が多いでしょう。足の運び方、走法によっては『ストリークフライ』を選ぶ選手もいるかもしれませんが。また、ロードでのレーシングシューズとしてだけでなく、ロードおよびトラックのトレーニングにも使ってほしいと思います。1km、2kmといった距離のインターバルトレーニングにも適していますし、スパイクを履くほどではない、あるいは、練習中はスパイクを履くことが禁じられている環境などでは、『ストリークフライ』が完璧なソリューションになるでしょう」

5.8〜10.2kmの6区間の出雲駅伝(2021年のナイキ着用率81.9%)、全8区間のうち1〜6区が9.5〜12.8kmの全日本大学駅伝(2021年のナイキ着用率85%)、さらに3.9〜9.2kmの6区間の全日本大学女子駅伝あたりでは、『ストリークフライ』への乗り換えが進むかもしれない。


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ライター・編集者
神津文人

雑誌編集者を経てフリーランスに。「Tarzan」などのヘルス&フィットネス系メディアや、スポーツの領域で活動中。「青トレ」(原晋/中野ジェームズ修一著)、「医師も薦める子どもの運動」「医師に運動しなさいと言われたら最初に読む本」「60歳からは脚を鍛えなさい」(中野ジェームズ修一著)、「100歳まで動ける体」(ニコラス・ペタス著)、「肺炎にならない!のどを強くする方法」(稲川利光著)、「疲れない体になるライザップトレーニング」(RIZAP)などの書籍の構成も手掛けている。趣味は柔術、ときどきランニング。
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